2023.07.07

株式会社ナリス化粧品 ナリス化粧品、男性育休取得率44%。5年で約3倍に

昨今、男性の育児休業の取得率は大きく上昇しつつある。働く人のwell-beingを向上させるために、さまざまな業界において育児休業取得の向上についての取り組みが始まっている。

今回お話を聞いた、株式会社ナリス化粧品は、社員が働きやすい環境を整備する中で、昨年度2022年4月~2023年3月の期間の男性の育休取得率が44%と増加し、政府が掲げる当面の目標の「2025年までに取得率30%」をすでに達成した。

子育てサポートは、女性だけでなく男性にも

同社では、1993年に個人の悩みや希望について、上司を介さず直接人事に申告できる制度(自己申告制度)を導入し、社員が働きやすい環境の整備に取り組んできた。その背景には、現社長である村岡弘義さんが就任し、これからの時代、持続可能な企業にしていくためには、企業風土の改革が必要という考えがあった。

その当時、同社の社員数は、女性が3分の1程度の割合だったという。そこで村岡社長は、女性が働きやすい職場環境を作ること、さらに女性と男性ともに公平な制度を整えることを目指した。

2010年には育児休暇期間を最長2年までに延長する、短時間勤務を小学校3年までに延長するといった制度を開始。当初から産休以外のすべての制度に関して、女性だけの制度でなく男性にも同様に適用してきた。

当時は制度として存在したものの、活用する男性社員はごくわずかだったが、2017年から育児と介護に関わる社員の両立をサポートする目的でサポートブックを作成。所定労働時間通りに勤務しづらい状況にある社員のサポートを行うため、管理職の理解を深める教育・研修も実施してきた。

また、2020年には、特に男性社員が育休をスムーズに取得できることを促す「パパブック」を作成し、社内の男性育休を取得しやすい空気感づくりに取り組んできた。

その結果、育児と介護に関わる社員のサポートを開始した2017年度に15.4%だった男性の育休取得率は、2019年度には28.6%、2020年度には20%、2021年度には27.3%と順調に増加傾向がみられ、2022年度は44.4%と飛躍的に増加した。

また、昨年度の男性の育休取得社員の取得期間は、全員が3ヵ月以上と長期間の取得だった。なお、同社は2014年度、2017年度、2019年度の3度にわたり、「くるみん認定」の更新を受けており、2022年12月に「プラチナくるみん」の認定を受けた。

男性育休取得者の増加は会社にとってもメリット。昇進の弊害にはならない

同社では、男性社員の育休取得について、本人や家族のみのメリットとして捉えてはいない。突発するトラブルに対応する適応力や、テレワークなどで直接顔を合わせることがなくてもチームとして仕事を遂行する実行力だけでなく、異なる立場の相手を理解・尊重できるという能力面でも、本人のマネジメント力の向上につながるため、会社にとってもメリットがあると考えている。また、他では得られない経験や感動を味わうことで、人間力の向上にもつながっていると考えている。

また、同社が提供している化粧品や日用品は生活に密着したものであり、育児や家事を通じて生活力が上がることは、提供している化粧品そのものへの感度が上がったり、コミュニケーション力の向上にもつながるものと考える。そのため、役職者の育休取得や育休から復職後に1年以内に昇進するという事例も珍しいことではない。

個人の意思で、働きやすい環境を追求する

同社は自己申告制度の中でいろいろな社員のコメントを収集し、できるだけ制度化する取り組みをしている。

例えば同社が行う社員へのサポートのなかで、良い反響がある制度として、時短勤務のフレキシブルさが挙げられる。社員の子どもが小学校を卒業するまでの間、自身で勤務する時間を決めることができる。勤務時間中、30分刻み、一カ月単位で決定できる制度だ。

子どもをもつ社員を企業がサポートすること、そしてその制度を利用する社員が増えてくることで、お互いに助け合うことが当たり前のカルチャーが醸成されている。

社員のための制度は社員が考えるカルチャー

同社には肌休暇という独自の休暇制度がある。肌は心と体の健康を映す鏡。仕事の際も肌の状態が良くなければ自信をもって人前に出られない社員もいるかもしれない。同社はそういった社員の心理面のフォローも考え、この制度を立ち上げた。

制度ができたきっかけは、社員の体調を考慮し、仕事がやりやすい環境を整えようということからだった。肌が荒れたら会社をやすむのか、という質問も当初は寄せられたこともあったが、“社員の心がしんどさを抱える前に休む”という、化粧品を扱い、人を美しくする企業ならではの制度である。

企業の人財育成と、企業がつくる未来

社会や人のために役に立つには、自分自身が力をつけなくてはならない。同社の社員教育に関しても、新入社員教育が3ヵ月あり、そして1年次、3年次研修がある。さらに管理職研修など、それぞれの立場と役割に応じた研修を設けている。それ以外、通信教育などを通して社員の学びと自律を促進している。

自律をした個人が新しい未来をつくっていく。時代の変化とともにさまざまなものが変容しているなかで、化粧品は、それを使う個人が自分を癒すためのツールとして必要とされる時代だ。それを踏まえ、同社は新しいことを世の中に提供しつつ、社会に必要とされる企業に今後も変化、成長していくことを目指す。

そして同社が目指す未来のカタチは、“ジェンダーフリー”や“エイジフリー”が当たり前になっている世の中だ。さまざまな人が多様性をもって、さまざまな化粧品の使い方をしていく。それが個性として自然と受け入れられる社会だ。そのために同社は技術力と製品をもって得られたものを社会に還元し、“for others”という経営理念のもと、これからも化粧品を通じて安心と幸福を届けていく。

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