企業の存在意義(パーパス)や社会的価値への貢献を重視した経営(パーパス経営)をおこなっている企業を紹介する特別企画

パスメイクホールディングス株式会社| 「学び」と「キャリア」の分断を埋める ~人生の変革を支援するために~

医療の発達により人の寿命が伸び続ける中、「人生100年時代」と言われるようになりました。長い人生をどう生きるかが、これまで以上に大きな課題になっています。

より良い人生を送るためには、自分を成長させる学びが必要です。しかし、「学びの場」はさまざまにあるものの、そこで得たことがキャリアに直結するとは限りません。時間とお金をかけてチャレンジをしても、自分の人生を豊かにするとは限らないのです。

パスメイクホールディングス株式会社は、グループ傘下の株式会社アビタスと株式会社東京中央日本語学院の管理部門を担う企業として設立されました。受講者の人生を輝かせる良質な「学び」と、個人の在りたい姿に向かってキャリアを育むための「学びの活用」を提供しています。人生100年時代における豊かな未来をつくるために、同社はどのように取り組んでいくのか。代表取締役社長の宇坂氏をはじめ、中澤氏、馬場氏、澤田氏の4名にその展望を伺いました。

【対談メンバー】

 

パスメイクホールディングス株式会社
代表取締役社長  宇坂 純 氏
パスメイクホールディングス株式会社
取締役 中澤 匠 氏
東京中央日本語学院(TCJ)代表取締役学院長
アビタスキャリアビジネスユニット長
パスメイクホールディングス株式会社
執行役員 経営推進室長 馬場 成実 氏
アビタス 講座ビジネスユニット長
パスメイクホールディングス株式会社
執行役員CIO 澤田 貴史 氏

パーパスで進むべき道を明らかにする

宇坂 パスメイクホールディングスという社名は、2020年1月に前身の会社から変更したものです。「path」+「make」、つまり「道をつくる」という想いが込められています。

このコンセプトを体現すべくスタートしましたが、社名変更の直後から新型コロナ禍が始まるなど、社会環境は変化しました。大きな変化の流れの中で、グループが一丸となって進んでいくべき方向性や、自分たちが事業を通してどんな役割を果たす存在であるべきかを改めて考え、言語化する必要性が出てきたんです。

そうした背景から、2022年にパーパス策定のプロジェクトが立ち上がりました。グループ各社から代表を集め、外部協力者の力も借りながら、私たちが目指す方向性を明確にしていきました。プロジェクト立ち上げから半年後、パスメイクグループのパーパス「学びのチカラと学びの支援で輝く人生を豊かな社会を」が策定されました。

私たちのグループには、株式会社アビタス(以下アビタス)と、株式会社東京中央日本語学院(以下TCJ)という事業会社があります。

アビタスはグローバル人材教育事業を展開しており、USCPA(米国公認会計士)などの国際資格講座や米国MBAの学位を個人に提供しています。また、個人のキャリアを支援する人材紹介事業も行っています。

TCJは、総合日本語教育機関として、留学生への教育だけではなく、海外からの就労者や生活者へ日本語プログラムを提供しています。また、日本語教師の養成も行っています。

2社それぞれに事業内容は異なりますが、共通しているのは「学び」と「学びの活用」を大切にするという部分です。受講している方々の多くは、資格を取得したり日本語が話せたりするようになるだけではなく、その先に叶えたい夢や目標を持っていらっしゃいます。その実現までをご支援することが、私たちの使命です。

人生を豊かにするための学び

中澤 私は2020年にパスメイクに参画しました。今はTCJの代表取締役に加え、アビタスで転職や副業を支援するキャリア事業などを担当しています。自分の中に軸として存在していた「人の人生を支える仕事をしたい」という点が、教育分野と繋がったことが、ご縁を頂いた経緯です。

教育といってもさまざまな領域がありますが、私が主に取り組んでいるのは、「日本語教育」です。深刻化していく日本の少子高齢化の流れの中で、外国人材に活躍を頂く社会を作っていくことは、日本にとって重要な課題です。人そして社会への貢献と、企業成長の両輪がまわせるのではと考え、この仕事を選びました。

 

馬場 私は2022年に入社しました。パスメイクホールディングスでは経営推進室の室長を務めております。また、アビタスが提供する講座事業の責任者を兼務しています。

パスメイクに入社する以前は、大学や高校受験のサポートを行っている学習塾におり、実際に教える立場も経験しました。教育サービスは、非常に面白い仕事だと思います。利用者は学びのために費用や時間を費やし、サービス提供側は、利用者の目標実現のために全力を注いでいきます。もちろん、その目標達成の瞬間が至高の喜びそのものなのですが、一方で、その本質的な成果は、何年、何十年先になってから見えてくると思っています。

例えば、ある受講生が学びを終えた後には、「合格できた」「学位が取れた」などの成果を確かに実感してもらえます。しかし、卒業生の皆さんのお話を聞くと、「あの時のあの体験が…」と、学びから何年も経った後にその最大の成果を実感する方が多いんです。私はそのような、学びの価値を実感する時間軸の長さに、教育の面白さを感じています。私たちの事業は、「個人の幸せ」に学びを通じて貢献するものです。より幸せな人が増え、社会がエネルギッシュに前進することができると、将来に対しての希望が持てると思います。

 

澤田 私は情報システム全体、事業ITとコーポレートITを担当しています。

2023年にパスメイクに入社する以前は、システム情報を提供している会社でITに関わる仕事に就いていました。その中で、ITに関わりつつ「教育」を軸に活躍できる場を探していたんです。私が教育に興味をもったのは、前職でオンラインのサービスを扱う中、今後教育にはどのようにITが活用されていくかを話す機会があったから。もう一つは、これから人口が減少していく日本社会で、自分の子供のような若い世代がどう学んで働いていくのかに関心があったからです。

そんな中で、偶然にもパスメイクに声を掛けていただきました。私の理念は、社会にどう寄与できるのかという思考と、IT技術を掛け合わせて行動することで、事業を推進させたり、社会を前に進めたりする一翼を担うことです。自分の理念をもって会社と共に成長していけるのは、とても価値あることだと思います。

「学び」と「キャリア」の分断を埋める

宇坂 パスメイクグループが社会の中で果たすべき役割は、大きく分けて二つあります。一つは、「質の良い学び」を生み出すこと。もう一つは、その方の夢を目標に変えるための「学びの活用」の支援です。

私たちが今後成し遂げていきたいのは、「分断のないビジネスモデル」です。これまでの教育サービスは、教育を受ける人と、その受け皿が分断されていることがあったと思います。学びを通して身につけた専門性の高いスキルを、個人のキャリアに活用できるように支援するところまで一体的にご支援することが、私たちの目指す姿です。

 

馬場 その一つの場が、私たちが今期活性化を進めている、AEC(アビタスエキスパートコミュニティ)というコミュニティです。アビタスを卒業し、USCPA(米国公認会計士)やCIA(公認内部監査人)を取得した方、他にも難関資格を持っている方、また受講中の方なども含めて、多くの方々が参加されています。このコミュニティの中で、学びがキャリアに繋がることが期待されます。

 

中澤 アビタスには、たくさんの卒業生や在校生の方がいます。その繋がりを活かせていないのではと考えたことが、AECを立ち上げるきっかけとなりました。資格を取る、語学を学ぶといったように、人が自分自身の学びに繋がる商品やサービスを購入することは、人生の中で何度もあることではありません。

受講生の多くの方は、多かれ少なかれ、その限られたチャレンジによって、自身のキャリアを変えたい、新しい世界を拓きたいと思っています。その観点では、学びだけではなくキャリアそのものを支援していくこともそうですし、その思いを持っている方々をつなげて新たな機会を生み出していくことも、私たちの使命だと思います。アビタスを修了された方や、今も学んでいる方など、資格の有無は関係なく、「学びの志を持っている人たちは仲間である」というような観点でAECをつくっています。自ら学ぶことで得られるものだけではなく、人から学んだり、人と関わったりすることで、新たに気づきを得られることも多いです。

 

宇坂 コミュニティの中で「学びの活用」を実現する具体的方法として、副業の機会を支援する観点があります。自身のスキルやキャリアを生かして、その力を副業として発揮する。

例えば受講生が、自分の経験などを通して、コミュニティの中で教え手となる。あるいは教材やサービスの新たなつくり手になる。私たちはこうしたビジネスの形をつくろうとしています。私たちの事業の次の展開として、学んだことを活かせる機会にマッチングを行うビジネスモデルに更なる成長機会があると考えています。アビタスの受講者は専門性を持った職種の方が多く、こうした専門性やスキルを活かしたいという意欲が高い方も多くいらっしゃります。

キャリアの悩みをカジュアルに話す仲間

中澤 アビタスには延べ10万人近くの受講者がいらっしゃいます。その方々でつくられるAECという大規模なコミュニティを、私たちだけでは支えていくことができません。

そこで、コミュニティを管理するオーガナイザーとなってくださる方を、過去の修了生の方々から募集することにしたんです。説明会には300名ほどが集まってくださって、結果的に65名ほどの方が手を挙げてくださいました。

 

馬場 これにはとても驚きました。そんなに興味を持ってくださっているのかと。オーガナイザーが決定した後、そこから一般会員を募集し、それぞれの職種や業種別に分けて分科会が作られて行きました。

分科会はオンライン上で運営され、とても活性化しています。皆さんとても熱心に取り組まれていて、ただのサークル活動のようなものではなく、キャリアアップのための学びの機会や人脈を得るためのプロジェクトになっています。オフ会なども開催され、とても良い雰囲気が生まれています。

ある分科会では、皆さん自分たちのキャリアビジョンなどを紹介し、お互いに質問し合っていました。コミュニティの中には、自分が目標とするロールモデルとなるような方がいらっしゃるはずです。失敗談を聴くことで転ばぬ先の杖となったり、成功したお話を聞くことで良い動機付けになったりと、他の方の経験から学ぶこともあると思います。AECは、「学びの活用」だけではなく「学び」の部分でも非常に重要な役割を果たしています。

キャリアの悩みはなかなか他人には本音で話せないとおっしゃる方もいます。自分と同じような悩みを持っていたり、似た仕事をしたりしている人と、真剣だけどカジュアルに話せる場が欲しい。AECの存在は、そういったニーズにも応えることができると思います。

チャレンジを共に楽しんでいける人材

中澤 私たちの事業は日本国内で強い基盤があるので、どうしても国内を軸足とした話に聞こえてしまっているかもしれません。しかし、今後サービスの提供範囲を広げていくという観点で、グローバルにも積極的に進出し、事業を展開していくグループになっていきたいと考えています。

例えば、TCJのネットワークをグローバルに広げ、現地で育成した人材を日本企業に紹介していくようなビジネスモデルなども検討しています。アビタスにおいてもグローバル化は今後においてチャレンジになります。そういったグローバルビジネスを、教育を基盤としたフィールドで展開していきたいというような気骨にあふれた方、フロンティア精神を持った方に来ていただきたいと思っています。

私たちのビジネスでは、先の見えない道を走りながら進めていく場面も出てきます。そこに対して面白いと思える方、難しい状況でも突破してやりきる力がある方、そういう方々に、グループの次世代を担っていただきたいと考えています。

 

馬場 私たちの事業は「変化と成長」の真っ最中です。既存の事業モデルの拡張や新しい事への挑戦に前向きに取り組んでいます。

足りないものや、わからないことがあるけれど、それを怖がらずに足を踏み入れようというフロンティア精神を持っている。そんなメンバーを必要としています。同様に、「こうやればうまくいくから頑張ろう」というような、チームを鼓舞したり啓蒙したりする伝道師になっていただける方との出会いも楽しみです。

 

澤田 これから私たちの事業を展開していく上で、エンジニア人材は必須です。私たちの理念に共感してくださる方。そして一緒に頭を使い、会社や社会を良くしていこうという思いを持っている方に来ていただきたいと考えています。

今あるITのリソースだけではなく、新しいツールを使う必要も出てくるでしょう。今までなかったことにも、チャレンジして楽しんでいける。そういう方がこの仕事には向いていると思います。

事業ITを推進する上では、プロダクトマネージャー的な発想を軸に、教材プロダクトや学習ページの効果的な融合やCS(カスタマーサクセス)につなげる学び方の提案などをテクノロジーの力を借りて実現、具体化していく面白味があります。一方、コーポレートIT面では、統制や情報管理など「人」に関わるデータのガバナンスを、事業展開と一対でより強化していくステージにあります。ミクロとマクロを両面で見ていく全体構成力がある方には、活躍できるフィールドが広がっています。

加えて、データの学習ログだけではなく、マーケティングや営業データを、統計学を用いて分析し、示唆や打ち手を一緒に議論できる方、データドリブン思考をお持ちの方などは、事業をまたいで多方面に能力を発揮できると思います。

 

宇坂 パスメイクグループの事業は、人の生き方に関わるものです。大きな節目をご支援するので責任も伴いますが、そこにやりがいを感じてチャレンジしたいという方は、きっと一緒にいい仕事ができると思います。

能動的に自分で課題を設定し、理想の自分に近づくために学び、成長できる人。その学びや成長が、お客さまへのご支援のレベルアップとなり、会社の成長にも繋がっていくと信じています。

人生を通じて学び続けることの大切さ

中澤 学び続けることの良い側面として、学びを通して得た知識・スキル・経験を通して、今までにはない新たなチャレンジができるようになり、その新しいチャレンジを通して、新たな人との出会いや人間関係が生まれるということが挙げられます。特に長く続く人生を、いきいきと生きるためには、広く、そして深く人間関係を構築していくことが重要だと思います。

 

宇坂 長寿化の観点では心身の健康はもちろん大切なテーマになっていくと思いますが、キャリアオーナーシップも大切だと考えます。私たち一人ひとりが自分のキャリアに対して主体性を持って取り組む意識と行動が大切だということです。予測困難な時代を長く生きていくからこそ、自分のキャリアの後ろ盾となる学びを続けていくことがとても大切だと思いますし、長い人生が豊かなものになるためには、良い人間関係を築いていくことも重要だと思います。ハーバード大学による80年以上にわたる人間の幸福と健康に関する長期研究がありますが、そこから導き出された結論は、健康で幸せな人生を送るために必要なのは、良い人間関係だと言われています。

私たちが持つ学びを通じたコミュニティの中で、良い人間関係を「築く」。その中で新しいことに「気づく」。こうした有機的なつながりを創出する場を提供していくことも、私たちが目指すことです。

 

馬場 あるOBの方に、なぜアビタスでUSCPAを取ったのかと質問する機会がありました。すると彼は、とにかく自分自身を変えたかったと話されたんです。私はUSCPAのような外部から高く評価される資格の取得というのは、自分の人生の変革を象徴するものだと思います。自分の時間や資金、体力と気力をつぎ込んで、人生を変える。そこに対して支援していくことが重要です。今後私たちは、USCPA事業を大学生にもより広げていきます。

以前USCPAを学んでいる大学生にインタビューをしたことがありました。彼女はグローバルに活躍したいという目標を叶えるために、USCPAを取得したいと話していたんです。聞けば彼女は、高校も、大学の学部も第一志望に入れなかったそうです。挫折を経験した一方で、人生で成功したいという強い想いと自分の在りたい姿が明確にある人でした。

またある男性は、60歳になってからCIA(Certified Internal Auditor)を取得されました。CIAというのは、監査に関する知識や能力を証明する資格のことです。60歳を超えてもキャリアを重ねる。これがまさに人生100年時代の働き方だと思いました。学びというものは一生を通じて続けるものだと思います。そして人は学び続けることで輝くのだと、その方とお話をしていて実感しました。

混沌とした世の中で生きていく若者やこれからの人生をより良くしたいと願う社会人の皆さんの在りたい姿を実現する武器として、より質の良い学びを提供していきたいと思います。様々な人達との関わりを通じて、「このような体験はアビタスでしかできない」と思っていただけるようなサービスを作っていきたいです。

 

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