シナネンホールディングス株式会社/脱炭素社会の 実現に向け、エネルギー会社が 本気で取り組む変革

石炭、石油、プロパンガスなど産業と暮らしを支えるエネルギーを届けてきたシナネンホールディングスは、脱炭素・脱化石燃 料の時代に向けて大きく変わろうとしている。SDGs が掲げる課題に真正面から向き合う企業の、変革への挑戦と成長戦略とは―

暮らしとエネルギーを担うSDGsのど真ん中企業 

シナネンホールディングスは1927年に創業し、煉炭・豆炭、石油、ガス、電力など、産業と暮 らしを支えるエネルギー供給を事業の柱としてきました。シナネンホールディングスの傘下には、地 域の顧客向けにプロパンガスなどを供給するBtoC事業の「ミライフ」、企業向けに電力・石油な どを供給するBtoB事業の「シナネン」、そして新しい事業分野である「非エネルギー事業」の3本柱から成っています。

BtoC事業では、地域ごとにご契約いただいた家庭に、約2万社ある販売店を通じてプロパンガスや灯油、電気をお届けしています。メインはプロパンガスですが、人口や世帯数の減少はすでに始まっており、将来的にはマーケットが縮小していくことがわかっています。

BtoB事業においても石油販売が占める割合は高いです。ただ、グローバルで脱炭素社会の実現に舵を切るなかで、今後は 右肩上がりの需要が望めません。こうした事業環境の変化に対応し、今後も持続的な成長をしていくために、事業ポートフォリオのシフトに着手していこうと、再生可能エネルギーや、非エネルギー分野の新規事業に取り組んでいます。

2050年の二酸化炭素排出実質ゼロの実現や、SDGsが掲げる目標の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」等は、まさにエネルギー事業を行う我々が率先して取り組まなければならない課題です。

当社が現在手がけている再生可能エネルギーは、風力発電と太陽光発電です。シナネンでは全国6か所のメガソーラー発電所を有しています。電力販売では、RE100(i) を目指す法人向けの再生可能エネルギー由来の電力供給プランの販売を強化。2021年3月からは家庭向けにもクリーン電力プランとして「シナネンあかりの森でんき」の提供を開始します。また、韓国での大型風力発電事業 に参画したほか、微風でも効率的に発電できる新型マイクロ風車関連事業にも取り組んでいます。


 i 企業の自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブ

意識と行動様式を改革して事業構造のシフトを図る 

非エネルギー分野の新規事業では、自転車事業(卸売や、小売店舗「ダイシャリン」を展開)、シェ アサイクル事業(「ダイチャリ」ブランドで展開)、抗菌事業(銀系無機抗菌剤「ゼオミック」の製造・ 販売)、リサイクル事業、建物維持管理事業などに取り組んでいます。

主軸のエネルギーでは再生可能エネルギーへのシフトを図り、新事業分野ではCO2を排出しない事業に取り組むことで地球環境 に貢献していきます。 しかし、94年の歴史と約1600名の従業員、約2万社を超える販売店・協力店から成る企業が、事業構造を変えるのは容易ではありません。

最大のハードルは、従業員の意識と行動様式を変革することです。誰もが時代の変化を理解しながら、いざ自分ごとになると変化を恐れて躊躇してしまう。 しかし〝人〞が変わらなければ、企業は変わることはできないのです。 

そこで「風土改革プロジェクト」を立ち上げました。全従業員を対象としたミーティングを行い、 社長である山﨑が自ら各事業会社の拠点を巡ってフェイストゥフェイスで改革の意味や意義、変革の方向性について議論しました。「変えていかなければ時代に適応できない」という危機感は社員間でも強く、古い慣習や体質を刷新していこうとする風土が醸成されてきています。

モビリティで新しい社会を作るシェアサイクル事業 

そんな新時代を切り拓く事例があります。シナネンモビリティPLUSのシェアサイクル事業「ダイチャリ」です。シェアサイクルとは、街中にある「ステーション」という場所で自転車を貸し出して、好きなステーションに返却できるサービスです。自転車は環境に優しい乗り物ですし、もちろん免許がない人も気軽に利用できます。

街を訪れた人が利用することで街のにぎわいを創出したり、駅から目的地までのラストワンマイルの移動手段として、災害時に電車・バスが止まった場合には代替の交通手段としても活躍します。現在は、一都三県(東京、埼玉、神奈川、千葉)及び大阪を中心に、企業や地方自治体と連携し、駅やコンビニ、スーパー、商業施設、公共施設などにステーションを設置しています。2020年12月時点で、約1500カ所のステーション、設置した電動アシスト自転車は約7300台にのぼり、国内でもトップクラスの実績です。

少しずつ目にする機会は増えてきていますが、一般的な交通手段としてはまだ十分に認知されていないのが実情です。どこへ行くにせよ、「〇〇駅までは電車、そこからシェアサイクルで〇分」が当たり前にならないと、〝 シェアサイクル=一般的な交通手段〞にはなりません。移動を楽しく快適にするため、もっとステーションを増やして、皆さまの暮らしの1ピースになりたいと考えています。

ダイチャリは都心部を中心に、ラストワンマイルの交通手段としての確立を目指す

若手中心で作り上げた、挑戦者のためのシェアオフィス 

変革に向けた取り組みの象徴となっているのが、シェアオフィス事業「seesaw(シーソー)」です。旧芝離宮恩賜庭園を見下ろす浜松町の旧本社ビルの3フロアを「新しいビジネスを生み出す〝場〞にしよう」と、シナネンホールディングスの〝挑戦者〞としての歴史や、「ここに集う人々が仲間とPlayful(遊び心を持って)に仕事をしてほしい」というメッセージを込めて、経営企画部の女性社員2名が中心になって作り上げました。

3フロアは過去・現在・未来という時間軸で構成されています。勉強したり企画書を書くなど、自分と向き合う時には8階。アイデアを共有したり肩の力を抜いて話したい時には9階。未来に向けた商談など熱い議論を交わしたい時には10階というように、空間を移動することでスイッチを切り替えられるような造りになっています。

2020年6月に本格稼働したばかりですが、学生起業家の方から複数のビジネスをハンドリングされているエグゼクティブの方まで、幅広い年齢層・職業の方々に活用いただいています。

9階には靴を脱いで上がるウッドフロアのスペースがあり、暖炉で燃える火を囲みながら、出会った方たちが議論を交わされている光景を見ると、まさにこの場から新しいビジネスが生まれ、シーソー の「テコの原理」で世界を突き動かしていくような熱いエネルギーを感じられます。

実際に火を入れた暖炉へと人々が集まる姿は、ビジネスの火種を想起させる

一人一人が成長を実感し切磋琢磨できる会社に 

これはエネルギー業界全般に言えることかもしれませんが、シナネンホールディングスグループは来る脱炭素社会の時代に必要とされる企業として、大きく生まれ変わろうとしています。

男女はもちろんのこと、年齢も正社員、中途採用の別もなく、やる気のある人や能力のある人はどんどん仕事を任されますし、抜擢されるようになりました。その象徴が「ダイチャリ」であり「seesaw」です。

進化はこれに止まりません。私たちはこれからも新しい領域に乗り出していきます。 会社が変わるということは、そこで働く人々の考え方や行動様式が変わり、一人一人が人間として成長していくということです。私たちはこれからのシナネンホールディングスグループを個人の成長が実感できるような、また成長する人々が切磋琢磨できるような〝場〞にしていきたいと思っています。

新しい時代を築く希望と志を持った方々に、一人でも多く入社し、エネルギーと住まいと暮らしの総合サー ビス事業を通じて、持続可能な社会の実現に向けて思いきり挑戦していただくことを期待しています。

 

こんな会社で働きたい SDGs編』より転載。

 

シナネンホールディングス株式会社 
取材日:2021年1月7日
設立:1934年4月 
事業内容:BtoC事業(エネルギー卸・小売周辺事業)、BtoB事業(エネルギーソリューション事業)、非エネルギー及び海外事業 
資本金:156億3000万円 
売上高:連結/2370億円(2020年3月期) 
従業員:連結/1630名(2020年3月現在) 
本社住所:〒108-6306 東京都港区三田3-5-27 住友不動産三田ツインビル西館6階 
電話番号:03-6478-7800 
URL:https://sinanengroup.co.jp/

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