2026.07.17

日本発条株式会社(ニッパツ) 「つくりたい」を形にする。次世代シート開発に挑むエンジニアの視点

シート生産本部
開発部 主任
米持さん

DE&Iの観点から次世代シート『SeeC』を開発した米持さんに、企画から開発までの背景と、挑戦を歓迎して応援する、ニッパツの開発環境について伺いました。

2016年に入社して以来、一貫して自動車の「シート」開発に携わってきました。自動車業界が100年に一度の大変革期と言われる中、新しい価値を持つ商品を生み出そうと日々、アイデアを出しています。

いま私が所属する開発部が担うのは、5年、10年先の未来を見据えた「次世代のシート」の研究と開発です。その中で形にした製品のひとつが、次世代シートの『SeeC(シーク)』です。Slim(スリム)、Efficient(効率的)、Ergonomics(人間工学)、Comfortable(快適)という4つの特徴の頭文字を込めて名づけました。

開発のきっかけとなったのは、大学や自動車メーカーとの共同研究でした。そこで挙がったのは、「これまでのシート設計は、すべての人に寄り添えているのか?」という疑問。従来の自動車のシートは、基本的に成人男性の体格をベースにしたマネキンを用いて設計されてきました。そのため小柄な方や女性が座ると、「膝裏が当たり、深く座れない」「背中が背もたれから離れてしまう」といった課題が生じていました。

誰もが快適に座れるシートをつくるべく、DE&Iの観点をプロダクトに落とし込もうと、私たちは多様な属性の人々の声をヒアリングしていきました。その結果、生まれたのが今回の次世代シート『SeeC』です。

『SeeC』の開発にあたっては、コンセプトのきっかけとなった男女の体格差に特に注目し、通常タイプの他に、女性の骨格に特化した『FemmeStyle』というタイプの開発も行いました。その中で特に注力したのは、筋骨格に基づいた着座面の再設計です。女性の骨盤は男性に比べて前傾しやすく、「反り腰」のような体勢になりやすい特性があります。そこで背もたれの腰部分に膨らみを持たせ、体にかかる圧力を分散させることで、どんな体格の人でも隙間なくフィットする形状をつくりました。

その他にも、小柄な方でもしっかりと背もたれに体を預けられるよう座面の長さを通常より短くし、ポニーテールをしていても頭が安定するようヘッドレストに凹みを設けるといった工夫を施しました。

『SeeC』は自動運転向けでもあり、まだ実装段階には至っていませんが、これが次の開発へのヒントになると信じています。

ニッパツには、若手の「やってみたい」という情熱を歓迎し、裁量権を与えてくれる風土が根づいています。『SeeC』も、私の「つくりたい」という提案に対し、上司をはじめとした周囲が、「おもしろい」「やろう」と賛同して背中を押してくれたことで、進んだものです。

また、プライベートな事情も尊重してくれるので、安心して働くことができます。開発プロジェクトの最中、子どもに手術の予定があり、それに備えて1カ月間の在宅勤務が必要となった時期がありました。本来、開発の仕事は現場で直接、ものに触れながら進めるものです。それでも会社は私の状況を理解し、周囲のメンバーもよくサポートしてくれました。

開発の過程では設計がうまくいかず、試作機が思うように動作しないといった状況も何度もありました。こうした際は、部署の垣根を越えてメンバーが集まり、役職にかかわらずアイデアを出し合って解決していきます。フラットで前向きな空気感は、ニッパツらしさだと思います。

まだ世にない新しい価値をつくりたい人にこそ、飛び込んでほしい環境です。構想から設計、形になるまでを一貫して担える。その一連のプロセスこそが、おもしろく、ものづくりの醍醐味です。


1939年、自動車サスペンション用ばねの製造からスタートしたニッパツ。現在は世界 52社・約2万人のグループとなり、自動車のほか、鉄道、船舶、データセンター、 半導体、プラントなど、幅広い領域で世の中に「なくてはならないキーパーツ」を提供しています。

こうした事業の広がりを支えているのが、多様な人材の力です。研究開発、生産技術、 品質保証など、それぞれの専門性を持つ人材が部門や立場を超えて協働し、新たな価値を生み出しています。ニッパツでは、「出る杭を伸ばす」という言葉のもと、一人ひとりの挑戦を後押しする文化を大切にしています。多様な個性や価値観を尊重しながら、従業員一人ひとりが世界を前に進める存在となること。それが、ニッパツの考えるDE&Iです。


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