働くことでイキイキと活力にあふれ、「しあわせ」を感じられる社員を増やす。そして、社会全体を「しあわせ」あふれる場所にする。そんな、「しあわせ」の共創を目指している丸井グループ。その根底には、社員の健康を何より大事にする創業者の思いがありました。
丸井グループの「健康経営」のここがスゴイ!
健康経営を推進しているウェルネス推進部の3名にお話をうかがいました。
ウェルネス推進部 小野川節子さん
キーワードは「しあわせ」。社会全体をWell-beingに巻き込む姿勢
丸井グループが目指しているのは、ウェルネス・Wellbeingの視点を通じて新たな価値をつくること。社員の「健康」だけではなく、社会全体を「しあわせ」あふれるウェルネス推進部 場所にすることを目標にビジネスに取り組んでいます!
ウェルネス推進部 関口明央さん
「健康経営」が組織風土に根付き、役員もコミットしている!
丸井グループの「健康経営」の根底にあるのは「何よりも社員の健康を大事にする」という創業者のDNA。現在のウェルネス推進部の部長は取締役執行役員でもあり、企業文化としても「健康経営」が根付いています。
ウェルネス推進部 産業医 小口まほこさん
「Well-being推進プロジェクト」は自ら手を挙げる公募制
やりたいことは自ら手を挙げる。丸井グループの取り組みのほとんどは手挙げ制です。「Well-being推進プロジェクト」もそのひとつ。定員の2〜3倍の応募があるほど、やる気のある社員がたくさんいます!
Well-being 推進プロジェクトとは?
さまざまなウェルネス活動を企画・実行し、社内外に広める活動をしている丸井グループ横断型の公認プロジェクト。自主的に参加した選抜メンバーが起点となっています。
「病気をしない、治す」ではなく、活力をより高く
――丸井グループには『健康』について考えるDNAがあります
社員を家族のように考え、健康に力を入れてきたヘルスケアの基盤
丸井グループを取材していると「DNA」というワードが聞こえてきます。その理由について「当社では以前から朝礼の最後に必ず、社長が『健康に気をつけて』と、社員に声をかける場面があったんです」とウェルネス推進部の関口さんは言います。
これは、丸井グループの企業風土を象徴するエピソードで、創業者・青井忠治氏も「人間ドックに行くように」と社員に直接話していたそうです。社員の健康に並々ならぬ関心を持っていた創業者の想いがDNAという表現になり、今なお引き継がれています。
1970年には人間ドックの機器や診療機能を備えた最新式の健康保険会館を設立したことは、その「青井忠治イズム」の如実な表れ。こうした社風により、社員の間に自然と『健康診断も人間ドックに行くのも当たり前』という意識が根付いています。
身体の「健康」だけでなく、活力高く働くことを目指す
ヘルスケアの基盤を持っている同社は、次の目標として、身体の健康だけでなく、イキイキと活力にあふれて働くことも大切であると、ワークエンゲージメントの高い組織を目指しました。それが「ウェルネス経営(現Well-being経営)」です。2014年に健康推進部(現ウェルネス推進部)を立ち上げ、産業医であり、現在では取締役執行役員でもある小島玲子さんが部長に就任。次第に経営にもコミットしていきました。2016年には自ら手を挙げた社員を中心メンバーとした「ウェルネス推進プロジェクト(現「Well-being推進プロジェクト」)」が発足し、これが本格的な「健康経営」のスタートになりました。
「丸井グループが大切にしていることはやらされ感ではなく、自主性。社員がイキイキ“楽しく”働くこと。この『手挙げ文化』による取り組みが、健康経営を推進させ、組織力の強化にもつながっていると感じています」とは、産業医の小口さん。
活力高く働く、精神的にも社会的にも充実して仕事をする(=「しあわせ」)という、マインドセットを創造した丸井グループ。今では、社内だけでなく、さまざまなステークホルダー、社会全体を、同社の「Well-being」の取り組みを通して、豊かにしていくことを真剣に考え目指し、進化し続けています。
手挙げ制で社員がイキイキ楽しそうに働く
――昨年はWell-being推進プロジェクトへの参画を希望して入社した人が2名。現在、自ら手を挙げ、メンバーとして活躍しています
居眠りをするような会議を変えた取り組み
「Well-being推進プロジェクト」だけでなく、さまざまなプロジェクトや委員会やセミナー研修、そのほとんどは自ら手を挙げて参加するスタイルの丸井グループ。その理由を小野川さんに尋ねました。
「『手挙げ文化』が始まったきっかけは2008年の管理職が一堂に会する中計推進会議でした。業績が厳しい時期であったにもかかわらず、会議中に居眠りをする人がいたのです。そこで、管理職だけでなく、参加したい社員を募る手挙げ制に変えたところ、居眠りもなくなり、意見も飛び交う活発的な会議に変化しました。社員の自主性を促すという目的を持って取り入れた手挙げ制が、今では文化となり根付いています」。
さらには「昨年は健康経営のプロジェクトに入りたいと言って入社した社員が2人います。現在はもちろん、自ら手を挙げてプロジェクトのメンバーとなり、活躍しています」。
応募多数、小論文審査によるメンバー決定
経営にとって重要な案件は、「グループ横断プロジェクト」として部署をまたいで人を募るのだそう。「Wellbeing推進プロジェクト」もそのひとつで、毎回定員を大きく上回る応募があると言います。
「論文審査で参加メンバーを選抜しています。1期1年の交代制ですが、30〜50人のプロジェクトに200人以上の応募がある年もあります」(小口さん)。
選抜された社員は1年間、メンバーとともにテーマディスカッションやアイデア立案を行い、プロジェクトチームで学んだ知見やアイデアを各職場に持ち帰り、地域や社会に向けたWell-being活動につなげています。
具体的な取り組みについても聞きました。
「どの企画も、プロジェクトメンバーが、自身で企画したり現場から吸い上げた案であることが特徴です。たとえば『ラジオ体操O1O1動画』は、総勢120人の社員が出演して作り上げた動画で、全事業所に広まり、お昼どきや15時のブレイクタイムなどに活用されています。ほかにも、テナントの企業様を巻き込んで階段部を開設しているマルイ店舗もあります。定例会の始まりにストレッチを行うことも、今では定着しました。コロナ禍では、現場からテレワーク疲れの声を拾い、プロのインストラクターによる座りながらのストレッチ動画の作成・配信なども行いました」(関口さん)。
東京都オリンピック・パラリンピック準備室が主催した「みんなでラジオ体操プロジェクト」動画コンクールにて入賞兼特別賞も受賞。笑いありの大作動画。
社員のほとんどがウェルネス活動に参加し、「働きがい」「自己効力感」向上にもつながっています。
ステークホルダー、社会全体も「しあわせ」に
――2021年はコロナ禍でもなんとか開催できたインクルージョンフェス。大きな共感を呼びました
地域にも「Well-being」を広げる
5年目に入った「Well-being推進プロジェクト」は、地域や社会の活性化や課題解決への貢献にもより力を入れるなど、さらなる進化も見られます。
「2020年は、コロナ禍で文化祭ができなくなってしまった大妻中野中学校のために、オンライン文化祭を共同開催。発表の場がなくなってしまった大学生に向けては、音楽やダンスを発表する機会を提供しました。最近は地元の中小企業様に向けて健康経営のセミナーをさせていただく機会も増えています。丸井グループは、東京都の中野区から始まった会社です。地域の人たちのWell-beingをサポートするのは、豊かな社会を共に創る『しあわせ』の共創につながると考えています」(関口さん)。
今年の3月には、コロナ禍での大きな取り組みとなった、ステークホルダーに向けたイベントを開催しました。ダイバーシティ&インクルージョンや、ウェルネス経営の取り組みを、店舗とWebで体験・体感できるその名も「インクルージョンフェス」は、多くの共感を得られたそうです。
有楽町マルイの店舗では、さまざまなテナントとともに、マルイ施設内の取り組みを体感・体験できるスペースを設けたり、期間限定のイベントも開催。オンラインでは、Well-beingの有識者らによるセミナーや、楽しみながら知識が身につくクイズなど、さまざまなコンテンツが配信されました。
「丸井グループが目指すのは、社員の『しあわせ』だけではありません。すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現こそが、社会全体の『しあわせ』につながり、本当の意味で豊かな社会であると考えています」(小野川さん)。
社員がイキイキと働きがいをもって社会課題や環境問題の解決を目指すビジネスに取り組み、地域社会や将来世代のしあわせも生み出す丸井グループ。すべてのステークホルダーの「しあわせ」の実現を真剣に考える同社のWell-being経営は、これからの日本を明るくする、大きな一手になるはずです。
丸井グループ
創業:1931年 事業内容:小売業、フィンテック事業をおこなうグループ会社の経営・管理など 店舗数:マルイ・モディ:関東を中心に、東海、関西、九州に23店舗(2021年3月時点) 社員数:4855名(2021年3月末時点)