2026.04.09

dentsu Japan(国内電通グループ) DEI視点から生まれたビジネスと活動事例

dentsu Japanでは「B2B2S(Business to Business to Society)」という経営方針が掲げられています。かつてないアイデアを生み出し、顧客の事業を通して社会を変革する。DEIは、まさに経営方針と直結しています。従業員自らの意思で立ち上げたビジネスソリューションを紹介します。

これまでマーケティングとDEIは真逆の存在と捉えられがちでしたが、それらをどうつなぎ合わせるかが問われています。dentsu DEI innovationsでは、dentsu Japanの私たち自身が多様性課題について学び、あらゆる企業の成長とインクルーシブな社会の実現を結びつけていく力となることをミッションにしています。
新たなマーケティング概念の「インクルーシブ・マーケティング」始め、ユニバーサルデザインフォント「みんなの文字」の開発や、発達に特性のある子どもとその保護者の意識のギャップを可視化したカード「GAP MIKKE」など、さまざまな事例が生まれています。

フェムテックのさらなる社会普及・浸透のためには、実際の当事者が抱える課題を捉えること。妊活、更年期障害、生理といったことだけでなく、まだ知られていない課題もあります。加えて、その課題をみんなが共感できる形で世に出していくこと。これらを、dentsuと顧客企業、メディアなどパートナーの力を結集して解決していきます。
これまでの事例は、子宮内の細菌叢の状態を調べる子宮内フローラチェックキットのコンセプト開発やデザイン。小学生向け新聞での性教育プロジェクト。女性の鉄分不足解消を目指した鉄プロダクトの開発など。女性が実力を発揮しやすい環境が実現すれば、より公平な目で良質なプロダクトやサービスが社会に提供されていくと考えています。

VISIONGRAMは視覚障害がある人の、一人ひとり異なる「見え方」を可視化するツールです。視力や視野の検査データを統合して、見え方を再現したビジュアルフィルターを生成。見え方を共有することで、障害がある人と健常者がもっとわかりあえる社会を目指します。VISIONGRAMは、医療や教育の領域で可能性が広がっています。医師が使えば、患者や患者の家族に、わかりやすく見え方を伝えることができます。盲学校の先生が使えば、生徒の見えている世界が個別にわかることで、より質の高い教育につながります。またスポーツ領域でも、視覚障害があるスポーツ選手の強化や、パラスポーツの観戦体験向上に活用することができます。

視覚障害を持つ方は、スポーツ観戦に出かけても状況がわからず、一緒に見えている人にも聞きづらい。だから現地観戦に行くのは気が引ける。そんな声をきっかけに開発されたのが、Voice Watch。AIが、リアルタイムでスポーツを実況してくれるシステムです。モータースポーツでは、ラップ数や順位だけではなく、過去のレースや選手の情報なども踏まえて、多言語で実況してくれます。
また、子どもの運動会も実況。視覚障害がある人が運動会に行っても、同じように子どもを応援している他の親に、自分の子どものことを聞きづらい。Voice Watchがあれば、視覚障害のある親も実況を聴き応援することができます。スポーツ観戦の情報格差がなくなり、スポーツをみんなが一緒に楽しめる社会を目指しています。

せたそらは、東京都世田谷区から受託している事業で、障害がある方たちが自分らしく、地域の方々と交流しながら暮らすことができるための取り組みです。dentsu Japan各社が障害のある方たちを雇用して農園を運営し、野菜を育てて売る。また、地域の福祉施設に通う障害の重い方たちにも農作業体験会を実施したり、農園で採れた野菜の加工や農園の管理を地域の福祉施設に依頼したりするなど、障害のある方の生活向上を目的とする側面もあります。
地域との交流が生まれることで、多くの人が障害に関心を持つようになりました。また、就労を諦めていた人たちが自信を持って働けるようになり、家族や支援者から変化を喜ぶ声も聞こえています。

特別支援学校の生徒たちの多くは、体力がない、あるいは身体が動かしづらいといった理由から、生活のほとんどを自宅と学校だけで過ごしています。彼ら彼女らが楽しみにできるようなイベントを開催したい。その活躍する姿を保護者の方に見てもらいたい。IncluFESは、そんな想いから立ち上がりました。2023年より年1回で開催しています。
都内の特別支援学校の生徒たちがハンドサッカー(東京都の肢体不自由特別支援学校で生まれた競技)をプレー。それぞれ精一杯にプレーしてゴールを決めたときなどは、会場全体から大きな歓声が上がります。ほかにもデジタルテクノロジーを使ったサイバーボッチャの体験や、パラアスリートのトークなどを展開。将来的には、障害のある子みなに知られ、そうでない子たちにも親しまれるような、多くの子どもたちが遊びに来るイベントとなることを目指しています。

従業員のアイデアがきっかけとなり発足した一般社団法人世界ゆるスポーツ協会は、性別、年齢、障害の有無、運動神経などに関係なく全員が楽しめるスポーツをつくっています。これまでに120以上のスポーツが生まれ、25万人以上が体験しています。「この人にヒーローになってほしい」と決めて、その人が世界チャンピオンになれるようなスポーツを考えます。
指の代わりに「トントン」と声を出して力士を動かす「トントンボイス相撲」は、高齢者の喉のリハビリから生まれました。500歩歩くと退場になってしまう「500歩サッカー」は、心臓が弱くて長く走れない子どもをヒーローにするためのスポーツです。オーダーメイドのスポーツは、まだまだ増えていきます。

LGBTQ+に対する理解を促進しようと、まずは当事者の割合を知ってもらうために調査を始めました。調査結果はおもにメディア、次いで自治体や研究機関で活用され、さらに顧客の商品・サービス開発、中学校から大学での探求学習で用いられることもあります。
これまでに5回調査を実施していますが、LGBTQ+の認知率は伸びているものの、当事者の不安や生きづらさに関する項目の数値はほとんど変わっていませんでした。また、当事者と非当事者それぞれに歩み寄りたい気持ちもある一方で、お互いに遠慮と配慮をし合っていることも分かってきました。そのすれ違いがなくなるきっかけをつくるチャレンジとなりました。

「すべてのがんサバイバーに笑顔を」をミッションに活動をしています。がん罹患経験者の方をゲストに、メイクとヘアスタイリングをして、フォトグラファーが撮影。写真に「自分が大事にしていること」を添えて、世界に一枚だけのポスターができあがります。
また、参加者にインタビューを行い、3分程度の動画を作成。これまでに計30回、7つの国・地域で展開しています。参加者の方からは、「前向きになれた」「自分の笑顔が輝いていた」といったコメントをいただいています。活動のきっかけは、ひとりの従業員のがん罹患でした。部員みんなのサポートから始まり、より社会的な活動にしようという思いで広がっていきました。

DEIに限らず、dentsuはとてもボトムアップな社風です。「自分はこれをやりたい」「こうしたいんだ」という、パッションがどんどん開花する集団です。そこには、自由だけでなく責任も伴います。そのとき、その場面に自分がふさわしければ、責任をもってリードしていく。リーダーという肩書きが付いたからリーダーになるわけではありません。そんな先輩の姿を見て、「自分もあんな風にやってみたい」、あるいは「先輩とは違うけれど、私はこう動いていく」と考える文化が根付いているんだと思います。

dentsu Japan
チーフ・ブランディング/カルチャーオフィサー
吉羽 優子さん

どんなことも、従業員一人ひとりの心が動かないと前には進みません。dentsu Japanでは、「これをやりたい」というアイデアや、「やってみよう」という実行力が一人ひとりに備わっているので、みんなが自発的に考えて形にしてしまう。そんなことが到るところで起きています。これは本当にdentsuの強みだと思います。DEIの推進も、その強みを核にして、自分たちで自分たちの課題やアイデアを考えて、周囲を巻き込みながら動かしていく。そんなボトムアップDEIをこれからも推進していきます。

dentsu Japan
チーフ・ダイバーシティ・オフィサー 兼
ヘッド・オブ・サステナビリティ
口羽 敦子さん


国内電通グループの約140社、23,000人で構成されるdentsu Japan。近年は、広告・コミュニケーション領域のみならず、システム開発、事業創造、企業変革など、あらゆる領域の課題を統合的に解決し、顧客の「成長」に伴走しています。多様な領域で新しい価値を生み出し続ける源泉は、従業員一人ひとりの多様性にあります。それぞれが自分の「やりたいこと」を明確に持ち、自発的に考え、行動する。互いの違いを尊重し、さまざまな意見を縦横無尽にぶつけ合うことで、思いもよらないアイデアが創造される。DEIの領域でも、社内施策だけでなくビジネスソリューションまで、さまざまなアクションが生まれています。


『こんな会社で働きたい DEI編』
クロスメディアHR総合研究所著/クロスメディア・パブリッシング刊

多様性を受け入れてくれる会社はどこにある?

本書は、企業が個人や組織に存在するさまざまな違いを認め、
年齢や性別、セクシュアリティ、国籍、障がいなどにかかわらず、
多様な働き方を実現する企業にフォーカスした、
「DEI(Diversity Equity and Inclusion)」がテーマです。

ダイバーシティな働き方を実現する先進企業は、
どんなことをやっているのか。

ぜひ、本書で取り上げる企業の事例から、
ヒントを得ていただけたらと思います。

Amazon購入ページはこちら


『こんな会社で働きたい 若手が活躍する働きがいカンパニー編』
クロスメディアHR総合研究所著/クロスメディア・パブリッシング刊

「働きがい」を選ぶことは、「生き方」を選ぶこと

社会に出る不安と期待を抱える学生へ。
理想や条件だけではなく、リアルで選びたいあなたへ。
そして“働く意味”を問い直したいすべての若手社会人へ。
若手が主役となる新時代のキャリアデザイン・ガイドブック。

先進的な取り組みをされている9社の企業を通して“働きがいのリアル”を立体的に可視化します。

報酬や知名度、ブランドだけでは測れない、挑戦できる機会と安心して失敗できる環境。
仲間とのつながり、社会との接続性、文化の力――。
本書はその見えない価値を可視化し、あなた自身の未来をデザインする視点を届けます。

Amazon購入ページはこちら

関連記事

相互住宅株式会社

相互住宅株式会社は2025年に設立70年を迎える第一生命グループの総合不動産会社であり、集合住宅のパイオニアだ。戦後の勤労者への住宅供給、海外の富裕層向けの高級…

株式会社仙北谷

左から 内田さん、仙北谷社長、柳田さん企業の「社会での存在意義」を打ち出す「パーパス」。昨今、世界的に「パーパス経営」が注目を集めているなか、国内での第…

株式会社サンギ

美白歯みがき「アパガード」で知られる株式会社サンギ。一世を風靡した「芸能人は歯が命」のテレビCMで歯みがき剤市場に「美白」のセグメントを作ったといわれる…

ENEOS株式会社

社会を根底から支え、人々の生活をより豊かにすることを使命に掲げている、ENEOS 株式会社。「アジアを代表するエネルギー・素材企業」への飛躍に向け、社員の心と身…

株式会社富士薬品

複合型医薬品企業として、たくさんの人の元気を支える富士薬品。従業員の健康維持・増進にも配慮しており、多岐にわたる施策を打ち出しています。今回は、同社で健康経営を…

三和建設

どんなモノもサービスも、それらを創造し、動かすひとがいなければ始まりません。会社を発展させるために必要なのは、社員を守り、育てること。その環境が挑戦するひとをつくります…