企業の存在意義(パーパス)や社会的価値への貢献を重視した経営(パーパス経営)をおこなっている企業を紹介する特別企画

テルモ株式会社|命を救うモノづくり。オンリーワンの仕事で社会に貢献する

テルモ株式会社は、創業103年目を迎えた歴史ある総合医療機器メーカーだ。日本を含め、世界160以上の国と地域で事業を展開している。現在は日本国内だけでも1万2000点、世界では5万点を超える製品やサービスを提供する。

同社は、社員のことを「従業員」ではなく、「アソシエイト(共に働く仲間)」と呼ぶ。世界で30,000名以上のアソシエイトが、「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念と、テルモグループ共通の価値観であるコアバリューズ(Respect(尊重) ― 他者の尊重、Integrity(誠実) ― 企業理念を胸に、Care(ケア) ― 患者さんへの想い、Quality(品質) ― 優れた仕事へのこだわり、Creativity(創造力) ― イノベーションの追求)のもと、医療の進化と患者さんのQOL(Quality of Life)向上に貢献すべく、日々仕事に取り組んでいる。

今回登場するテルモ甲府東工場は、注射針、注射器、輸液セット、採血セットなど、医療の基盤を支える様々な医療機器を生産している。その基本コンセプトは、「自動一貫生産」と、効率的に安定して高品質な製造を可能とする「24時間連続操業」だ。工場で働くすべての人の安全・健康に配慮しながら、環境と人にやさしいモノづくりで、社会に貢献している。同工場の同じ部署で働く、山川さん、小池さん、亀谷さん、瀧澤さんの4名に、命を救うモノづくりに携わることへの想いを聞いた。

【アソシエイトインタビュー】

 

山川雄大さん1997年入社
設備技術部 設備技術課 責任者                  

 

小池将斗さん 2015年入社
設備技術部 設備技術課
留置針※1の製品を主に担当。
生産に必要な画像検査機・センサ・ロボットなどの選定やプログラム作成、改善を行う。
※1主に静脈での長時間にわたる点滴時に用いられる、血管内に留置する注射針

 

亀谷英裕さん 2016年入社
設備技術部 設備技術課
新規設備の導入や既存設備の改善を行う。機械設計を担当。

 

瀧澤江里夏さん 2021年入社
設備技術部 設備技術課
入社以来の主な業務は、糖尿病関連製品の増産設備立ち上げ。
糖尿病関連製品・パッチ式インスリンポンプ※2を担当。
※2糖尿病のある方の日常的な活動を制限せずに治療できるよう、皮下に留置したプラスチック製のカニューレを通してインスリンを持続的に投与するデバイス

「医療を通じて社会に貢献する」企業理念と共に働く

同社甲府東工場

――どのようなお仕事をされていらっしゃるかを教えてください。

山川 私は当社の甲府東工場で、設備技術課の責任者をしています。製品開発部門と連携し、様々な新製品の発売、既存製品の改善・改良に伴う生産技術の開発や導入を行ってきました。また、生産部門と連携し、工場の安定した生産稼働を支える業務も行っています。

製品によっては月産数千万点という規模で大量生産を行っており、不良品をださないことや安定供給が重要になってきます。当部門では、製品を新しく生み出すことと、安定供給を支えること。この両輪をしっかり回すということが大切です。

小池 主に留置針(りゅうちしん)の製品を担当しております。留置針というのは血管内に留置する注射針(ちゅうしゃしん)のことで、長期間にわたる点滴時に用いられる針です。そのほかに、生産設備の仕様構築、画像検査機などの選定や、検査プログラムの作成、改善を行うことで、製品の品質や歩留まり、稼働率を向上させる取り組みを行っています。

留置針生産工程の様子

亀谷 新規設備の導入や既存設備の改善を行っています。現在は注射針用組み立て機の担当です。製品の品質改善対応や、稼働率、作業性向上の改善業務に従事しています。また、設備設計や設備設置後の据付性確認など、多岐にわたる業務を行っております。据付性の確認とは、部品がきちんと設計通りにでき上がっているか、設備が正常に動くかという確認をすることです。

瀧澤 入社以来の主な仕事は、糖尿病関連製品であるパッチ式インスリンポンプの増産設備の立ち上げです。具体的には、手作業工程を自動機に置き換えていく設備の立ち上げや、生産工程の改善活動、新規生産技術探索を行っています。

―― どのような想いを持って入社されましたか。

山川 入社した当時、私は世の中のためになっていること(社会貢献)が実感できる仕事をしたいという考えを持っていたことを思い出します。当社は「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念を掲げています。そのシンプルな企業理念は、私自身入社の決め手の一つになったことを今でもよく覚えています。

小池 私の入社のきっかけは、母が祖父の介護をしている姿を見てきたことがあります。医療関係の仕事に携わりたいと思っていたところ、当社の就職説明会に参加する機会がありました。その時の人事の方が、とても堂々と自社製品の説明をされていたんです。私は工業系の大学に通っていたこともあり、自分のスキルを自信をもって活かせるモノづくりに携わりたいと考えていたので、入社を決めました。そして「0から1」を開発するという仕事より、成果が目に見えてわかりやすい「1から100」を作り出す、大量生産のモノづくりの方が向いていると思い、この仕事を選びました。

亀谷 小さい頃からプラモデルなどを組み立てることなどが好きで、工学系の大学を専攻しました。その頃から、モノづくりを仕事にしたいという気持ちを持っていたんです。大学の研究テーマが医療に関わるものだったので、漠然と医療業界に興味を持っていました。テルモであればその両方がかなえられると思い、就職活動を進めました。

当社の企業理念である「医療を通じて社会に貢献する」と、私が大切にしていることの一つである「社会に対して貢献できる仕事をする」という想いが重なり、テルモへの入社を決めたんです。

瀧澤 私が中学生の頃、祖母が入院したことがありました。その時、私は大切な家族や友達にはずっと元気で過ごしてほしいと思ったんです。その出来事がきっかけとなり、医療に関わるような仕事をしていきたいと考えるようになりました。

今の生産技術職という仕事を選んだ理由は、多くの医療従事者の方々や患者さんに選ばれるような、品質の高い製品を世界に届けるために必要な職種だからです。毎日使命感を持って仕事をしています。

自分たちにしかできない仕事で、社会に貢献する

―― 仕事に対してのやりがいや価値をどんなところに感じていますか。

瀧澤 私が主担当となり、パッチ式インスリンポンプの生産装置を立ち上げたことがあります。それまでは人手を使って製品を生産していたのですが、生産性を上げるために自動化をすることが目的でした。無事にその装置が動き、製品が作られる様子を見て、「この製品がお客様に届くんだ」と仕事へのやりがいを実感しました。

入社一年目の仕事だったので、立ち上げ期日までのスケジュール調整や、色々な方とのコミュニケーションがとても大変でした。しかし、装置の立ち上げ後、製品を使っていただいた方々に喜んでいただけたことが本当に嬉しかったです。

山川 我々が作っている製品が医療に使われたり、治療に使われたりすることで、患者さんや医療従事者の方の負担を減らし、時には命を救うことができます。仕事を通じて感謝されるということが実感できるんです。そして我々が製品を作ることで、国内はもちろん、海外へも製品を送り届けることができます。日々、社会に貢献できていることを感じます。

人の命を救う製品を作ることは、難しい部分も多くあります。しかし、その仕事ができるのは我々しかいないという使命感を持っています。そこに私は誇りとやりがいを感じています。

小池 新型コロナウイルス感染症では、当社の製品である体外式模型人工肺「ECMO(エクモ)」をニュースで見ることが多々ありました。ECMOは血液循環と血中のガス交換をサポートする体外循環装置です。この装置により沢山の方の治療に貢献できたと思います。

この時、自分が働いている会社の製品が社会の役に立っているということを実感し、誇りに思いました。

亀谷 コロナ禍で、ワクチン接種用の注射針の増産への対応と、設備の立ち上げをしなければならない案件がありました。他の部署と連携してプロジェクトチームを組み、キックオフから生産開始まで2年ほどという短期間で対応することができました。その時、世の中が一番困っていることに対して、解決策としての製品を生み出すことに、とてもやりがいを感じたんです。

特にこの甲府東工場で作っている製品は、採血や輸血、点滴をする際に使われ、どこの病院にも必ずある医療の基盤を支える製品です。自分たちが作った製品が、身近にあることを実感できる仕事であるということも、やりがいだと思っています。

品質、安全性、安定性を保ち、良品を社会に届ける

―― 仕事をされている中で、ここが大変だというエピソードがあれば教えてください。

小池 私は設備部門の中の電気担当をしており、画像検査機を通して製品の品質管理をしています。品質を落とさずに、いかに製品を安定供給していくかというところが重要であり、難しいところです。

厳しい検査を導入して品質だけを求めても、その結果不良品が多くでてしまって、お客様に製品を届けられなくなるのでは意味がありません。安全性を担保しつつ、量産もできるようにしていくことが重要です。

画像検査機は、例えば、留置針の品質検査の際に使われています。プラスチックのカテーテルの部分に、バリや欠けがないか、ちゃんと先端がとがっているかを検査することで、品質を担保します。生産された製品が、設計通りの形で収まっているかが重要です。針の品質が不安定だと、それを使う人や患者さんのインシデントにつながってしまう危険性があります。

製品の針は、太さ1ミリ以下で作る必要があります。従って、針を検査するためには細かな部分を拡大しなければならず、要求を満たすよう設計(装置スペック、カメラ、照明、取付場所、制御方式等々)をしなくてはならないことも難しい部分です。私たちにしかできないことで、社会に貢献する。そこに技術者としての誇りを持っています。

亀谷 工場の中では、設備やモノが常に動いています。その中で、様々なリスクを適切に管理し、生産を行うオペレーターが、作業のときに設備に手を挟んでしまうといった事故が発生しないようにしていく必要があります。設備技術者の自分たちが作った設備で、オペレーターの方々に怪我をさせることがあってはいけません。

限られたスペースしかない中で、オペレーターが安全に歩くための通路幅を広く確保することや、ぶつかる危険性のある突起物をいかに減らすかなど、生産現場の方と話し合いながら解決するように努力しています。その中で、私たちのやりたいことだけを押し付けることがないように気を付けています。

瀧澤 私が仕事の大変さを感じるのは、工場で作られる製品の安定的な生産についてです。私の担当するパッチ式インスリンポンプは、オペレーターの手作業による作業工程が多いという特徴があります。担当の方の得意、不得意や朝型、夜型などの人間的な部分が生産の安定性に影響してきます。

その中で、オペレーターの方が製品を安定生産できるように、私たちが設備を通していかにサポートできるかが難しいところです。

現場から改善の依頼を受け、工数をかけて設備改善してもオペレーターの方になかなか変化を感じてらえなかったり、逆に設備改善のために簡単なアクリル板を作って現場に設置したところ、とても仕事がやりやすくなったと良い反応があったりしたことがありました。

現場の方々とのコミュニケーションを通して、私達が想像していないところに、生産性を高めるポイントを見つけることができます。こちらからこんなやり方はどうかという提案をしたり、生産課の方からも改善のご相談をいただいたりすることで、工場全体の設備改善につながっています。

新しいことにチャレンジし続け、自らを成長させる。

―― 今後の目標はどのようなことでしょうか。

亀谷 私の今後の目標は、技術者として従来の技術にこだわらず、テルモ全体に新しい風を吹かせるような、新しい技術にチャレンジして行きたいと思っています。

例えば、製品の品質上の課題を、今までにない形で取り組んだり、改善したりすることです。自分たちにしかできない仕事を、作っていきたいんです。

甲府東工場では、古い設備がまだ現役で頑張っています。古い設備はこれまで長く稼働してきたという実績があるので、大事にすべきだと思います。しかし、新しい設備を取り入れることにも挑戦していかなければならない。そのために積極的に展示会やメーカーの方々を訪問するなど、自らが変化を起こせるように動いて行きたいと考えています。

小池 私は、入社してから海外にある当社の工場の方々と関わるチャンスがありました。入社当時は富士宮工場で働いていたんですが、ベトナムにある当社工場の支援プロジェクトに参画して、ベトナムとアメリカのアソシエイトと仕事をしました。プロジェクトでは現地の人と生産設備を作り上げていったり、日本との架け橋になったりすることがミッションでした。

また、「テルモヨーロッパ」という当社の子会社の工場がベルギーにあり、2年ほど赴任していた時期がありました。今所属している設備技術課から抜けて、ベルギー工場の品質保証部に所属していました。そうした経験から、私は世界のアソシエイトと対等に仕事ができる技術と、医療機器という様々な制約がある製品の知識の二つを兼ね備えた技術者になりたいと考えています。

海外では様々な経験ができます。例えば海外勤務の時、周囲の方から賞賛されたことがありました。トラブルが起きたときに、現地の方より早く原因を調査して、改善ポイントを見つけ、提案することができたんです。それが認められてとても嬉しかった。賞賛されるような技術を日本の設備技術課で学んでいたということだと思います。

大変だったこともありました。ベルギーで働いていた時、オペレーターの方とお話をするんですが、オランダ語だったんです。コミュニケーションも翻訳機を使いながら仕事をしていました。

瀧澤 私は今まで3年間、パッチ式インスリンポンプに関わる仕事をしてきました。そこで学んだ設備の技術や知識は、これからのキャリアを考える上で、私の強みになると思っています。今後は自分が今まで関わってきたもの以外の製品にも広く関わっていくことが目標です。

その目標に向けて少しずつチャレンジをしています。三方活栓という、静脈麻酔や点滴を行う際、薬液の流れを調整するために使う製品があります。その三方活栓の増産対応プロジェクトが甲府東工場で始まり、私も参画しています。

その製品は、当社の愛鷹工場という血管内治療・外科手術に使われる高度医療機器を作っている工場で必要とされています。

今まで私が関わってきたのは、糖尿病を持つ方が使う製品が中心でした。今回のプロジェクトでは、心臓系の疾患がある患者さんに使う製品になるので、製品に関わる方や使用する方がこれまでと変わってくると思います。また、市場の大きさも違うので、学ぶことがたくさんあると思います。

将来なりたい姿を思い描き、自らが成長できる環境で活躍する。

―― テルモで働くことで、どんなキャリアを築いていくことができるでしょうか。

山川 当社のキャリア形成は、仕事を通じて経験やスキルを蓄積していき、将来なりたい姿に対しての自己実現を図るプロセスです。2022年度に当社の人事制度が刷新され、その中で各アソシエイトが主体的に自分のキャリアを設計し、その実現に努力していくことが推奨されています。

年に一回、マネージャーとアソシエイトでキャリア面談を行っています。私たちマネージャーがアソシエイトの皆さんと話し、どんなキャリアをこれから作っていけばいいのかについて支援をするための場です。

最近では当社も、ジョブ型の働き方の考えに基づいて、働き方が変わってきています。自分がチャレンジしたい仕事に対しては手を挙げ、その仕事に必要なスキルを自ら身につけるというやり方になっています。

また、当社で働くことで、ものすごく幅広い仕事を経験することができます。例えば設備技術課でも製品開発に近い業務もあれば、生産を支える業務をすることもあります。様々なキャリアを積むことができ、広く活躍できる場がたくさんあると思います。

今まで、技術部門から営業の部署に異動するケースはあまり想定されていなかったかもしれませんが、今後はあるかもしれません。本人のやる気とスキル次第で、いろいろなキャリアパスが用意されています。

将来のアソシエイトへ。テルモで働く魅力。

―― 皆さんが考える、将来のアソシエイト(テルモ社員)に伝えたい、テルモの魅力を教えてください。

亀谷 私が担当した新型コロナワクチンの注射針増産は、国を挙げての大きなプロジェクトでした。担当することで、すぐにワクチンを打ちたい方々の役に立っているという実感がありました。私は、そうした仕事ができることに誇りを持っています。医療は普遍的なものなので、医療を扱う業界がなくなることは決してないと思っています。これからも自分にしかできない仕事に、多く携わっていきたいです。

小池 自分がやりたいことにチャレンジできる可能性と、その活躍の場があるというところです。海外へ挑戦するときも、もちろん努力は必要ですが、どんどんチャレンジをしてこい、と送り出してくれる雰囲気があります。

瀧澤 私は入社する際、医療の知識をほとんどもっていませんでした。その点を心配していましたが、会社に入ってから研修を受けることができたり、技術的な部分を先輩のアソシエイトにフォローしていただけたりするので、安心して仕事をすることができます。

社内には自身の成長のきっかけになるチャンスが多くあり、そしてその成長が、最終的に社会貢献につながっていくと思っています。

山川 医療はこれからもどんどん変わっていくので、当社の技術者が未来に向けて成長し活躍する機会がたくさんあります。医療の変化に対して、私たちは今ある強みであるコアの技術をしっかり磨き、さらに新しいチャレンジを積み重ねていかなければなりません。テルモには、モノづくりを通じて社会貢献をしたい方、モノづくり自体に興味がある方にとって、幅広く活躍の場を見つけることが可能です。当社でチャレンジをしてみたいという方は、是非、手を挙げていただきたいと思っています。

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