2026.05.12

三和建設株式会社 一人ひとりが主役。
社員の挑戦と成長を後押しする「ひとづくり」とは

執行役員/アシスト本部長
森本 育宏さん

どんなモノもサービスも、それらを創造し、動かすひとがいなければ始まりません。会社を発展させるために必要なのは、社員を守り、育てること。その環境が挑戦するひとをつくります。

大手企業に負けない専門性を誇りに

三和建設は、事業領域を食品工場、機能倉庫、社員寮の建設に絞ることで、付加価値を生み出してきました。正直、大手企業には知名度や売り上げ、全般的な技術スキルでは敵いません。ただ、食品工場などの我々が専門としている分野に関しては、大手企業と対等に戦えると自負しています。

例えば、花粉症で悩んでいるひとは一般的な耳鼻科より花粉症専門の耳鼻科に行きますよね。同じように、何か課題を抱えている企業は、その課題に応じた解決策を求めています。特定の課題に対して、弊社のように専門特化したゼネコンがいれば、ご相談いただけるだろうと考えました。

食品工場に着目したのは、食品は需要が比較的安定しているからです。人口減少で国内の需要が減退していくとしても、スピードが緩やかですよね。

また、食品工場は中規模程度に収まりやすいという利点もあります。例えば、コンビニのサラダなど賞味期限が短い食品は、一拠点大量生産はなかなか難しい。そのため、一定の距離でいくつか拠点を作りますが、その場合、工場の建築規模は中規模になります。ここが、大手企業が参入しにくいポイントになります。

こうして食品工場に専門特化した結果、「食品工場建設といえば三和建設」と言っていただけるようになりました。この事業領域では大手と対等に戦える。弊社ならではの強みを発揮し大手企業にも負けないということは、社員の誇りにもなりますよね。専門性を生かして会社を発展させ、社員のロイヤリティも高まる戦略です。

ワーク・ライフ・シナジーを生み出す環境

建設業界は一般的に労働環境が過酷なイメージがあるのではないでしょうか。実際、建設現場は月曜から土曜の週6日勤務が通例です。土日祝日に閉所できている企業は、業界全体で3割程度と多くありません。

週6日勤務が脱却できない理由は3つあります。人手不足、逼迫した工期、職人の収入減です。

実際の現場で施工にあたるのは職人の方々です。いまは減りましたが、昔は日雇い労働が多く、職人たちは週6日働くことによって収入を増やしていました。さらに、週6日稼働しないと工期に間に合わないような状況もあり、週6日勤務が当たり前な時代が何十年と続いていました。

我々は「ワーク・ライフ・シナジー」という言葉をよく使います。仕事を充実させつつ、プライベートを大切にするということですね。週6日働くと頭も休まらないし、趣味や家庭など、生活を楽しむ時間が取れません。仕事に打ち込むと同時に、仕事以外の時間も大切にすることが重要です。

弊社の土日祝日の閉所は3年前から段階的に達成率を上げてきました。直近期の1年間で、弊社の作業所の96.2パーセントが達成しています。業界全体の達成率の低さを考えると、かなり高い水準です。

残業の抑制にも積極的に取り組んでいます。昔は青天井でしたが、現在は平均で20時間程度。 竣工といって、建物の引き渡し前になるとどうしても忙しくなりますが、業界的には平均40時間ですから、かなり少ないほうだとおわかりいただけるでしょう。

なぜ弊社がそれだけ削減できているかというと、一つはIT化の取り組みです。 デジタルを駆使してさまざまな業務にかかる時間を短縮したり、利便性を上げたりすることに取り組んでいます。

例えば、建設現場の入場者名簿の作成です。何か事故が起きた時のために、入場者が100人いるなら100人分の名簿が必要になります。この名簿作成だけでも相当な業務量なのですが、こういった作業にITを活用して業務効率を上げています。

待ったなしの人材育成と技術の伝承

特に中小企業の建設会社にとって、後進の育成は喫緊の課題です。大手企業はデータベースが大きく、マニュアル化が進みやすいために人材育成に長けていると言えます。しかし、中小企業はこうした体系的な技術の伝承が難しく、属人的になりがちです。弊社はそこに課題を感じていて、人材育成に力を入れてきました。

上図は縦軸を「専門技術力」、横軸を「統合力」として人材が持つスキルレベルを表しています。「専門技術力」は文字通りで、「統合力」はマネジメントなどひとを巻き込む力のことを指しています。

灰色の大きな円が大手建設会社の持つ人材力ですね。大手企業は専門技術力、統合力ともに幅が広いのに対し、中小企業の人材力は、社員数や請負の金額により、その下の小さな円に収まってしまいます。

大手企業に負けることなくお客様に選ばれるためには、中小企業の円に収まらずオレンジの円に到達するような、専門技術力と統合力を合わせ持った人材を育成する必要があります。

そこで、ワンステップ高いレベルの人材育成を目指しているのが、SANWAアカデミーという取り組みです。毎月の第3水曜日の午後に、ベテラン社員が講師を務める講義を若手社員向けに開講します。

44の講義、各工事の管理ポイント、工程表や施工図作成、設計スキル、建築基準法の理解など、実際の建設に携わる具体的なスキルを学べる仕組みで、受講生は興味のある講座を選ぶことができます。8割は建築系の内容ですが、デジタル化や財務のポイントなどの全般的なトピックを扱うこともあります。

建築に関する今年の流行りや建築現場で最近起きた事故事例など、時事ネタを扱うこともありますね。タワークレーンが倒れる事故があった時は、アカデミーで仮設資材の設置や、重機の配置計画を講義に盛り込み見聞が広がりました。

ゲスト講師を招くこともありますが、基本的に10年目以上の社員が講師を勤めます。10年目の社員が5年間アカデミーで教えたら、5年目社員だった受講生は今度10年目になるので、次に講師役ができますよね。受講生だった社員も、教えてもらったことに自身が5年間経験してきたことを上積みできる。そうやって、講師が入れ替わりながら内容をブラッシュアップしていくことで、確かな技術を伝承していくことができます。

社員寮で育む人間関係

人材育成のもうひとつの取り組みが、「ひとづくり寮」です。新入社員向けの社員寮で、1年目は必ず入寮し、最長5年間入居できます。

建設会社は横のつながりが非常に重要です。住宅メーカーだと半年程度で建設が完了しますが、弊社は一つのプロジェクトに設計から竣工まで2、3年かかります。関わるひとの数も非常に多い。

さらに、作業所も各所に点在しています。日々それぞれの拠点を担当しながら、一気通貫した建築プロジェクトとして仕事を捉え、社員同士でコミュニケーションをとることが欠かせません。

社員同士の横のつながりを強めるには、まず同期との関係作りが重要だと考えました。10名程度の新入社員同士、一つ屋根の下に住むことで信頼関係を築く仕掛けです。

これは同時に、社員の定着のための施策でもあります。新入社員にとって、初めての仕事は毎日わからないことだらけですよね。初めは英語を聞いているかのように先輩社員の話していることがまったく理解できない。同期も同じ境遇です。寮に帰ればお互いの悩みを相談し合ったり、質問できたりもするでしょう。もし一人暮らしや実家住まいだったら、相談するひとが一人もいません。孤独感や閉塞感を抱えてしまうかもしれない。新入社員をそんな状況に陥らせないためにも、 1年目は必ず入寮としています。

寮の1階はリビングやキッチン、ダイニングなどの共有スペースになっており、その空間を通らないと居室に行けない設計にしています。静かに帰ってきて部屋に閉じ籠るなんてことはできません。また、居室の設備はシンプルにしてあるので、交流の場を1階に設けることで、自動的に1階に降りたくなるように工夫しています。

交流を促す仕掛けとしては他にも、週に1回の食事提供があります。新入社員はまだ貯金も少ないですし、規則正しい食事を摂っていないことも多い。食事を用意しておけばみんなで集まって食べますよね。

さらに、食事提供の日に合わせて、月に一度は我々幹部が入れ替わりで幹部塾を開いています。会社の歴史や 知見を話して交流する場です。こうした交流の機会を積極的に設けることで、若手社員の横のつながりを醸成し、弊社の目指す人材育成につなげています。

このような取り組みを通じて、社員には安心して仕事に打ち込み、充実した生活を送ってもらいたいと考えています。

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