スリーハイ - 世界中の想いを温めたい。未来を対話で拓く「ステークホルダー経営」~アニュアルレポートに込められた、ありのままを伝える大切さ~

同社の工場カフェ「DEN」にて

株式会社スリーハイ(神奈川県横浜市 代表取締役 男澤誠)は、産業用ヒーターの製造・販売会社だ。「ものを想う。ひとを想う。」を経営理念として掲げ『「温める」をつくること。』をバリューとしている。

これまでに約7,500社の「熱」に関する課題を解決し、日本だけでなく、海外の産業活性化にも貢献してきた。クライアントの様々な「熱」の困りごとに対するニーズに応え続け、今年で設立より33年目を迎える。昨年2022年には「神奈川がんばる企業エース2022*」「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)」に認定された。モノづくりの側面だけではなく、地域貢献や人的資本投資の面においても注目されている地域密着型の企業だ。

“攻め”のCSRで地域と組織を活性化

「ステークホルダーをどこまでも温める。その想いは、巡り巡ってやがてみんなを温める」そんな言葉から始まる、同社のアニュアルレポート。2023年に公開・発信されたこのレポートの作成には、同社社員が広く関わった。さらに、人的資本の経営情報開示義務いずれは中小企業でもスタンダードになることを見据え、財務内容の公表にも挑戦ている。

財務情報の透明性を高めていくことで、ステークホルダーに会社の財政状態や安全性、成長性をきちんと説明することが目的だ。「覚悟をもってこのアニュアルレポートをつくった。ステークホルダーに技術と信頼で応えていきたい」と男澤社長は笑顔で話す。

男澤(オザワ)社長は2009年に就任。二代目として、組織を今の形にするために色々な葛藤があった

経済と社会貢献の両輪を回しつつ、同社が立地している工場と住宅が混ざり合う準工業地域と言われる地において、地域の中で共生し持続可能なものにしていくにはどのようなことをしていけばいいか。その問いが男澤社長と同社を成長させてきたといっても過言ではない。ホームページを活用した広報活動に力をいれ、“攻め”のCSRを実行しつつ、同社だからできる活動を続けてきた。“思わず人に話したくなる活動”社員活性化につなが

現在も同社がある東山田にある工場地域に住む人たちとで、様々なイベントを開催している。

地域とのつながりで信頼をつくる

「知る」、「学ぶ」、「働く」「つながる」の4つの循環から信頼という温かさが巡り続ける。その柱となる取り組みは「こどもまち探検」と「工場カフェDEN」の二つだ。地域の小中学校やNPOと連携し、子どもたちに「ものづくり」の魅力を伝えつづける活動である。

「こどもまち探検」は2013年から毎年開催しており、2022年時点で、のべ20回開催している。東山田地区の小学生が参加し、東山田準工業地域にある工場を巡る体験型のイベントだ。自分たちが暮らす街にどんな仕事があって、どんな人がその仕事を進めているのかを知ることで、住まう地域への理解や愛着を深めることができる

そして2017年には、地域に開かれた工場というコンセプトで「工場カフェDEN」を設立した。同社工場の一つであると同時に、クライアントや地域に住まう人たちにとって、モノづくりを間近に見られる拠点だ。

さらに2021年10月より、同拠点において「東山田食堂」をオープン。フードロス削減に対する取り組みを、地域の食品メーカーや、地元農家、飲食店と協業して進めている

規格外の食品や廃棄予定の野菜を提供し、それを利用して、地元フードコーディネーターがつくったお弁当を販売。「DENという交流の場を通して、モノづくりの場面を見て体験することで、地域の工場に対しての見方が変わればという期待があった」と男澤さんは話す。地域を温め続けている同拠点は東山田地域のランドマークとなっている。

地域と共に生きる会社を目指して、どこまでも「想う」

同社は今後も“温める”を軸に事業活動を展開していく。その事業活動を通し、「次世代に『ものをつくることの楽しさ』をきちんと伝えていきたい。そして先に生まれた私たち大人が、未来に残す活動が必要」と男澤社長は話す。

その活動を継続していくことで、日本の元々からある伝統工芸のような、“文化”としてのモノづくりを、丸ごと未来へ持っていくことができる。同社は「地域と共に生きる会社」を目指し、地域や人、すべてのステークホルダーをどこまでも想う経営を続ける。

*神奈川県は、中小企業・小規模企業等の社会的認知度や従業員のモチベーションの向上を図るため、独自の工夫等を実施して成長している中小企業・小規模企業等を認定し、積極的に情報発信する「がんばる中小企業発信事業」を実施している。その中で、ビジネスモデルの独創性や地域への貢献度等が特に優れていると認められるトップ9社。

関連記事