
企業に歓迎される失敗と歓迎されない失敗の違い
最近は、「どんどんチャレンジしよう」「失敗を恐れなくていい」と発信する企業が増えています。とても良いことだと思います。ただし、企業も、何でもかんでも挑戦すればいい、と思っているわけではありません。思いつきだけで始める挑戦は、挑戦ではなく単なる無計画です。
「何のためにやるのか」「どうやって進めるのか」「成功したら何を得たいのか」。
そうした準備や仮説を持ったうえで行動するからこそ、失敗から学びが生まれます。最ももったいないのは、同じ失敗を繰り返すことです。失敗そのものが問題なのではありません。失敗から何も学べないことが問題なのです。
若いうちは、ぜひたくさんチャレンジしてほしいと思っています。
いきなり大きな挑戦をする必要はありません。自分の担当業務から少しだけはみ出してみる。先輩が担当している仕事を手伝わせてもらう。新しいやり方を提案してみる。そんな小さな挑戦で十分です。
まずは真似から始めてみましょう。実際にやってみることで、どこに難しさがあり、何に気をつけるべきかが見えてきます。うまくいかなかったとしても、先輩たちも同じ道を通ってきています。きっと良いアドバイスをくれるでしょう。
若いうちの失敗は財産です。責任ある立場になればなるほど、大きな失敗はしにくくなります。だからこそ、若いうちに準備をしたうえで手を挙げ、たくさん経験してほしいのです。
実際、最近は若手にも大きな裁量権を与える企業が増えています。ベンチャーやスタートアップだけではありません。大企業でも同じ傾向があります。
その背景には、企業が求める人材像の変化があります。言われたことだけをこなす人よりも、自ら考え、仕事をつくり、価値を生み出せる人が求められるようになっているのです。

主体性と「陽キャ」は別物
ここまで聞くと、「自分はそういうタイプじゃない」と思う人もいるかもしれません。
積極的に発言するのが得意ではない。
目立つタイプではない。
いわゆる「陽キャ」ではない。
そんな人は不利なのではないか、と。
でも、私はそんなことはないと思っています。
まず知ってほしいのは、「主体性」と「陽キャ」はまったく別物だということです。
話が上手いこと。
人前で目立てること。
盛り上げ役になれること。
これらはあくまで表面的な特性です。仕事ができるかどうかとは別の話です。
むしろ社会に出て強いのは、地道な努力を継続できる人です。
毎日コツコツ積み上げる。
当たり前のことを当たり前に続ける。
そうした継続力は、どんな業界でも高く評価されます。
もちろん、コミュニケーション能力や行動力を重視する会社もあります。ただ、それだけで採用を決める会社があるとしたら、私は少し心配になります。本当にしっかりした企業であれば、派手さよりも本質を見ています。
じっくり考えられること。
誠実に取り組めること。
一歩一歩着実に前に進めること。
そうした力をきちんと評価してくれるはずです。だから、「陰キャなので……」という言葉を自分への言い訳にしないでほしいのです。
部活動でもいい。
勉強でもいい。
研究でもいい。
アルバイトでも趣味でもいい。
何年も続けてきたことがあるなら、それは立派な強みです。継続できること自体が才能だからです。
無理に自分を大きく見せる必要はありません。
「新しい事業を生み出すのは得意ではありません。でも既存の仕事を改善し、着実に成果を積み上げることならできます」
それも立派な価値です。

企業が本当に求めるのはコツコツ成果を積み上げる人
確かに企業はイノベーションを起こす人材を求めています。しかし同時に、既存事業を支え、改善し、安定的に成長させる人材も求めています。むしろ人数でいえば、後者の方が圧倒的に多いでしょう。もし会社がイノベーション人材だけで構成されたら、日々の仕事が回らなくなってしまいます。
だから、自分が誰よりも優秀でなければならないとか、常に新しいことを生み出さなければならないと思い込む必要はありません。企業にはさまざまな役割があり、求められる強みもさまざまです。あなたらしく働けばいいのです。
主体性とは、必ずしも誰よりも早く動くことではありません。
私は、主体性とは「期待された以上の価値を返したいと思う気持ち」だと思っています。
慎重派でもいいし、行動がゆっくりでもいい。
「言われる前に動くのは得意ではありません。でも、任された仕事には期待以上で応えたいと思っています」
そう言える人なら、十分主体性があると思います。
人にはそれぞれ向いている役割があります。無理に「熱」や「陽」をまとう必要はないのです。あなたの周りにいる友人や仲間は、今のあなただから付き合っているのです。きっとあなたの言葉に救われた人もいるでしょう。あなたらしさを否定する必要はありません。
「自分だからこそ出せる価値は何だろう」
その答えを探し続けることが、これからの時代を生きる力になるのだと思います。
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