コーポレートスローガンとして「いつでも、ふぅ。AGF®」を掲げる味の素AGF。
コーヒーをはじめとする嗜好飲料とギフトを通じ、Relax(くつろぎ)、Reset(心の整え)、Refresh(気分一新)の「3R」を提供することによって、「ふぅ」があふれる社会に向けて、お客様の「ココロ」と「カラダ」の健康に貢献しています。
サステナビリティの実現に向けた取り組みでは、「人と人とのつながり」「地球環境との共生」を意識し、あらゆるパートナーと協創。今回紹介するのは、お客様はもちろん、従業員も取り組みながら幸せを感じているという味の素AGFならではの試みです。
多様な人財、イノベーションを生む風土へ
サステナビリティ推進部 企画推進グループ 田口 朋子さん
激しい環境変化への対応、人財確保の難度が上がっている中、より人的パフォーマンスを高めていくことが重要と考えています。社内向けの取り組みとしては、人財マネジメントにおいて多様化を促進するために「必要人財の充足化/成長化/活性化/安定化」を掲げ、多様性のある社員が働きがいを感じ、イノベーションを自発的に生む風土、個人と組織が対等な関係性で共成長できている状態を目指します。
嗜好飲料メーカーとしての5つの重要課題
2030年までに「環境負荷50%削減(2018年度対比)」および「10億人の健康寿命を延伸」。これが、当社が所属する味の素グループが掲げている目標です。その目標を実現するために、「資源循環型社会実現への貢献」「ココロとカラダの健康」「森林整備・水資源の保全」「持続可能な原料調達」「気候変動への対応」という5つの重要課題を定めています。
嗜好飲料メーカーとしては、商品を通じて「ココロ」と「カラダ」の健康への貢献、「3R」の提供によって、ゆとりのある社会の実現を目指しています。激しい環境変化への対応、人財確保の難度が上がっている中、より人的パフォーマンスを高めていくことが重要と考えています。
社内向けの取り組みとしては、人財マネジメントにおいて多様化を促進するために「必要人財の充足化/成長化/活性化/安定化」を掲げ、多様性のある社員が働きがいを感じ、イノベーションを自発的に生む風土、個人と組織が対等な関係性で共成長できている状態を目指します。
紙包材へのチャレンジを通して味の素AGFが伝えたいこと
包材開発部 包材開発グループ 高橋 宏影 さん
「資源循環型社会実現への貢献」に大きく関わるのが、容器包装です。当社の包材設計のベースにあるのは、Reduce(リデュース=削減)、Reuse(リユース=再利用)、Recycle(リサイクル=再資源化)の「3R」ですが、近年はここにRenewable(リニューアブル=再生可能)を加えた「4R」を意識して取り組みを推進しています。一方で、忘れてはいけないのがお客様の利便性です。環境への配慮を念頭に置きつつ、中身を守る、情報を伝える、使いやすいという包材本来の機能を損なわないよう研究・開発を進めています。
取り組みの一例を紹介しますと、一般的なスティック包装の材料は主にプラスチックですが、私たちは粉末スティック飲料として初めてこの材料の一部を紙に置き換え、プラスチックを減らす取り組みにチャレンジしました。2022年春にリニューアル発売した「ブレンディR」 ザリットルシリーズでは、プラスチック使用量を従来のものから約40%削減することができました。
このことは製品の二酸化炭素排出量削減に有効です。実用化までには工場の包装工程に何度も足を運び、現場担当者と量産適性を確認、改良に取り組みました。さらに、お客様が商品を使用されるシーンを想定し、私自身が自転車のかごに商品を乗せて凸凹道を何度も往復してみたり、社員にスティックのままビジネスバッグに入れて持ち歩いてもらったりするなど、何パターンもの破れやすい条件を考え、泥臭い実験を繰り返し行いました。苦労が多かった分、私にとって思い出深く、愛情深い商品です。
また、「企業がただ一方的にエコに取り組んで終わらせない」ことも意識しています。私たちの商品を手に取ってくださったお客様のうち一人でも多くの方に、当社の環境への取り組みを知っていただき、エシカル消費への意識を高めるきっかけになればと、マークの工夫も社員一同全力で行っています。
当社では、環境へ配慮していることが一目で分かる「ほっとするエコ」マーク表示を導入。2022年9月まで、309品目の商品に展開しています。「ほっとするエコ」マークには、リニューアブルな材料を使用した「植物性プラでエコ」や「再生プラでエコ」、先述したザリットルのように材料の一部を紙に置き換えてプラスチックを削減した「紙を使ってエコ」、FSC認証紙(※)を容器包装に使用した「森林資源保全でエコ」、使用後の分別が簡単な「捨てやすくてエコ」の5タイプがあります。独自の環境マークによるお客様との間接的なコミュニケーションによって、エシカル消費をさらに推進していくのも当社の役割であると考えています。
※国際的な認証制度であるForest Stewardship Council (森林管理協議会)が認定する、管理された森林から得られた木材を使用した紙
180のメッセージにかけた想いは“さりげなく寄り添う”
コンシューマービジネス部 マーケティング第1グループ 三島 紀幸 さん
「ココロ」と「カラダ」の健康をミッションに掲げ、大切にしている当社では、一本一本にメッセージの入った「ブレンディ®」スティックを展開しています。仕事や勉強、家事などで一息つきたくて飲むカフェオレや紅茶・抹茶など、そのとき目に入ってくる言葉がお客様の心に届くように、私たちがこだわって制作しているメッセージの種類は180にのぼります。
メッセージ入りスティックの根幹をなす考え方は、「お客様の気持ちに寄り添う」という想いです。ともすると、メッセージは押しつけがましくなってしまうため、商品化の前には一つ一つの内容を関係者全員でチェックしています。「休んだらイイ感じ。」「自分を信じて」「きっとうまくいくよ」「ひと息ついたらもっと飛べそう」など、お客様にさりげなく寄り添えているのが人気の理由だと感じています。また、よりお客様に和んでほしいという意図から、メッセージの隣にアーリーバードと名付けた鳥のキャラクターのかわいらしいイラストを添えています。
一息つくタイミングでコーヒーを飲む時にメッセージが心に響いた、受験勉強や就職活動で苦しい時に励まされた、入院中に病室でメッセージを読んで癒されたといったWebサイトのお客様相談室などを通じた多くのご感想から、「ココロ」の健康に貢献できていることを感じ、非常にうれしく思っています。現代社会では、ついつい気持ちが張りつめてしまう、頑張りすぎてしまう、ということも少なくないため、嗜好飲料と気持ちに寄り添うメッセージで、お客様の生活にゆとりと優しさをお届けできればと考えています。
現在、「ブレンディR」スティックの年間の飲用杯数は約12億杯。それだけ多くのお客様の目に触れる製品だからこそ一本一本に想いを込めています。これからもさまざまなお客様に商品をご提案しつつ、今後はさらに、ひと休みを取り入れる大切さをお勧めするような施策を打ち出していく予定です。
「ココロ」と「カラダ」の健康にまつわる施策としては、その他にも被災地支援のためのドリンクバー設置や、フードバンクへの商品の寄付などがあります。前者は、長期化する避難生活のストレスを少しでも和らげていただくために、災害被災地の仮設住宅集会所に8種類のスティックドリンクが入る什器を設置する取り組みです。後者は、全国6カ所のフードバンクに出荷期限を経過した商品を寄付することで、有効に活用していただいています。これからも嗜好飲料の力を信じ、「ココロ」の健康をサポートしていきたいと思います。
一本一本にメッセージが添えられているメッセージ入りスティック
「ブレンディ®の森」と名付けた地でのある活動
サステナビリティ推進部 企画推進グループ 渡邊 崇さん
嗜好飲料メーカーである当社は、水と不可分な関係にあります。そこで、「森林整備・水資源の保全」を目的に、生産工場の拠点である三重県鈴鹿市の鈴鹿川源流および、群馬県前橋市の利根川水系荒砥川源流の一角を「ブレンディ®の森」と名付け、森づくり活動に取り組んできました。
具体的な活動内容は、社員が自ら行う森林整備です。地域の森林組合やNPO法人の皆さまから指導を受け、間伐、枝打ち、下草刈り、獣害対策のためのネット張りなどを行っています。生産会社で使用する水の涵養のための水資源の保全に加え、社員の環境意識の向上、ステークホルダーと共に地域共生社会に貢献することも目的としています。
この活動がスタートしたのは、鈴鹿が2014年、群馬が翌2015年。これまでに合わせて58回の活動を実施し、延べ3500名以上の社員が参加しています。
実際に体験した社員の9割以上が「環境に貢献できてうれしい」「もう一度参加したい」などと言っており、環境意識の向上につながっている実感があります。
さらに、社員だけではなく、地域や行政の方にも参加していただき、共に汗を流すことで地域共生やファンづくりにつなげています。
(左)過密状態の森林を間伐する作業。太陽の光が地表に届くように行っています。
(右)鈴鹿の杜にて歩道整備を行う様子。作業を終えた後は筋肉痛に。
そして、この活動は新入社員や若手研修の一環としても活用しています。仲間と協力して体を動かしながら行う森林整備は、普段の研修では体験することのできない貴重な機会となっています。
他にも、森づくり活動は、京都の「上賀茂神社の森」でも行っています。こちらでは、神山湧水を守るために、ヒノキの植樹や森林の整備を実施。境内の一隅には休憩所を設け、有料で「神山湧水珈琲」の提供もしています。
貴重な「国産」の実現へ、徳之島をコーヒー豆の産地に
生産統轄部 生産企画グループ 臼井 孝允 さん
「持続可能な原料調達」を目的にコーヒー生産国の支援を行っている当社では、その一環として、鹿児島県徳之島における「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」に取り組んでいます。
徳之島では、1980年代からコーヒー豆の栽培が行われてきましたが、さまざまな課題があり、産業として定着するまでに至っていません。そこで、伊仙町、徳之島コーヒー生産者会、丸紅社と協力し、2017年よりプロジェクトを始動しました。社内でメンバーを募集し、現在約10名がプロジェクトに携わっています。
徳之島でコーヒー豆を栽培するためには、現地の気候に合わせた栽培技術の確立が必須です。丸紅社を通じて海外から得た技術的な情報を生産者の皆さまに伝えつつ、人手不足を補うために苗植えや収穫などの活動を支援しています。
また、島でコーヒー栽培をしていることを知らない島内在住の方に向けての活動も行っています。昨年は、当社独自で行っているコーヒー検定の受講生が講師となり、徳之島高校においてコーヒー教室を開催。コーヒー豆の生産過程などを伝えました。そのつながりから、徳之島高校の生徒の皆さまに苗植えのご協力もいただいています。
将来的には徳之島にコーヒー産業を根付かせ、徳之島産のコーヒー豆を使った「JapaNeeds CoffeeR」の提供を目指しています。
さらにもう一つ。私自身、徳之島へ何度も出向き、生産者の皆さまとコーヒー豆づくりに励んでいますが、コーヒーを提供する仕事につきながらも原料の生産過程について元々はよく知りませんでした。全社員のコーヒー知識の向上のためにも、より多くの社員を連れて現地に訪れ、実際のコーヒーに触れる機会を増やすことを目指し、活動を続けていきます。
(左)徳之島では現地の生産者さんと共に作業しています。
(右)コーヒー豆の育成には不利な環境を打開しながら、生産を盛り上げていきます。
『こんな会社で働きたい サステナブルな社会実現のために SDGs編3』より転載。