2023.05.08

パナソニックITS株式会社|社員のワクワク感を高めてモチベーションや生産性をアップ!

2000年設立のパナソニックITSは、カーオーディオやナビゲーションシステム、ディスプレイメーター、ADAS(先進運転支援システム)などの車載機器を設計・開発する技術集団です。日夜進歩するカーエレクトロニクスの領域から、ドライバーに車を運転する楽しさや安心・安全を提供する企業として知られています。

同社は2016年から社員のモチベーションや生産性の向上を目的とした社内改革に着手し、2021年には健康経営を推進する「健康部会」を発足。社員発信で展開される多種多様な施策は好評を博しており、2022年度に続き2年連続で、「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」において「ホワイト500」を取得しました。
移動に困らない地域社会の創造を目指した、北海道室蘭市との連携でも注目を集めている同社。近年は新卒採用に注力し、社員の平均年齢は約37歳と活気にあふれています。

働きながらワクワクできる社風の醸成に成功

パナソニックITSの健康経営は、2016年に経営層が変わったタイミングから始まりました。健康にかかわる事柄に限定することなく、社員のモチベーションアップを目的としたさまざまな施策が発足され、これを推進するとともに社員の活性化が進んでいったそうです。

社員の声を直接社長に届けられる仕組みづくりや、若い世代の採用強化・社内の活性化により、社員間のコミュニケーション頻度が上がり、働きながらワクワクできる社風の醸成に成功。さらには「ホワイト500」の取得に向けて健康部会が発足し、より社員の健康に対する意識が高まってきました。

健康部会の尽力でスピーディーに認定取得

健康部会発足以降は社員が楽しみながら取り組める数々の施策を行い、1年で「ホワイト500」を取得。社員から発案された企画も実現するなど、健康推進の取り組みをボトムアップで積極的に実施しています。

健康部会ミーティングや四半期ごとに行われる総合朝会、社員が発行する『健康推進ニュース』などで、健康経営に関する取り組みの進捗を定期的に全社でシェア。そうすることで健康部会の取り組みが社内に浸透し、効率的な健康経営の推進につながったそうです。

パナソニックITSの健康経営はぶっちゃけどう?

開発センター西島海渡さん

在宅勤務中も定期的に情報発信があり、身体を動かすモチベーションが高まりました。社員の健康維持に多方面からアプローチしてくれるため、とても助かっています。私は会社が進める宅配の健康食事サービスを利用していますが、一人暮らしだとどうしても偏ってしまいがちな食生活が改善しました。

開発センター 釜坂小菜見さん

睡眠に関するセミナーなど、元々自分の中で興味があった領域の情報を会社側から発信してくれているのがうれしいです。バラエティに富んだ施策の中には「Mayuyoga」など、社員からの企画が採用された例もあり、画一的でないボトムアップ型の取り組みも実施しているのがとても良いと感じています。

開発センター 後藤 孟毅さん

「パナリンピック」など、無理なく社員が取り組める施策を通して、健康に対する意識づけを行ってくれているのはありがたい限りです。多くの施策が継続的に実施されているので、社員の健康を考えてくれている会社だと日々実感しています。1カ月で4kgほど体重を減らすことができたのは、会社のおかげです!

モチベーションが上がる施策の数々を一挙公開!

 

01.MAKE X HAPPY

会社をよりよくするためのさまざまな改革を社員自ら発案して実行する取り組み。全社員を5名程度のメンバーで約100チームに分け、意見交換し、出てきた提案を直接社長にプレゼンします。このプロジェクトから会社イメージの「Ignite The Spirit.-情熱に火を灯せ。」が生まれ、新たな休暇制度が創設されるなど、社員の発案から実行に至るまで、意思決定がスピーディーなのも魅力です。

02.パナリンピック

当社では、身体を動かすイベントを総称して、「パナリンピック(パナソニックとオリンピックを掛け合わせた造語)」と呼んでいます。夏季には体力チェック、秋季には取引先企業も参加するウォーキングイベントを実施しています。

任意参加ながらも、参加率は約9割に達し、気軽に健康を意識できる取り組みとして好評を博しています。ウォーキングイベントは個人・組織ごとにランキングを発表しますので、高いモチベーションを保ちながら取り組むことが可能です。

03.オフィス改革

広々としたフリーアドレスエリアが好評です。オフィス内に設置された約30台のデジタルサイネージには、イベントや研修・セミナー報告、各種告知などの情報を映し出し、スムーズな情報共有を図っています。オフィススペースの一角には、週朱打ち手仕事に取り組める個室・半個室のブースを設置しているほか、体組成計や血圧計、エアロバイクなどの健康器具を用意したスペースもあり、出社時や休息時などの隙間時間に活用して、手軽にリフレッシュできるように設計されています。

別フロアには倉庫として使われていたスペースをリノベーションした研修施設「教育Do-Jo」や休憩スペースがあります。

04.健康セミナー

睡眠、お酒との付き合い方、食育、健康な状態を手に入れるための自己啓発など、健康に関するセミナーを年4回実施しています。
テーマは社員の健康診断の結果から健康課題を読み取ったうえで選定しており、在宅勤務で乱れがちな生活習慣を改善するのに役立っています。
セミナーはすべてオンラインで実施しています。自宅やオフィス等、場所を問わず気軽に受講できるのもポイントです。

05.Mayuyoga

週2回実施しているオンラインヨガレッスンです。ヨガインストラクターの資格を持つ社員が講師となり、上半身のストレッチやヨガポーズなど、初心者でも気軽にできる1回3分間のレッスンを行っています。イベント開催時には50名以上の社員が受講したこともありました。グループ企業の社員も受講するなど、幅広い社員に親しまれている取り組みです。

06.部活動

野球、テニス、ゴルフ、バスケットボール、eスポーツ、お花の会など、約10種の部と同好会があります。各部活動は健康経営を推進する以前からあったもので、部員数に合わせた活動費が会社から支給されます。世代や部署の垣根を超えた、社員同士の相互理解の場として活発に活動しています。

07.ITS Farm

休耕地だったところを、有志社員の手でイチから耕し、農園づくりを行いました。開園は2022年9月で、さまざまな農作物を育てています。農園は会社から徒歩で約8分の距離にあり、広さは800㎡ほどあります。敷地内に農具が用意されており、手ぶらで訪れても作業ができます。休日には家族連れの社員も訪れ、運動不足の解消はもちろん、お子さんと一緒に土に触れるよい機会となっています。

08.夏祭り・クリパ

社員と一緒に家族も参加できる「夏祭り」と「クリスマスパーティー」を開催しています。各家庭にはデリバリーの食事を提供して、オンラインで会話をしながら食事や余興を楽しみます。

日頃、社内で顔を合わせている社員同士だけでなく、ご家族なども交流できるようにして、温かみが感じられるイベントを作りたいと考え、企画しました。豪華景品が当たる抽選会は、毎回大いに盛り上がります。

09.ロボコン・バベル

2016年からは、「ロボットコンテスト」に参加。当社ならではの高い技術力を生かして、全国大会で好成績を収めました。

テレビ番組『創造バトルバラエティ・バベル』に出演した時は、段ボールで製作した巨大なゴーレム像の強度を競い、見事対戦チームに勝利しました。こうした社外の活動は当社のPRに貢献しています。

健康部会メンバーに聞いた!健康経営のリアル

パナソニックITSの健康経営を推進する核となっているのが、2021年に発足した健康部会。多種多様な企画を実施し、健康に関する情報発信を続けるメンバーに、各施策に対する現在の率直な想いを伺いました。

開発センター 布 弘志さん

健康経営の取り組みで驚いたこと

「健康」とひと口に言っても、500人以上の社員一人ひとりの意識が異なる中で、これに対し働きかけ、結果を出さなくてはいけないという健康部会のミッションは大変なものだなというのが第一印象でした。しかし、実際に部会が動き始めると、各種施策への社員の参加率も高く、「ホワイト500」を取得できました。取り組みがスムーズに社内へ浸透したのは、私が思っていたより健康に関心の高い社員が多かったことが一因ではないかと驚きましたね。

開発センター 島田 和徳さん

健康部会の活動でうれしかったこと

これまでかかわる機会がなかった他部署の社員と交流しながら、健康経営に取り組めたのが一番うれしかったです。また、企画したイベントに多数の社員が参加してくれたことにやりがいを感じました。「体力チェック」「ウォークラリー」「ヨガ」などさまざまな企画を実施する中、軽い気持ちで企画した「健康川柳」には、予想を大きく上回る330句の投稿がありました。やはり反応があるとうれしく、健康部会の活動の中でも印象深い企画になりました。

Qualis部 高野 雅夫さん

やりがいを感じる瞬間

各企画への参加率が高く、実施後に行ったアンケートで「いい企画だった」「続けてほしい」という温かい意見をいただけた際にやりがいを感じました。参加した社員の生の声に触れられたことが活力につながったと思います。社員の喫煙率低下を目的として実施した「卒煙インタビュー」という企画では、日頃接する機会のなかった他部署の方に話を聞くよい機会にもなり、印象に残っています。

開発センター 下島 圭悟さん

健康経営の推し施策

四半期ごとにウェブ上で『健康推進ニュース』を発行していて、業務の合間に読んでいただくことで、社員の健康に関する意識向上に一役買っています。記事の内容は、イベント告知や実施報告、トレーニングジムや任意検診の紹介など。休憩の際などに社員同士の会話が弾むきっかけになっていると評判もよく、パナソニックITSの健康経営に欠かせない取り組みだと感じています。

情報システム部 岩城 巧さん

健康経営、社員に対する想い

私の担当は健康経営に関するホームページの編集・更新作業です。ホームページをきっかけに、社員同士のコミュニケーションの輪が広がってほしい、身体だけでなく心も健康になってほしいという思いで取り組んできました。情報を発信するうえで努めていたのは、わかりやすく、ワクワクするようなコンテンツづくりをするということ。社員からポジティブな反応をもらえると、やはりうれしいですね。

Qualis部 芦田 雅人さん

健康部会の活動で苦労したこと

一番気を遣っているのは、年間を通して情報発信やイベントの企画などを絶えず実施していくということです。散発的な施策では社員からの注目度が下がってしまうため、活発な部会となるように取り組んできました。そんな中、飯島常務が健康に関するメッセージを毎月所感で社内発信していただいたのはうれしかったですね。トップ(経営層)と社員が一丸となって取り組めたことが、今日につながっていると思います。

 

 

Special 対談 田辺 孝由樹社長×飯島 春樹常務
パナソニックITSの社員はなぜモチベーションが高いのか

部長合宿から始まった社内改革

田辺 2016年10月まで、私は6年半ヨーロッパに赴任していたのですが、帰国した際、社内の雰囲気に違和感を抱いたことが社内改革のきっかけでした。当社は、パナソニックグループの中でも開発を担っている会社ですから、「新しい何かを生み出そう」という活力にあふれていなければならないはずです。しかし、最前線で技術開発を行っているんだという自信が失われているように見えました。

飯島 当時は今に比べて休職者が多かったり、離職率が高かったりと、数字から見ても元気がなかったですね。

田辺 その後、2017年4月に私が代表になり、会社を元気にしていきたいということで、さまざまな取り組みを推進していきました。

飯島 最初に取り組んだのが、当時の部長を集めて行った合宿です。

田辺 どんな企業風土にしたいのか、各々が考えていることをざっくばらんに打ち明けて、社員のモチベーションをどのように向上させるかを語り合いました。たとえば、「仕事の報酬ってお金だけじゃないよね」といったテーマなら、能力が高く、成果をあげた社員には自分の好きな仕事を選べる状況をつくるといった具合です。

飯島 当社は量産設計のプロフェッショナルである反面、自分たちで事業を計画してモノを売るというような直接的な成果が見えにくい会社でもあります。しかし、そこも考え方ひとつで、私たちがいるから業界内での競争優位性を保てているんだという実感を社員一人ひとりが得られれば、よい形でマインドセットができるのではないかなど、発展的な意見がたくさん出ました。

田辺 傍から見るとすごくカッコいい仕事をしている会社なのに、当時は会社全体として自分たちが何者なのかを見失っている状態にありました。そのため、会社や仕事の魅力をわかりやすく提示していこうということを社内改革の基礎として据えたのです。実は「健康経営」もその一環で、実際に働きやすい環境づくり、社員の健康を重視する取り組みを推進する中で「ホワイト500」を取得できれば、社員が胸を張ってパナソニックITSで働ける理由のひとつになるという考え方から実践しています。

飯島 合宿を行ったのが今から約6年前になりますが、その頃から推進してきたことが、少しずつ形になってきているなというのが今の状況ですね。会社を変えていこうとスタートを切る段階で、まず合宿で上層部が腹を割って話し合い、意識を固められたのはすごくよかったなと改めて感じます。

田辺 これから成長しようというときに、「課題があるから頑張れ!」と社員に発破をかけるだけでは、窮屈になってモチベーションが上がるはずもないですよね。人は、今よりもよい未来をイメージできれば、自然とやる気が生まれてくるものです。どうやって社員をワクワクさせようかなということを考え、実践してきた結果が現在につながっています。

飯島 社員一人ひとりが、「ウチの会社すごいな!」と胸を張って毎日を過ごすことができれば、仕事に対する意識が前向きになり、業務効率化や離職率の低下など、よい影響が出てくると考えていました。とはいえ、よいアイデアを出していくのには苦労もありました。

田辺 「今日、金の卵産んだ?」ってよく飯島さんに声をかけていましたよね。私の出身地である北海道室蘭市の産官学民で連携して行っている「夢プロジェクト」もそのひとつで、まったく新しい事業として、地方都市におけるモビリティを核としたDX推進にチャレンジしています。2020年に室蘭市と協定を締結し、現地にオフィスを創設。2021年に経済産業省のMaaS推進事業に選定され、2022年にはビジネススクールも開講するなど、私たちの技術を活かした次世代の地方創生・街づくりを社員がリアルタイムに感じられる状況が生まれています。

飯島 ネットニュースやYou TubeなどのSNS、テレビ、新聞、さまざまな媒体を通じて、自分たちの会社が取り上げられていたり、話題になっていると、やはり会社や自分たちの技術力に誇りが持てるようになってきます。

田辺 ロボコンの出場やテレビ番組『バベル』の出演もそう。先ほど飯島さんからあったように、直接的な成果や社会貢献の姿が見えにくいからこそ、こういった活動にも注力して、社員のモチベーションアップに寄与したいというねらいがあります。

飯島 最初の3~4年はこのように新しいことへどんどんチャレンジしていくんだという姿勢を根付かせる意味で、田辺さん自身が広告塔になり、社内外を動き回っていました。

田辺 今はその役割を飯島さんにバトンタッチしているという感じです(笑)。

飯島 採用を大幅に強化したことも、社内の雰囲気を変えることに大きく貢献しています。

田辺 私たち役員が直接大学を訪問し、学生と話しながら会社の魅力を伝えていきました。

飯島 やはり比率で言えば会社説明に役員が来る企業は少なく、それだけで興味を持って話を聞いてくれるケースが多々ありました。

田辺 この5年間における新卒採用で、約200人が入社しました。もともと400人ほどの社員がいたところに、20代の若者が200人も入ってくれば、組織も活性化され、活気のある会社に生まれ変わりました。

飯島 新しい人財を積極的に取り入れた結果、今は毎月の社内報で「結婚しました!」「赤ちゃんが生まれました!」という喜ばしい報告が多く見られるようになりました。

田辺 僕らが入社した頃のような活気が戻ってきたという感じがしますね。

飯島 採用強化と同時期に20代前半の社員が中心となってイベントの企画などを行う「若人の会」が発足しました。これも会社に活力を生み出す組織として機能しています。

田辺 「3年目までは一人前と呼べません。だからその分、若手社員は元気で会社に貢献してほしい」という私の想いに呼応する形で、「ウォーターサバゲー」「フットサル」「花見」「運動会」など、ベタかもしれませんが社員が楽しめる各種イベントを3年目までの若手社員が企画・実施していきました。

飯島 若手社員が企画したイベントということもあって、当初から参加率が高く、こういった取り組みからも社内の雰囲気が徐々によい方向へ変わっていきましたね。

田辺 今後は設計開発の会社だからと社内に留まって仕事をするのではなく、自分たちが積極的に社会へ出て、人とかかわりながら仕事をしていくという経営スタイルにステップアップしたいと考えています。

飯島 お客様が感じている不満を解消したり、社会課題を解決する案を練り、ダイレクトに製品へ反映できることは、実際に開発を行っている私たちの強みです。2022年度から積極的に社外へ打ち合わせに出かけたり、新たな提案を行う機会が増えています。2025年には、室蘭で実証実験を行っているカーナビゲーションシステムの技術を活用した廃棄物収集の効率化や、乗り合いタクシーの運用など、地方都市における公共交通の活性化に貢献したいというのが今の目標ですね。

田辺 私たちが新たにやろうとしているのは、地方都市における持続可能なプラットフォームをつくることです。人口減少や厳しい経済状況の中で、地方で生まれた人がその土地で就職し、一生を終えられるような仕組みづくりを行っていかないと、大都市圏への一極集中がますます加速していくことになります。

パナソニックの創業者である松下幸之助が示した「物心一如」という考えがあります。これは「精神的な安定と物資の無尽蔵な供給が相まって初めて人生の幸福が安定する」という考えですが、私たちは社外も巻き込みながら、「物心一如」のコアとなり、私たちの経営スローガンである「人と社会をつなぐ」を実現していきたいと考えています。

私は、2030年、2040年の地方都市は今よりもっと人気が高くなると思っています。地方都市は物価が安く、土を触りながら生活ができ、親世代とのコミュニケーションが容易なことから子育ての心配も減ります。出社がリモートとなれば、地方都市で暮らすことを選択する若者が増えていくでしょう。

飯島 そんな地方都市のあり方を可能にするために私たちが取り組んでいるのは、スマートフォンで言えばiOSやAndroidのようなOSづくりです。優れたOSがあればソフトをつくる人がたくさん出てきますよね。

田辺 私たちが持っているモビリティ技術、すなわち移動手段は、街を循環する血液です。血液がうまく循環する、新たなプラットフォームをつくることによって、社内だけでなく、地域にもワクワク・キラキラする人たちが増えることを大いに期待しています。

 

こんな会社で働きたい ウェルビーイングな働き方を実現する健康経営企業編』より転載。

 

 

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