蟹江憲史/1969年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、2000年、同大学大学院政策・メディア研究科博士課程学位(政策・メディア)取得。北九州市立大学法学部助教授、東京工業大学大学院社会理工学研究科准教授、パリ政治学院客員教授などを経て、2015年から現職。日本政府SDGs推進本部円卓会議構成員、内閣府地方創生推進事務局「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」幹事会幹事、国連経済社会理事会(Economic and Social Council:ECOSOC)アドバイザーなど、 SDGs関連プロジェクトで数多くの委員を務める。国連Global Sustainable Development Report (GSDR)の2023年版執筆の独立科学者15人に選ばれている。
ポストコロナ、戦争・紛争下のSDGs
SDGsが目指す2030年のゴールまで、あと7年となりました。
SDGsが国連サミットの加盟国全会一致で採択されたのは、2015年9月です。それから7年の間に徐々に認知度が高まり、いまや認知から浸透へ、そして行動へとフェーズが変わってきました。
しかし、SDGsの進捗は決して順調とはいえません。
新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻により、進捗は大きく停滞してしまいました。コロナ禍で、SDGsが掲げる目標の3番「すべての人に健康と福祉を」は目標達成から大きく遠ざかりました。貧困格差や教育格差が浮き彫りになり、連日働き口を失った人や食べるものに困る子どもたちがニュースになったことは、まだ記憶に新しく残っています。また、2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まると、SDGsの各目標を達成することは、さらに遠ざかりつつあります。
こうした現実によって、私たちは「SDGsは平和でなければ実現できない」ということを実感しました。でもこれは言い換えれば「持続可能な世界こそが本当の平和を意味している」ということです。
つまり、世界的に持続可能が危ぶまれている今こそ、一人ひとりがSDGsの取り組みを推進することで、持続可能で平和な社会をつくっていくことができるともいえます。
例えば現在、ウクライナの戦争により燃料や食料は激しく高騰しています。これを「地産地消を進めるいいチャンス」と考えれば、サプライチェーンや使用燃料の見直しから始め、ローカルレベルでのSDGsを逆に推進していくことができるかもしれません。
SDGsはもはや「一部の意識の高い人や企業だけがやっている活動」ではありません。コロナ禍のパンデミックにおいても、売上よりもテレワークの推進やストレスチェックなど、社員の健康管理や働きやすさに取り組んできた企業ほど、回復が早かったという報告もあります。つまり、SDGsに取り組むことは、リスクをビジネスに変える武器にもなるのです。
コロナ禍や戦況下でSDGsの歩みを止めるのではなく、むしろ逆に関心を高め、自社のビジネスを持続可能な社会実現のためにどう生かせるかを、私たち一人ひとりが考えていかなければいけない時が来たと思っています。
日本企業のSDGsの現在地
私は2021年の1年間、研究のためにアメリカのワシントンD.C.で暮らしていました。アメリカでは「サステナビリティ」という言葉はよく耳にしましたが、「SDGs」という言葉を知っている人はそれほど多くありませんでした。
日本では小学校から学校の授業にSDGが取り入れられるなど、ここ数年で一気に「SDG」という言葉の認知度が上がっています。一般の人たちの間でも「SDG」という言葉を知っている人の割合が増えましたが、その一方でSDGの中身まで詳しく知っているという人は、残念ながらそれほど増えていないように思います。
企業においても同様の現象が起きています。
例えばビジネスパーソンの間では、カラフルなSDGのレインボーバッジをつけている人がここ数年で急激に増えましたが、17個の目標については覚えていても、169個のターゲットや231個の指標についてまで詳しく解説できる人はほとんどいないと思います。
また、企業サイトや採用ページを見ても「SDGに取り組んでいる」と掲げている企業が多くあるにもかかわらず、2022年8月に発表された帝国データバンクの「SDGに関する企業の意識調査」によると、「(SDGという)言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」という企業が全体の約4割もいるという報告も目にします。
2022年7月に行われた世界経済フォーラムで発表されたジェンダー・ギャップ指数(各国における男女格差を測る指数)では、日本は146カ国中116位でした。これはアジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低く、先進国においては最低レベルです。残念ながら、日本企業や団体が、ジェンダー平等の取り組みで大きく遅れているということに他なりません。
とはいえ、2022年6月に公開されたSDGsの達成度・進捗状況に関する国際レポート「Sustainable Development Report(持続可能な開発レポート)2022」によると、日本のSDGsへの取り組み達成度は、世界163カ国中19位というまずまずの結果でした。達成の進んでいる取り組みを進めつつ、目標5番目の「ジェンダー平等を実現しよう」など、日本が遅れている目標に着目し、取り組みを強化していけば、もっと上位ランキングを目指すことも不可能ではないと思います。
それでもなお企業にSDGs経営が求められる理由
SDGsの目指すゴール達成のためには企業の力が絶対必要であるにもかかわらず、なぜ日本企業や団体のSDGsは思うように進まないのでしょうか。
帝国データバンクの報告書によると、SDGsに積極的に取り組む企業は大企業が68・9%となっている一方、中小企業は48・9%という数値となっています。企業規模間によって、SDGsの取り組みに格差が生じているのが現状です。
さらに、「SDGsに取り組んでいる」という大企業の中に、実態を伴わずに形だけのSDGsに取り組んでいる企業も隠れています。
また、中小企業の場合、「SDGsに取り組みたいけれどどうしたらいいのかわからない」という企業がいまだに数多くあります。人材や資金面などのハードルによって、SDGsの重要性を感じつつも着手できない場合もあり、「零細企業における具体的な取り組み目標が思いつかない」「中小企業には人材、資金面などのハードルが高い」という声もあがっています(帝国データバンク調べ)。
持続可能な社会を目指すためには、個々の企業がより持続可能な戦略をもって事業を展開していく必要があります。最近は企業が持続的に成長・発展していくために、稼ぐ力とESG(環境・社会・企業統治)を両立させる経営への転換を目指す「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」に取り組む企業も増えてきました。
日本人は江戸時代から「売り手にも買い手にも世間にもよい商売を心がけなければいけない」という近江商人の経営哲学「三方よし」を大事にしてきたように、本来SDGsへの親和性が高い国民だと私は思っています。
企業の規模や従業員数に関わらず、国や自治体がもっと多くの企業と一緒になってSDGsを推進していくことができれば、例えば、日本のジェンダー・ギャップ指数の順位を上げることもできるでしょう。
国連加盟国全193カ国のSDGsの総合パフォーマンスランキング
https://dashboards.sdgindex.org/rankings
SDGsの総合ランキングで日本は19位と貢献 ※出典:Sustainable Development Report 2022
SDGsの平均パフォーマンス
https://dashboards.sdgindex.org/rankings
17の項目別にパフォーマンスを比べてみると、日本は「目標5ジェンダー平等を実現しよう」「目標14海の豊かさを守ろう」の項目が低いことがわかる※出典:Sustainable Development Report 2022」
認知・浸透から、行動・評価のフェーズへ
今あらためて注目されているのが、SDGsの効果検証や評価です。
SDGsは、今の社会の仕組みのままでは達成できるものではありません。SDGsが目指すゴール達成のために、社会の仕組みを変えていくことは重要ですが、そのためには、SDGss自体もまた、具体的な取り組みの報告や進捗や結果を評価しながら変えていくことが求められます。
「評価」という点においては、SDGsの取り組みが進んでいるといわれるヨーロッパにおいてもまだ十分とはいえません。SDGsには罰則や規定がなく、基本的に「できることをやれる範囲で取り組む」ものなので、形だけ「やったふり」をすることもできてしまいます。ですから、SDGsが目指す2030年のゴールまであと7年をきった2023年以降は、引き続き行動を加速化させながら、評価面でも取り組みを進めていくことが重要だと私は考えています。
では、SDGsの取り組みで高い評価を受けているのは、どのような企業なのでしょうか。実際にさまざまな企業の方とお会いしたり、お話を聞いたりする中で私が気づいたのは、一般的にSDGsの取り組みが遅れているといわれる中小企業やベンチャーの中に、SDGsの取り組みを事業業績の向上や離職率の低下につなげている企業が多いということです。
それとは逆に、世間からはSDGsの取り組みが進んでいるといわれる大企業であっても、組織が大きすぎて取り組みに時間がかかったり、進捗が鈍くなったりするという企業もあります。
そこで、ここからは実際に私がSDGsの取り組みを高く評価している企業をいくつかご紹介します。
事例1 株式会社ユーグレナ/東京都
株式会社ユーグレナは、藻の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)を活用した機能性食品、化粧品などの開発・販売の他、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスを提供しているバイオテクノロジー企業です。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をコーポレートアイデンティティに掲げ、社会課題の解決に寄与する製品やサービスを生み出しています。
同社のSDGsの取り組みはこれまでにも世界各国で高く評価されていますが、そもそもSDGsという概念が生まれたから社会課題の解決に取り組もう、と始めたわけではありません。
同社の創業のきっかけとなったのは、社長の出雲充さんが大学生の時にバングラデシュを訪れたことです。栄養失調で苦しむ子どもたちを目の当たりにして、「この子どもたちが元気になれるものを見つけて届けたい」という思いから、豊富な栄養素を持つユーグレナに着目。2005年に世界で初めての食用屋外大量培養技術の確立に成功したあとは、サプリメントやドリンクなど、栄養効果の高い食品から化粧品、バイオ燃料へと、SDGsを軸に「人と地球を健康に」を一つひとつ実現しています。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げて世界の貧困や気候変動問題の解決を目指す同社では、コロナ禍以前から多様性を尊重した働き方にも力を入れてきました。2019年からは、10年後・20年後のメインプレイヤーとなるZ世代以下の若者たちが経営に参加するべきという考えから、18歳以下を条件に一般から「CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)」を公募。経営と改革をともに進めています。
これまでに、同社が販売するペットボトル商品の全廃などによって商品に使用する石油由来プラスチック消費量の50%削減の提言や定款の事業目的をSDGsに則した内容に変更した際の監修など、多岐にわたる提言や活動を行ってきました。
「今後も持続可能な地球・社会をつくるために事業を拡大していく」というユーグレナ社。多様なメンバーと共に、事業を成長させることで社会課題を解決していける優れた企業だと私は見ています。
2020年の創業15周年を機に企業の「ありたい姿」として制定した、ユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)
https://www.euglena.jp/companyinfo/sustainability/sustainability-first/
事例2 株式会社ビビッドガーデン/東京都
全国の生産者から食材や花などを直接購入できるオンライン直売所「食べチョク」の開発・運営を行うビビッドガーデンは、生産者と共に一次産業の課題解決を目指す企業です。
今、基本的農業従事者の平均年齢は68・4歳(2022年農業構造動態調査)です。高齢化や後継者不足が大きな課題とされ、さらに世界情勢の影響で生産に必要な肥料や燃料代などが高騰し、一次産業は大きな危機にさらされています。
こうした中、「生産者の〝こだわり〟が正当に評価される世界へ」をビジョンに掲げ、規模の小さい生産者が持続的に利益を生み出せる流通構造を提案しているのが、「食べチョク」です。
これまでの生産販売では、生産者から消費者の手に届くまでに多くのルートを通らなければならず、生産者がどんなにこだわって作っても価格に反映されないという課題がありました。そのため農業を続けたくても廃業せざるを得ないケースも発生していました。
そこで、同社はオンライン上で生産者と消費者を直接つなぐサービスを開発。生産者自身が値決めして販売でき、消費者はこだわりの食材を新鮮な状態で楽しめるというWin-Winの仕組みを構築しました。
従来の販路では流通することが少なかった規格外食材や漁獲量などの関係で未利用魚となっていた魚を販売する生産者もおり、そういった商品を楽しめるのも消費者側のメリットとなっています。
販路の選択肢を増やすことを掲げ、一次産業にIT化も持ち込んだ同社。日本の一次産業の持続発展のために、効率化やさらなるサービス拡大を図る同社を、今後も応援していきたいと思います。
「食べチョク」が提案する「生産者ファースト」の流通ルート
https://vivid-garden.co.jp/
事例3 株式会社ヘラルボニー/岩手県
株式会社ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、福祉を起点に新たな文化を創り出している企業です。自社を「福祉実験ユニット」と称し、知的障害のある作家とライセンス契約を結んでアート作品を預かり、東京など大都心の大手企業ともコラボレーションしてイベントや展示会、販売などを行っています。
創業したのは、双子の松田祟弥さんと文登さん兄弟です。ふたりには、重度の知的障害を伴う自閉症の兄・翔太さんがいます。障害のある兄が「かわいそう」と言われることに幼い頃から違和感を抱き続けてきたという両氏は、障害のある人を排除したり差別したりするのではなく、障害を「異彩」という可能性と捉え、違う視点から違う社会を生み出そうと、さまざまな取り組みを進めています。
まずは、福祉を起点に新たな文化を生み出すブランド「HERALBONY」を立ち上げ、「障害のある人の作品」ではなく、「かっこいい」と言われるアパレル用品ブランドとして世の中に提供してきました。
2021年には両代表の地元である岩手県盛岡市に、世の中にあるさまざまな障壁を取り除いていく場所としてギャラリー「HERALBONY GALLERY」をオープン。日本全国の知的障害のあるアーティストの作品を展示しています。
さらに2022年には、新たにライフスタイルブランドもスタート。ファブリックやクッションなど、日常の暮らしを彩るアイテムを発表し始めました。
障害のイメージを変えていくことで、福祉や障害が当たり前に日常にあるようにすることには、もちろん大きな意義があります。でも私が高く評価しているのは、ヘラルボニーが介在することで、「障害」という特徴を持つアーティストが、自分の労働価値を高く設定できる場を得たことです。
誰もが豊かに暮らせる社会をつくることは、日本が持続的にあり続けるためになくてはならないことです。新しい幸せの形を生み出している同社のような会社が地方から生まれていることに、私は日本の大きな可能性を感じています。
知的障害のある作家のアートを様々な事業に展開するヘラルボニーのビジネスモデル
SDGsネイティブと企業のコラボ事例
企業のSDGsの取り組みを発信し広く認知してもらうため、デジタルネイティブでもある「SDGsネイティブ」の力が大きな効力を発揮します。
SDGsをよりよく運用し2030年の次の目標につなげるために、「SDGsネイティブ」と呼ばれる学生たちと企業の取り組みについてもご紹介します。
東急株式会社(東急グループ)
SDGsのゴール達成に向けた活動を、さまざまな形で発信している東急グループでは、車両を包むラッピングで長年にわたるSDGsの活動を紹介する「SDGsトレイン」を2020年から運行しています。
慶應義塾大学蟹江憲史研究会(以下、蟹江研)では、2022年1月にこのSDGsの啓発を目的としたポスターを共同で制作し、車内に掲示しました。
「自分たちの毎日からSDGsを考えよう。」というキャッチコピーは、「SDGsをもっと身近に感じてほしい」という思いから生まれたコピーです。
さらに、「#SDGsのホンネ」というハッシュタグで、 SDGsに関する情報発信やTwitterへの投稿も呼びかけ、単に広告掲載で終わらないムーブメントを生み出すことを狙いました。
東急グループは、学生とのコラボレーションで普段接することのないSDGsネイティブの本音を聞くことができ、企業の魅力度向上におおいに役立てたのではないかと思います。
就活生が見るべきは、企業のSDGs浸透度
就職を考える皆さんには、SDGsに取り組む企業の社内評価にも目を向けてほしいと思います。その理由は、株主やマーケットから高く評価されている企業が、実際にそこで働く社員や就職を考える学生や転職を考える皆さんにとって「よい」会社であるとは限らないからです。
例えば、日本経済新聞社が毎年発表している「日経SDGs経営大賞」では、先進的にSDGsに取り組む企業がずらりと名を並べています。しかし、大賞を決める調査項目は比較的外形的なものです。SDGs関連の部署に関わっている人や、統合報告書をまとめる部署、経営陣はSDGsを深く理解し、行動を起こしているとしても、全ての社員に浸透しているかどうかまでは、正直わかりません。
実際に、経営陣が力強くSDGs経営を掲げ、担当者である若手社員もみなやる気に満ちているにもかかわらず、実践・管理する立場の中間管理職の人が日々の業務の負担増を感じていたり、目の前の数字に追われ、取り組みが後回しになったりしているケースもあるといいます。
こうした実態を調査すべく、大学の学生たちと一緒にプロジェクトを立ち上げ、経営陣の考える理念や目標が社員一人ひとりにまで浸透しているかどうかを調べるアンケート調査を行いました。
このプロジェクトでは、SDGsネイティブと呼ばれる学生たちの観点から、企業が採用活動の中でSDGsをどう発信しているか、社内のSDGs浸透度はどれくらいかなどを調べています。そして最終的には、企業が本質的にどれほどSDGsに取り組んでいるかを可視化することを目指しています。
まだ研究は途中ですが、「日経SDGs経営大賞」で選ばれた企業とはまったく違う企業がSDGsの取り組みにおいて学生から高く評価されているのは、大変興味深い経過でした。
今後さらにこのプロジェクトを進め、どういう基準でどう評価しているのかのエビデンスをきちんと整理し、外部に公表できる形にまとめていきたいと思っています。
学生視点で調査・評価したSDGsへの取り組み姿勢評価ポイント
未来の常識=SDGsのために今できること
いまやSDGsを掲げた商品やサービスは巷にあふれていますが、「やりっぱなし」や「やったふり」では、SDGsネイティブには決して届きません。
また、消費者の意識も変わりつつあり、エシカル消費などに関心を持つ人も増えましたが、SDGsは決して2030年で終わるものでもありません。
いちばん理想的なのは、「SDGs」とわざわざ言わなくてもサステナビリティが当たり前の社会をつくっていくことです。そのためには、5年後、10年後に社会の中心で働いている読者の皆さんが、まわりの評価や声に惑わされず、5年後自分はどんなところでどういう働き方をしたいかをしっかり決めて、それに向かって自分の感覚を大事に、就職先を探していくことがとても重要です。
「違和感をそのままにしない」ということも大切です。例えば「ジェンダー・ギャップをなくす」といっている会社なら、男性の育休取得者が何人いるのか、産休・育休明けに希望すれば元のポジションに戻れるのか、というエビデンスも確認すると、「こんなはずではなかった」という企業とのミスマッチを防げると思います。
もちろん、SDGsをこの先さらに推進していくためには、国の制度や法整備なども必要です。私はずっと、「SDGsの基本法」を制定すべきだという提案をしていますが、いまだに実現されていません。これからも、「SDGsが当たり前にある未来」を目指し、声をあげ続けていきたいと考えています。
皆さんがSDGsをキーワードに、納得のいく企業選びができることを願っています。
『こんな会社で働きたい サステナブルな社会実現のために SDGs編3』より転載。