株式会社Kanatta|これから社会に出る女性に伝える 人生を豊かにする働き方

女性の社会進出促進が叫ばれているが、現実には解決すべき課題や乗り越えなければならないハードルがたくさんある。「ジェンダー平等の実現」に真正面から挑む企業は、どんな戦略で女性のフィールドを広げていこうとしているのか?

女性が活躍できるフィールドを広げたい

KanattaはSDGsの目標5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」に貢献する会社です。代表の井口恵は、かつては大手監査法人で公認会計士として働いていた経歴があります。

男性と対等に働きたい想いから資格を取って飛び込んだ世界でしたが、残業100時間超も当たり前で、体力のない女性社員は次々に淘汰されていきました。そこから26歳で転職し、女性8割の外資系ファッション企業に移りましたが、そこでも役員クラスは男性ばかりでした。 

結局、会社員だと女性が活躍できる機会は限られてしまうのではないか?それなら女性が活躍できるフィールドとロールモデルとなるような、具体的な事例を作りたい。そう思って2016年に立 ち上げたのがKanattaです。

事業としてはコミュニティ運営とクラウドファンディングの2つ、コミュニティはドローンジョプラス、コスモ女子、エシカルガールがあります。当社の場合はKanattaに入社して仕事をしていただくというよりも、コミュニティに参加して仲間と一緒に世界を広げ、技術を磨き、仕事を創造していこうという方を求めています。実際、平日には他の仕事をしながら、週末に「もう1つの活動」としてコミュニティに参加している方がほとんどです。 

ドローンを男女問わず活躍できる業界にしていく 

「ドローンジョプラス」はドローン業界で働く女性を増やしていくことを目的に、2016年から活動しているコミュニティです。このプロジェクトが立ち上がった当初、ドローンに対する社会的な認知度はほとんどありませんでした。

しかし、海外の動向や市場の可能性を調べてみると、将来性のある分野だとわかりました。空撮以外にも、すでにイベント等でのデモンストレーションや測量調査、農薬散布、気象観測などにも利用されていますし、将来は救難救助や貨物輸送などの活用も見込まれています。

 現在は機械工学やラジコンの延長線上で、男性のパイロットが大半です。しかし、実際に飛ばしてみると女性でも夢中になりますし、体力も必要ありません。これからも発展する世界だからこそ、男 女関係なく活躍できる業界へと進んでいくはずです。 

現在、東京・大阪を拠点に80名のメンバーが在籍し、北海道から沖縄まで全国を飛び回っています。主な仕事は「操縦体験会」など、世の中にドローンを広く知ってもらうための活動や、空撮が中心です。そこでKanattaが依頼を受け、業務委託という形でメンバーを派遣しています。

2020年からは小学校で「プログラミング」が必修化されたのを受けて、ドローンを利用したプログラミング教室も始めました。個人事業主としてドローンを仕事にしている人から、趣味として楽しんでいる人までさまざまですが、共に技術を磨き、情報を交換し、新しい分野を開拓しています。今後ドローンが活用される場が広がるにつれ、コミュニティもさらに成長していくでしょう。

ドローンジョプラスのメンバーは、テレビをはじめとした
各メディアで取り上げられるほどの人気を博している

2050年にはあらゆる業界が宇宙に繋がる

ドローンジョプラスの成功をモデルにして2020年に結成されたのが「コスモ女子」で、宇宙関連業界で活躍できる場を増やすことを目標にしています。現在、宇宙空間で生活しているのは野口聡一さんを含めて6人ですが、30年後にはこれが1000人まで増えるとも言われています。

そうするとロケットや人工衛星といったド真ん中の業種だけでなく、衣食住遊に関するあらゆる分野に宇宙ビジネスの裾野が広がっています。コスモ女子のメンバーに「現在も宇宙業界でバリバリ働いている」という人は少ないです。

宇宙業界で夢を叶えたい、子どもの頃から星を見るのが好きだった、ロケットの発射シーンを見るとワクワクする、他の仕事に就いたけれど宇宙との関わりを諦めたくなかった……といった人たちを中心に、専門家を招いた講演会、勉強会やイベントの開催、情報発信を行っています。

今後は宇宙業界の「仕事図鑑」の作成や、世界初となる女性チームによる人工衛星の打ち上げ (2022年度中)など、女性の宇宙に対する興味・関心を高めていきたいです。

エシカル消費のエバンジェリストとして情報発信 

女性の力で社会を変えていく取り組みでは、エシカル消費を推進する「エシカルガール」というコミュニティもあります。〝エシカル〞とは倫理的/道徳的という意味で、人や社会・地球環境に配慮 した消費行動を広める活動です。

SDGsでは「つくる責任、つかう責任」に関連します。 こうした活動を徹底しすぎると、あらゆることに制限がかかって暮らしづらくなってしまいます。1人が100%のエシカル消費を目指すより、1万人がそれぞれ 10%ずつエシカル消費を取り入れる方が社会的インパクトははるかに大きく、より良い世界の実現に近づきます。

また「消費活動の8割は女性の意思決定による」とのデータもあります。つまり、一人でも多くの女性がエシカル消費に興味・関心を持ち、生活に取り入れてくれることが重要なのです。

エシカルガールは「kanatta library 」というメディアでサスティナブルなファッションやオーガニックを取り入れたライフスタイルの提案をしています。また、「エシカル大学」という朝活イベントを開催しており今後はメーカーと共同で商品開発をするといった活動をしていく予定です。

コスモ女子ではイベント等を通して、女性が「宇宙」を
キャリアの選択肢の1つとして身近にできるような活動をしている

コミュニティの力で新しいビジネスを開拓していく 

女性には「男性と対等なんだ」という意識を持ってもらいたいですし、社会に出て活躍することにもっとポジティブになってほしい。女性が仕事をすること、働きやすい職場を作っていくことは、決して何かを諦めたり我慢することではありません。それは男女問わず〝生きやすい社会〞〝働きやすい業界〞を作っていくことに繋がっているのです。

ご紹介してきたように、Kanattaでは「コミュニティの力」を重視しています。女性が活躍 できるフィールドを広げていくには、まずはコミュニティを立ち上げて同じ思いを持つ仲間を募りま す。そこで情報交換や勉強会を通じて興味や関心を深め、自分たちでビジネスを作っていくのです。 

最初はマーケットも小さいので、専業とするのは難しいでしょう。ですから多くの人が副業として 取り組んでいるわけですが、理由はそれだけではありません。

これからは複数の仕事を持つことが当 たり前の時代です。たまたま最初に入社した会社の仕事しか知らなかったり、職場関係で知り合った 人たちしか仕事の人脈がないと、人生の選択肢を狭めてしまうことになりかねません。

それに、コミュニティに参加している人たちは口々に「職場以外のコミュニティに参加していることで、相乗効果がある」と言います。自分の仕事や属する世界を一つと決めず、多方面に興味・関心 を持って活動の幅を広げていくことが人生を豊かにもするし、生き抜く力をつけることにもつながるはずです。

こんな会社で働きたい SDGs編』より転載。


この会社のことをもっと知る

株式会社Kanatta 
取材日:2021年1月12日
設立:2016年6月 
事業内容: コミュニティ運営(ドローンジョプラス、コスモ女子、エシカルガール)、クラウドファンディング事業
資本金: 500万円 
本社住所: 〒153-0061 東京都目黒区中目黒3丁目6-2 中目黒FSビル5階
電話番号: 03-6868-3910 
URL:https://kanatta.co.jp/

 

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