2023.09.27

EY新日本有限責任監査法人|ウェルビーイングと心理的安全性を高める職場づくり

EY新日本有限責任監査法人(以下:EY新日本)は、EY(アーンスト・アンド・ヤングの略。ロンドンを本拠地とし、会計・税務・コンサルティングなどを展開するサービス企業)の日本におけるメンバーファームです。主な業務は会計監査で、業務の中心を公認会計士が担っています。

2022年7月には常務理事以上の女性が3人となり、女性や働く育児中のメンバーのワーク・ライフ・バランスを全面的にバックアップしています。

EY新日本はメンバーの多様性を活かす企業風土を大切にしており、まさにそれこそが魅力になっています。メンバー一人ひとりが自分らしく働けるインクルーシブな組織風土であることを重要視しています。

キャリア面では、研修、経験、コーチングを柱に人材育成を行っています。入社したら自身の成長をきっと実感できると思います。

健康経営チームメンバー3名にお話をうかがいました。

副理事長 大内田敬さん

健康経営は重要な経営課題で、最重視しています。現在はもう少し概念を広げて「ウェルビーイング」というキーワードを経営の軸に入れています。これは心身の健康に加え、仕事で幸福感を得ようという取り組みです。キャリアパスや仕事上の人間関係でも幸福感を得られることを重視して、生産性や成果の向上、長くここにいたいと思える上昇トレンドを目指しています。

本部産業 征矢敦至さん

EY新日本は、経営層と我々健康管理のチームの距離感が近いのが特長です。ゆえに、人を大事にするうえで大切な意思決定がスピーディーに進むんです。健康サポートセンターというと、病気になってから行く印象もありますが、ここではそうなる前の予防で相談に来る人も多いです。そういう相談の声も経営層に届ける仕組みをつくり、課題にいち早く対応しています。

人材開発本部 人事部労務安全衛生課 課長 西山 浩世さん

監査法人はプロフェッショナルファームなので、人が資本です。メンバーが幸せで活力高く、持続性を持って働ける環境をつくるのはやりがいのある仕事です。健康経営を進化させるには、世の中の動きを先読みする必要がありますね。今後はウェルビーイングの指標づくりも見据えています。DXで因果関係の分析を進め、より効果的な施策の展開を目指しています。

EY新日本メンバーの健康は、「健康サポートセンター」が担っている

ウェルビーイング経営を実践するために EY新日本では、人事部が所管する健康サポートセンターが各組織と連携し、健康経営の旗振り役を担っています。

そのメンバーは産業医、保健師や産業保健の企画推進を行う人事メンバーです。産業医の征矢さんいわく「いろいろな方からの相談を同じように受け入れて、すべてに対応する」のがその機能。予防・健康管理から、問題整理・適応支援、治療連携、復職支援・再発防止など、どんな段階の相談にも対応しています。専門家による健康をテーマにしたセミナーも随時開催。メンバーから好評を博しています。

心理的安全性を高める4つの施策を紹介!

第3事業部 シニアマネージャー 鈴木 大樹さん

時間・場所に捉われない働き方 「フレリモ」でパフォーマンスが向上

コロナ禍で社会と価値観が変容する中、働く場所や時間、ドレスコードにとらわれず、最高のパフォーマンスを発揮できる環境をデザインしたい。そんな思いで発案されたのが、「フレリモ」という制度です。

これはフレックス&リモートの略称で、在宅勤務はもちろんのこと、遠隔地リモート勤務も含まれる充実ぶり。現在、30名を超えるメンバーが遠隔地リモート勤務を認められ、地方で暮らしながら所属オフィスに通う新しいワークスタイルを実践しています。

入社当初から遠隔地での勤務を前提に採用された方もいますし、親の介護で移住した方もいます。また、育児でフレキシビリティを高めたい方もおり、多様性理解を重視して先駆けて制度導入を進めています。たとえば介護や育児をしている方は、仕事と両立させるために効率とバランスを取っていて、その視点が仕事に還元されることもあります。地方で働くことで地域社会の価値を見出すことにつながり、それにより創造性豊かに働くことの視点を持つことができます。

日々の業務内容に応じて働く時間と場所を自律的に選択すること、そして他者の考え方やワークスタイルも尊重し、チームとして最高のパフォーマンスを引き出すのが、この制度の原則です。

そうやって日々柔軟性と多様性に触れるうち、自ずと不測の事態にも対応できる組織ができあがる。そんな狙いも秘められている制度です。

フレリモで人生の幸福度も上がった!

家庭の事情で、東京都から実家のある山梨県へ移住しました。以前でしたら遠距離の移住となると部署異動を伴い担当業務もすべて変更しましたが、今回は所属部署も担当業務も一切変わらず、業務への影響が最小限で済んだのは大変助かりました。また、最近も所属部署の新たなプロジェクトに企画段階から参加しています。遠隔地で働いていても、成長の機会が制限されていないことがフレリモの一番いいところだと思っています。

 

 

不安も悩みも受け止める体制づくり 社員とトップで行う「ガチコン」

EY新日本では経営執行部とメンバーとの対話集会「ガチコン」を開催しています。フランクなコミュニケーションの場を通じて、メンバー一人ひとりが組織風土改革の意義を理解することで、積極性と活力向上につながる取り組みです。

参加者はその場で質問し、理事長、副理事長、経営専務理事が事前の準備なしに「その場で答える」手法を採用しており、かつ、参加者が心理的に意見や提案を行いやすい司会進行が心がけられています。

これまで、2020年10月から2022年7月1日までに計41回開催する中で、監査品質に直結するデジタル監査や人材育成、グローバル対応に関する提案・意見がありました。その結果、双方の自己開示につながり、執行側の思いを聞いた参加者から共感が生まれ、さらなる提案・意見が生まれるという好循環が生じています。

開催の呼びかけにメンバーが競って手を挙げるこのユニークな試みも、風通しのいい社風があればこそ。「EY新日本は経営層とメンバーの距離が近く、心理的安全性が保たれています。メールも丁寧にご返信いただけますし、感謝を言葉にして伝えてくださいます」という取材時の西山さんのコメントの通り、取材の合間に見えたのは、上下分け隔てない談笑の光景。健康的な組織には自ずと笑顔が宿るようです。

なお、ガチコンで話された内容は、参加した当事者のみぞ知るところ。その経験はいかなるものか。詳しくは下の体験談をご覧ください。

第4事業部 シニア 石井 奈緒さん

「“こんなことまで聞いていいのかな?”ということまでなんでも聞いてください!」というアナウンスがあり、緊張せず話すことができました。

私たちの疑問や不安に、人間味溢れる言葉でお話しいただいたことが印象的でした。今後も何かあればオープンにお話しができるという安心感があり、日常業務により積極的に取り組むことができています。

第1事業部 シニアマネージャー 田中 淳一さん

人材育成制度に疑問を持っていたため思い切って参加してみました。正直、形式的に終わってしまうかもと思っていましたが、“腹を割った”話までしてくださり、とても驚きました。

また、年次の低い参加メンバーに対しては、経営執行部の方から話を引き出しており、誰でも参加しやすい雰囲気を感じました。

 

若手に好評!細やかなケアが魅力カウンセリングファミリー制度

佐藤さんに聞きました

全体で6000人ほどのメンバーを擁するEY新日本。その巨大な組織の中で、いかにして情報の共有と人のケアを行うか。そんな視点で生まれたのが、カウンセリングファミリー制度という仕組みです。パートナーから監査アシスタントまで、幅広い職階のメンバーが10人で1つのファミリーを構成し、社内の情報共有や体調の確認も含めたケアを行っているとのこと。

人事部の佐藤薫さんいわく、ファミリーは月に1回オンラインで顔を合せるのがルール。そこでリーダーから「こういう情報があったけど、知っている?」「体調は大丈夫?」などの問いかけがなされます。個々人の情報への理解を高める一方、ファミリーで雑談をすることでメンバーの小さな変化にも目を配る。小グループならではの、きめ細やかなケアが可能な施策です。

CFL制度の効果

❶この制度を始めて以来、若手メンバーが話しやすくなったようです。さまざまな話ができることにより、組織を創造性豊かにする効果を期待しています。

❷体調不良に関しても、早めのラインケアができるようになりました。不安や不眠もいち早く察知して、健康サポートセンターにつなぎます。

❸トップダウンで情報を下ろすのではなく、個々人が理解しているかどうかまで踏み込めるのが、少人数のいいところ。うまく機能しています。

一人ひとりがウェルビーイングでよりよいパフォーマンスを発揮するためのセミナーを開催

EY新日本では、健康に関するメンバー向けのセミナーを定期的に開催し、コロナ禍になってからはオンラインセミナーも積極的に実施しています。「最近実施したのは、効果的な睡眠の取り方に関するセミナーです。みなさん、睡眠が自分のパフォーマンスに影響することを実感しているため、非常に関心も高いですね」と話すのは、産業医の征矢さん。睡眠研究の第一人者を海外から招いたセミナーは、参加者の多くが「すぐに活用できる内容だった」と評したそうで、満足度も折り紙付き。

人事部の西山さんはセミナーのねらいを「実効性のある施策を打つこと」と話します。その観点で行ったセロトニン(精神を安定させる働きをする脳内の神経伝達物質)に関するセミナーも、ストレス緩和に役立つと好評を博したそう。メンバーの健康につながる施策は、今日も考えられています。

キーワードは「ウェルビーイング」働くことで幸せになるEY新日本のヒミツ

EY新日本の健康経営の柱となるウェルビーイング。メンバーのみなさんはどんなところでウェルビーイングを実感するのか、働き方のヒミツに迫りました。

オンライン会議中に上司が部下の体調や残業時間を気にかけたり、社内チャットを役職に関係なく気軽に送ったりできる風通しのよさがあります。ウェルビーイングを当たり前に実践する組織風土と本部施策によって、多様な働き方が認められています。リモート環境下でもチームのつながりや成長を感じられる場面も多く、また、家族の笑顔に触れる機会も増え、ウェルビーイングを実感しながら充実した日々を過ごしています。

調子が悪いときや仕事の進め方に困ったときに、気軽に相談できたり、助け合えたりするチームの雰囲気に、いつも支えられています。コロナ禍により在宅で働くことが多くなりましたが、どうしたらチームメンバーが不安を感じずに働けるか、どうしたらチームのコミュニケーションがうまくとれるか、事業部の定例ミーティングの議題として何度も挙がっており、メンバーの働きやすさを考えてくれていることを感じます。

明るい太陽の下で皇居ランをしているときにウェルビーイングを感じます。オフィス内にジムがあってシューズやウェアのレンタルもできますし、柔軟な時間の使い方が推奨されているため、仕事の合間に運動を気軽に楽しめる環境が整っています。また、アスリートによる朝のヨガ、有志メンバーによる昼の音楽イベント、専門家による睡眠や介護に関する研修など、ウェルビーイングを促進するさまざまな良質なサポートを享受しています。

1歳の子供がいるため、しっかり仕事に集中する時間と、ゆっくり家族と過ごす時間を設けたいと思っており、日々オンとオフの切り替えを意識しています。これらをサポートするようなさまざまな制度や施策を利用することで、自分らしい柔軟な働き方を実践できていると感じます。また、手を挙げればやりたいことにチャレンジできる環境にあることも、キャリアパスを考えるうえでプラスになっていると思います。

執務場所の自由度や中抜け勤務、コアタイムの設定など執務時間の自由度が大きく高まって、個人のライフスタイルにフィットした働き方が可能となりました。人事としては無関心やつながりの稀薄化、孤独感の増進など懸念することは多々ありますが、「安心して子育てができます!」「実家で遠方の両親と一緒に暮らすために引っ越しします」「辞めずに済みました!」といった声が聞かれるようになってうれしくなります。

複数の会社に対し監査サービスの提供を行っていることから、会社担当者・監査チームを含む多くの人と交流します。多様な価値観に触れることで、気づきを得たり視野が広がったりと、日々、刺激的に過ごしています。また、取り組みたいことに手を挙げれば機会を得ることができます。自社のサービス提供に貢献できると共に、自身の成長につなげることができます。こうした瞬間には特に「イキイキしているな」とウェルビーイングを実感します。

 

こんな会社で働きたい ウェルビーイングな働き方を実現する健康経営企業編』より転載。

 

 

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