新日本理化株式会社|「働きやすい職場」だけでなく「働きがいのある職場」を目指して

新日本理化ってこんな会社!

大阪市中央区に本社を構える新日本理化は1919年の設立以来、磨き上げてきた「水素化技術」を基盤に、油脂化学と石油化学の両分野に精通するスペシャリティとして着実な成長を続けてきました。「技術の新日本理化」と社会から広く認知される存在となり、化学素材メーカーとして、暮らしと産業を支える多様な製品を提供しています。

経営理念は「もの創りを通して広く社会の発展に貢献する」。それを実現するために、従業員のワークエンゲージメント(活力、熱意、没頭)は不可欠な要素と考え、健康推進体制を強化していくだけでなく、研修教育制度の充実、人事評価制度も刷新を図るなど、一人ひとりがその能力を存分に発揮でき、イキイキと働くことのできる職場環境の整備・確保に努めています。「技術の新日本理化」、その評価に加えて「人の新日本理化」として、成長を続けていきます。

新日本理化の健康経営を中心となって進めるのは、企画管理本部人事総務部。メンバーの「健康」への思いと目的は共通しています。

「従業員が幸福な人生を送るための資源である健康を満たす手助けをすること。自信に満ち溢れ、成長を楽しみ、未来を考え続ける個の集団となるために、セルフケアを促し健康づくりを支援すること」

従業員からのニーズの最大公約数となる施策を実施していくほか、近年はカウンセリング体制を強化し、健康を個人の問題とせず、感じていることをオープンにする機会や場の提供に注力しています。

健康は加齢や病気、ライフイベントなどさまざまな影響を受ける動的なもので、健康感、幸福感は人それぞれ。そういったテーマに難しさを感じつつも「ダイバーシティ&インクルージョンの推進と企業文化の醸成に大きな影響をもたらすこと」と、前向きに取り組んでいます。

企業が成長していくために、なぜ健康経営が必要なのか?

明るくポジティブに!

三浦社長は2019年に取締役として新日本理化に入社しました。前職は商社。外から来たぶん、社内のことがいろいろと目についたと言います。

「従業員が少し消極的に見えました。全体的に会社を前向きに、ポジティブにしていきたいと考えていました」

2020年の株主総会を経て社長に就任し、ビジョン作成のほか、従業員の目標や視線を前に向けるためにはどうすべきか考えていたとき、ちょうど人事総務部から「健康経営をより積極的に推進したい」という意見が上がってきました。

「やっぱり、会社の成長にとっては従業員の健康とポジティブな姿勢が絶対条件ですから。それなくして何も始まらない。ぜひ取り組もうと」

最初は、身体の健康に重点を置き、禁煙施策から始まり、新たに保健師を配置するなど、いろいろと動き出しました。ただ、三浦社長が思う健康経営のテーマは、どちらかと言えば、「心の健康」でした。

「心のケアについては専門家だけじゃなく、私や役員も重要視していましたし、実際にそういう指示も出しました」

こうした身体と心のケアはマイナスをゼロにするだけでなく、新日本理化にとって大きなプラスになっています。

「個性が集まり、その一人ひとりの個性が伸びていった集大成が、企業としての成長だと思っています。だから個を伸ばさないと。そのためにはやはり思うように身体が動くこと、そして心が弾んでいること。そういう環境を整えることに注力してきました」

結果として、2022年に実施した従業員アンケートでは「仕事に満足」と肯定回答した人の割合が76.3%となりました。そして環境づくりの効果は、数字以外のところにも表れ始めています。

「たとえば取引先から、弊社の営業担当の応対が明るくなった、積極的になったと言われるとうれしいし、日々の取り組みの成果かなとも感じます」

今回の取材は2021年の5月に竣工し、営業を開始している京都R&Dセンターで行いました。非常に明るく、研究室もすべてガラス張り、オープンなつくりになっています。経営側が意図的にそうデザインしたわけではなく、現場や研究員から挙がった声をもとに設計されました。

「以前の研究所は穴倉みたいなところで、暗く小さな実験室で2、3人が作業し、ほかの部署の誰とも接触しない、そんな環境でした。新しい施設をつくるとなったとき、思いっきり光を浴びよう、解放されようと思ったのでしょう。理解できますよ。一部からは『明る過ぎます!』と言われますが(笑)」

施設のコンセプトは「開放」と「融合」と「挑戦」。建設途中に訪れた三浦社長が感じたもの、思いついたものがそのまま採用されました。

「働く人の思いが集約された場所ですから、よい環境ですよね。この建物は〝健康経営〟そのものと思います」

従業員の誰でも気軽に話しかけられるように、常に社長室のドアを開けているという、自称「話好き」の三浦社長。コミュニケーションは成長のために必要不可欠で、社内はもちろん社外との交流も欠かせないと言います。

「うちの従業員は、学会とか研究会とか、学ぶ意識は非常に高く、吸収するのは得意。でも吸収したものを発散する場がなかった。それだと大きくはならない。一人ひとりが持つ情報や知識をほかの人、あるいは他社と融合することで、何か変わるかもしれないし、何か生まれるかもしれない。そういったことにも期待しています」

生産効率を上げる、イノベーションを起こすなどと掲げたところでなかなか実現しない課題をコミュニケーションで自然発生的に解決できるとしたら……。京都R&Dセンターにはその環境がありました。

働き方だけでなく、働きがいにも注目し、健康経営を進める三浦社長は人事評価制度の刷新にも着手しました。

「私の印象ですが、仲間意識が強いぶん、内々で話すようなところがあって、内部での競争はほとんどなかったです。ということは外でも競争が生まれない。それはイコール成長しない、あるいは成長速度が極めて遅いということ。

新日本理化はそういうやり方で成功してきたし、100年続いてきたのだと思いますが、ただ、やはり世の中の環境も変化していますからね。それに対応しないといけません」

始まった人事評価制度は競争を煽るのではなく、成長を促すためのもの。課題を上司と共有し、挑戦的な目標を考え取り組んでいくというものです。達成すれば評価され、未達でもマイナス評価はありません。研究所でもテーマ提案という、自分がやってみたい、成し遂げたいテーマを「やりたい」と宣言し、上司や周囲が面白いと思えば期間を決めてやってみる、という取り組みを行っています。

「成果が出るかはまだ先ですが、とにかく前向きなマインドを持ってほしいし、そういう人を応援できる評価や仕事の仕組みを考えています」。

新たな試みであるがゆえに、まだ手探りですが、若い世代を中心に、チャレンジの輪は広がっているようです。

「与えられた業務を高いパフォーマンスで淡々とこなす、そういう従業員も必要です。ただ、何かに触れて、自己の欲求が生まれたときに、我々はその思いを確実に知らなくてはならないし、それを実現させるためのサポート体制をできるだけ整えておかなければならない。それが我々の使命だと思っています」

新日本理化、そして三浦社長が健康経営、ウェルビーイング経営を進める大きな理由は、それらと企業の成長が強くリンクしていると考えるからです。

「新しい挑戦や課題に対して、現場が『やってみよう』と思うかどうか、ひとつになれるかどうか。それは企業が成長するか否かの分岐点です。

企業と従業員の関係において理想なのは、個人の目標と企業の目標をできるだけ近づけていくこと。そのために必要なのは、社員のエンゲージメントを高めることです。新日本理化で働いていて楽しい、充実していると思ってもらえる環境づくりを続けていかねばなりません」

そんな環境づくりも、施策や制度も全従業員を満足させることはできません。そのため、エンゲージメントを高める作業は容易なことではありません。それでも、一人ひとりの思いを育み、汲み取っていきたいと三浦社長は言います。

「個人と会社のベクトルを完全に重ねるというのは、叶わない永遠の課題かもしれませんが、少しずつ成果は出てきていますし、経営者として目指すべきテーマだと思っています」

100年続く秘訣はここにあった!新日本理化の働き方がわかる

働きやすい職場環境づくりに向けて

当社は化学会社として、労働安全衛生法遵守、労災防止や従業員および関連会社の作業従事者の安全確保、健康の保持増進等を目的とした安全衛生管理を推進してきました。背景として、当時では当たり前でしたが、1940年代前半までは、当社の工場でも12時間労働2交替制で、休日は月2回という過酷な労働条件の中、労災も多発。そのため「誰もが働きやすい職場環境づくり」という概念は、従業員にも経営陣にも古くから根付いており、現在の社内制度の基礎となる協議が次々と繰り広げられてきました。

創業100年の感謝の証、これからの100年の総本山 京都R&Dセンターに潜入

研究開発部内藤 友梨子さん

2019年に創業100周年を迎えた新日本理化は、次の100年に向けた研究開発力・技術力の強化とオープンイノベーション推進による新たな価値の創造を目的として、けいはんな学研都市(京都府精華町)に「京都R&Dセンター」を創設・竣工し、2021年5月より業務を開始しました。

実験室のほか、パイロットプラントも設けており、研究開発や生産技術、製造、品質保証の各部門が連携することでフラスコワークから実機プラントでの生産までスムーズに移行できます。

コンセプトは「開放·融合·挑戦」。

地上3階建て、緑豊かな環境を借景とし、開放的で明るく快適な空間を意識しました。すべての活動の基礎となるコミュニケーションを活性化する仕組みも盛り込んでいます。

また、さまざまなビジネスパートナーとの技術交流に活用できる共同実験室を設けるなど研究拠点を広く開放し、お客様と共にイノベーションを創出、社会課題の解決に挑戦しています。

パイロットエリア

成形試作や大容量の合成を行うパイロットプラント。フラスコワークから量産へスムーズに移行できる体制を構築しています。「開放」のテーマ通り、パイロット実験の様子を見られるように通路を設置。隣接された成形加工エリアでは、樹脂の成型工程なども見学できます。

ラボエリア

あらゆる年齢層、テーマを持った研究員が同じ空間で実験・研究をしています。オープンな情報共有が研究の速度や質、創造力の向上につながります。

分析室

1階の分析室は同階のパイロットエリア
で作製した樹脂の評価がすぐに行えるように、熱分析装置など評価に必要な装置を1カ所に集約しています。

オフィスエリア

ガラス張りで、仕切りのない2つの広い実験室エリアのすぐ隣にあり、各々が実験している様子が見える位置でデスクワークを進めています。

執務室

全席フリーアドレスで、研究員の席は毎日ルーレットで決めるなど、日常の中で他部署のメンバーと積極的にコミュニケーションがとれる仕組みにしています。

大会議室

研究テーマの提案は研究員に限らず従業員の誰もが挑戦することができます。発表会では提案者の情熱をベースに早期実現に向けて活発な議論が繰り広げられています。

マグネットエリア

上下階のさまざまな人が行き交うエリアの中央に「マグネットエリア」(引き寄せられる場所)を設けました。休憩や簡単な打ち合せなどに使用していますが、そこでの部署の枠を超えた雑談が、仕事のアイデアに結びつくことも。R&Dセンターにとって重要なスペースになっています。

エントランス

1階西側の来訪者用エントランス。待合いスペースには創業100年の歴史と新日本理化の未来が集約されています。この先には技術交流を図る共同実験室があります。

 

新日本理化の「働きやすさ」と「働きがい」
若手からベテランまで勤務地、職種もさまざまに幅広く集めてみました

研究開発部 西川理穂さん

忙しいですが、充実した毎日です!

入社して半年は各研究チームを体験し、その後希望したチームに配属され、現在2年目です。大学院博士課程で近しい研究を行っていたため、学生のときに得た知識・経験を活かすことができるチームに加われたことをうれしく思います。現在の主な研究内容は、不透明なプラスチックを透明にする添加剤や強度・硬さを改善する添加剤の開発です。最近は新商品に対してたくさんのお客様に興味を持っていただいており、忙しい毎日ですが充実しています。これまで、学会発表やドイツで開かれた世界最大級のプラスチック関連の展示会への参加など、私の要望に沿って貴重な機会をたくさん与えていただきました。スキルアップにつながる機会を得たことに感謝しています。

経理部 福島 翔太さん

従業員に寄り添った多様で柔軟な働き方

転職で入社、4年目です。基本的に手を挙げれば何でも挑戦させてくれる社風のため、やりたいと思ったことは積極的に伝えています。決算書の見方を全社にレクチャーするなど、文系の私でも管理部門として何ができるかを考え業務にあたっています。夫婦共働きで、子供の登園は私が対応しており、保育園を経由し出社しています。当社ではコアレスフレックス制度を導入しており、テレワークと併せて活用することで通勤時間を短縮でき、フレキシブルな働き方により就労と家庭での時間の捻出を実現しています。何より私の働き方を理解して接してくださる上司、同僚には感謝してもしきれません。家庭と職場環境を大切にしながら前進し、当社と共に成長できればと思います。

営業第一部 米田 拡平さん

社会への貢献と自身の成長を実感

入社から営業を担当、今年で10年目です。現在は植物系原料をベースにしたオレオケミカル部門を担当しています。工業用向け・香粧品向けの原料として、世の中のさまざまなところで弊社製品が使用されています。自分が販売した原料を配合した商品をCMや店舗で見ると、社会に貢献できていることを実感します。お客様との面談があるため体調管理には極力気を配っていますが、当社には産業保健スタッフへの健康相談や医療費補助制度があり、安心して業務に専念できる環境があります。また、英語学習など各種研修制度も充実していますが、自分の信念や目標に従い、社内制度を能動的に活用することが、個の成長をより促すと思っています。

購買部 粕谷 紗貴子さん

意見を言い合え聞き入れてくれる

受発注業務に携わるデリバリーを担当。職場には、心強いメンバーが揃っており、私自身育児休業を2回取得し、職場の協力を得て、育児・家事・仕事の両立ができ、十数年従事しています。オフィスはフリーアドレスに変更。フロアのあちこちに集合し、いつでも相談し合えるよい環境です。当社では、全従業員が年間1件以上の業務改善策を提案する活動を行っています。私も請求書の承認・送付作業について効率よく変更したい旨を上司に伝えたところ「すぐやろう」と背中を押していただきました。その結果、費用対効果も出て、部長賞をいただき、表彰会で発表するという経験ができました。みんなのアイデアで会社がよりよく変化しています。

徳島設備管理課 桒村 育敬さん

ジム通い、映画鑑賞など趣味もサポート

主な業務内容は、設備保全です。現在は12名で、電気、回転機器、塔槽関係の設備の種類ごとに3チームに分かれて仕事をし、各々が専門の知識を高めています。当社の魅力のひとつは、年次有給休暇の取得率の高さです。実際に年休の取りやすい環境で、子供の病気などで利用できる看護休暇もあり、家庭と仕事の両立ができ助かっています。また、年休を消化できなくても一定日数積み立てが可能で、なるべく失効しないような仕組みになっています。趣味は筋トレで、ジムに通っています。カフェテリアプランでは、ジムの月会費の補助や劇場鑑賞の優待を受けることができ、トレーニングや映画鑑賞など、リフレッシュに活用しています。

生産試作課 多田 誠さん

ワークライフバランスの取れる職場です

入社して京都工場の生産部門へ配属。その後、研究開発品の試作部門へ配属に。化学プラントでは、何をさておいても「安全」が第一。チームがより安全で効率的に働けるようにするためのアイデア創出・設備改善はやりがいを感じられるポイントです。製造現場では休暇を取った人の業務をチームでカバーする体制が整っているので、気兼ねなく取得することができています。最近、同期の男性社員が約半年間の育児休業を取得したりと、男性の育休も浸透してきました。これまでの社会人生活の中で、「充分な休息を取ること・余暇を大切にすること」は重要だと実感しており、そういう意味でワークライフバランスがしっかり取れているよい職場だと思います。

 

こんな会社で働きたい ウェルビーイングな働き方を実現する健康経営企業編』より転載。

 

 

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