弁護士法人ブレインハート法律事務所|心に寄り添い解決まで導く、身近な弁護士を目指して

東京・丸の内、横浜、大阪、福島にオフィスを構える「弁護士法人ブレインハート法律事務所」。金銭トラブル、不動産関係事件、交通事故、離婚・男女問題、労務問題、破産などの一般民事事件や刑事事件に対処するいわゆる「町弁」の業務や中小企業向けの企業法務と並行して、国・自治体等の公的機関からの依頼による債権回収や法務サポート業務なども行っている。また、「事件が起こる前に気軽に相談してほしい」「もっと弁護士を身近に」との思いのもと、パーソナルロイヤーを提唱し、コロナ禍前からオンライン相談に着手するなど、新しい取り組みにも積極的だ。そうした幅広い業務や取り組み、そして理念について、菅野晴隆代表弁護士に語っていただいた。

依頼者の心に寄り添うブレインに社名に込めた思い

私が独立した2000年(法人化は2008年)から、「ブレインハート」の現社名で活動しています。この社名には、私の弁護士としての理念――良き弁護士であるには、「ブレイン」と「ハート」が大事だという考えを込めています。

当然のことですが、弁護士である以上は、依頼者が抱えている問題を解決まで導かなければなりません。私たちに求められるのは、まずはアドバイザー兼トラブルシュータ―としての能力。つまりブレインです。

一方で、ブレインに偏り過ぎると、事件処理ばかり気をとられ、ともすると依頼者が置いてけぼりになることも。例えば法的知識を持たない依頼者に対して、「もっと手短に話して」「要するにどういうこと?」などと問い詰めかねないのです。しかし、本来の弁護士の役割は、法律を生かして一人ひとりの権利を守っていくことです。そのためには、ハート(心)を大切に、痛みを抱えた方に寄り添い、じっくりと話を聞いて共感していくことが求められます。そんな原点を忘れないために、ブレインとハートを組み合わせた社名にしました。

もっとも、当時はこういう事務所名は珍しくて、ベテランの先生からは「ブレイクハート? ブレイブハートだっけ?」などとからかわれたりもしましたけどね(笑)。

正義の実現の仕方はさまざま

現在の仕事は、大きく分けて4つあります。

1. 一般民事や刑事事件を扱う「町弁」の仕事
2. 中小企業向けの企業法務
3. 国・自治体等の公的機関からの依頼による債権回収や法務サポート業務
4. 国から業務委託を受けた労働災害(労災)の第三者行為災害の調整業務

この4つです。

1番目、2番目はイメージできると思うので、3番目からもう少し説明しましょう。

現在、特に都市部では、企業の法的サポートを担当する「企業法務」に取り組む弁護士も多いのですが、上記3番目の「国や自治体等の法務サポート業務」というのは、いわば「企業法務」の国・自治体版です。

国・自治体等の公的機関から依頼を受け、業務に関して法的なアドバイスをしたり、債権回収などを担当したりします。国・自治体等における顧問弁護士のような役割も含まれます。

この業務の醍醐味の一つは、私たちのアドバイスやサポートが、行政の業務運営を円滑にするための一助になれるということです。例えば、県や市などの公的機関が抱える未収金の問題。住民税、市営住宅・県営住宅の家賃、奨学金、各種の貸付金、水道料、給食費、公立病院の治療費などが対象として挙げられますね。その一部は強制徴収も可能ですが、中には、裁判の手続きを要するものもあります。ところが、裁判を実施するにはハードルがある。費用面もそうですし、裁判をするには議会の承認が必要というところも少なくありません。

だからといって放置するのは、納税機関の公平や社会正義の観点からは問題です。そこで、当事務所とある自治体との協働により、裁判を行うこと自体や裁判を弁護士に依頼することについてのルール・スキーム作りを行い、実際に当事務所に裁判を依頼されて効果をあげた例も多数あり、近年では裁判をスムーズに行うためのルール作りや弁護士委託を進める自治体が増加傾向にあるように思われます。

こうした変更は一見地味かもしれませんが、納税者全員にとって有意義なことだと私たちは考えています。法的な正義というと、外側から自治体相手に戦うイメージを持ちがちですが、正義の実現の仕方は実はいろいろな方法があるのです。

第三者行為災害を一手に請け負う

続いて、4番目の「国から委託を受けた労災の第三者行為災害の調整」についてもご説明しましょう。

最近は企業が弁護士を直接雇う「インハウス(ロイヤー)」が増えていますが、この3番目の業務は、国のインハウスのような業務ともいえます。現在、国から委託を受け、労災事故の中の第三者行為災害*1について、当社がその支給等について調整役を担っています。

第三者行為災害で特に多いのは通勤時や業務中の交通事故なのですが、第三者*2の加害者がいるとなると、労災で治療費を受け取った被災者(被害者、以下略)は、当然、第三者(加害者、以下略)に損害賠償請求をすることになります。

ところが、被災者はすでに労災から治療費を受け取っている場合があります。つまりこの状態は、労災(国)が、本来は第三者が支払うべき損害賠償を立て替えている関係に類似することになります。

そこで、国は被災者の権利を譲り受けるような形で、第三者に損害賠償請求をしていくことができるのですが、その交渉相手は、損保会社のベテランスタッフや代理人の弁護士となることも少なくありません。国にも労働基準監督署や労働局がありますが、彼らは交通事故の損害賠償案件のプロではありませんから、百戦錬磨の相手との交渉には手を焼くこともあります。

しかも難しいことに、被災者保護の観点を持つ労災法と必要最小限の賠償をすればよいという交通事故の不法行為における民法の考え方とでは、そもそものスタンスが異なります。少なくないケースとして、損保会社が「労災は手厚く出し過ぎ。そこまで我々が支出する必要はない」と主張し、支払いに応じない場合があるのです。また、過失の割合が問題となるケースもあります。したがって、法律のプロ同士の交渉が必要ということで、我々がそこを担当しています。

ちなみに、この支給等調整業務においては、労災保険の現実的な支給時期に近い段階で相手方と調整を図ることができるので、以前のように最終的な段階で請求を拒まれる場合と比べると事前の調整が図られるようになりました。それによって、以前よりも未収金となるケースは減少するようになってきています。このような形で公の役に立てるというのも私たちのやりがいとなっています。

(*注釈)※次を参照
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-10-03.pdf

*1 第三者行為災害=労災保険の給付の原因である事故が第三者の行為などによって生じたものであり、労災保険の受給権者である被災労働者または遺族に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものをいう。具体的には、交通事故による労災事故等は第三者行為災害に含まれる一方、仕事中に自分のミスで自分が負傷したような典型的な労災事故は、第三者行為災害に含まれない。

*2 第三者=当該災害に関する労災保険の保険関係の当事者(政府、事業主および労災保険の受給権者)以外の者。例えば、車相手の交通事故の場合であれば、相手の運転手は「第三者行為災害」における「第三者」に該当する。

基本の弁護士業務を大切にしたい

このような専門性を持つ当事務所ですが、創設時から現在まで、一貫して弁護士の一般業務、すなわち一般民事事件や刑事事件、そして中小企業の法務サポートも大切にしています。というのも、一般業務を数多く担当していくことで市民のお客様のお役に立つことは弁護士業務の基本中の基本と考えておりますし、このような業務を沢山こなしていく力がなければ、先述したような、適切な提言やアドバイスなどを継続的に行っていくことは到底できないからです。弁護士として良いアドバイザーになるには、多様な事件処理の経験、法的な流れ、動き、そこに芽生える当事者の感情などを理解していることが大切です。

例えば、先ほど第三者行為災害の多くは交通事故だとお伝えしましたが、当然、それだけではありません。暴行事件や傷害事件などもありますし、建物の崩落事件などもあります。それらに幅広く対処できるようになるには、さまざまな事件に関わって、経験を積んでいくことが必要です。

私自身は、25年以上の弁護士経験の中で、損保会社の顧問弁護士や、損害保険の弁護士特約の担当弁護士を務めてもいました。一方で、刑事事件においても、詐欺、窃盗、強盗、強姦、殺人など、さまざまな事件を担当してきています。ですから、第三者行為災害で傷害事件の案件に出会っても、動じることはないのです。刑事・民事の事件処理がどのように進むかを理解していますから。

やはり弁護士の基本は、あくまでも依頼者のために頑張るということです。その意味では、弁護士にとって、民事でも刑事でも、直接依頼者と関わる一般の事件は大事にしていかなければならないものだと思います。弁護士の本分といいますか、法律家として事件に関わり、それによって一人ひとりを守るという原点を忘れてはいけないと思っています。

事件を未然に「防ぐ」、新しい弁護士の在り方を提唱

今後の展望としては、全国に拠点を広げることも検討し、より市民の方に弁護士に対して親近感を覚えてもらえるようにできればと思っています。

私は数年前から「パーソナルロイヤー」という名称で、個人のための弁護士の在り方を提唱しているのですが、弁護士というのは必ずしも事件が起こってから必要となるものではなく、事件が起こる前からご活用いただけるものだと考えています。というのも、私たちにはさまざまな事件・事例を見てきた経験があるので、法的な知識も合わせれば、「事件を予防する」「選択肢を増やす」ということに役立てるはずだからです。

私自身、弁護士を目指すきっかけとなったのは、事業を営んでいた親族の倒産でした。小学生の頃のことです。親族の倒産から始まった連鎖倒産で、私たちの家族の生活も大変になってしまったのです。あっという間のことでした。この件に関与した弁護士さんの姿が印象的だったのが弁護士に惹かれたきっかけでしたが、ともあれ、もしあのときに親族が、もっと事前に弁護士を気軽に利用でき、適切な法的アドバイスを受けていたなら、会社を守る方法を知ることができたかもしれませんし、万一のときにもさまざまな選択肢を用意できていたかもしれません。

社会の中で生きていれば法律が絡まないということはありませんから、法的な情報を取って、適切な判断をしていけるようにすることが大切です。そのためにも、多くの市民に、もっと気軽に弁護士を普段からご活用いただければと思っています。

その一助になればと、オンライン弁護士相談やホームページ・LINEからの24時間相談予約、外国語対応、書籍発行(『経験に学ぶな』/クロスメディア・パブリッシング)、YouTubeでの動画配信などを行っています。さらには、異なる角度からより親近感を持ってもらおうと、私自身が自称スーツジャケパンコーディネート研究家として、インスタグラムでの発信などもしています。

今後はAIなど新しい技術をうまく活用しながら、市民一人ひとりに気軽にご利用いただける弁護士を目指していきたいと思っています。

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■スタッフの声/弁護士 西岡良祐さん

ニッチだけど最先端の面白さとやりがいを感じる日々

― なぜブレインハート法律事務所を志望されたのでしょうか。

「ハートに寄り添って、ブレインで解決に導く」という理念と、ほかの弁護士事務所があまりやっていない分野の最先端にいるところに惹かれて志望しました。現在、入所して3年になります。

現在、どのような業務を担当されているのでしょうか。

私は現在、東京丸の内のオフィスにて、一般民事・企業法務だけでなく、国や自治体等の法務を主に取り扱っています。

国や自治体等と関わる業務というのは、弁護士業の中ではニッチな分野なのかもしれませんが、それゆえに先例・判例のないところを手探りで進んでいくこともあり、やりがいがあります。特に、自治体等のルール作りや大規模な事業にコミットしていけるのは、社会にダイナミックに関われる醍醐味を感じます。

― 非常にやりがいのあるお仕事をされているのですね。職場環境についてはいかがでしょう。

社風としては、温故知新というべきでしょうか。創業当初から変わらず「ブレインハート」の理念を大切にしながら、ITを活用して業務の効率化を図ったり、フレックスな執務を導入したりなど、働きやすい環境へと定期的にバージョンアップさせています。変われる部分は時代に先駆けてどんどん変化している印象があります。何より、代表弁護士が気さくに応対してくれるの居心地よいですね。

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