三菱重工環境・化学エンジニアリング|ごみから未来を変える環境対策のプロフェッショナル

グローバルで持続可能な都市衛生に貢献

三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC)は、廃棄物処理プラントの計画・設計から建設、運転、保守、設備のリニューアル提案まで、廃棄物処理プラントのライフサイクルをトータルで手がける「総合エンジニアリング事業会社」です。廃棄物をエネルギーに変換し、電力や熱エネルギーを施設に供給することで、人々の暮らしと社会、そして地球の持続的な発展に貢献しています。

廃棄物処理プラントは、「環境装置」とも言われています。高度経済成長を経て、文明の発展や生活レベルが向上したことで、排出される廃棄物は増えていきました。しかし、途上国の中には今でもゴミをそのまま捨てたり、埋めたりしている地域もまだたくさんあります。このような現状を、私たちは事業活動を通じて変えていきたいのです。

私たちが目指すのは、世界中に廃棄物処理プラントを納入し、衛生面でも環境面でも、豊かで持続可能な社会を創ることです。
現在までに、日本国内では280プラントを納入しているほか、中国や東南アジア諸国を中心とした世界の国や地域に、30を超える廃棄物処理施設を納入してきました。

世界第2位の経済大国にまで成長を遂げた中国に向けて、はじめて廃棄物処理施設を納入したのも当社です。1日の廃棄物処理量が3000tという中国国内最大級の鉄鋼メーカーである「首鋼(しゅこう)集団(しゅうだん)」とのプロジェクトでは、設計と主要機器の納入を行いました。2021年3月にはMHIECと、現地法人である(りょう)(じゅう)環環境技術服務(北京)有限公司とも連携したチームで、中国・考感(こうかん)市にはじめて一般廃棄物焼却発電プラントを導入しました。

日本国内にある主な焼却炉は、1基あたり1日の処理量が50〜100t程度ですが、同炉はその約7倍以上の750tという大きな規模です。1日1500tの一般廃棄物処理能力を有し、焼却する際の余熱を利用した発電も可能で、環境インフラ設備として同市の生活基盤を担っています。

ほかにも、世界最大級の処理量(4320t/日)を誇るシンガポールのTuas South Incineration Plantも当社が納入したものです。現在のシンガポールでは、既存の4プラントのうち3つのプラントを当社が納入し、都市衛生に大きく貢献しています。

上空から見たプラントの全景

当社の強みは、建設時の計画からアフターサービスまで、廃棄物処理プラントの全ステージを長期間にわたりカバーできることです。近年は「作って運転する」ことから、施設をより長く活用する「長寿命化」が注目されています。そのためMHIECでも、ごみ焼却施設のエンジニアリングや調達・建設だけでなく、その後の長期間の運営まで請け負う案件が増加しています。

そんなニーズに応え、私たちは複数の焼却施設の運転状況を一元管理するために、遠隔監視・運転支援システムを構築し、各施設の運転データを集約・分析。そのノウハウを水平展開することで運営の高度化・効率化を図るなど、高い技術と培ってきた経験で、廃棄物処理プラントの長寿命化にも力を入れ、美しく衛生的な都市環境づくりを進めています。

プラントで循環型社会の実現を目指す

石油・石炭などの原料を燃焼させる発電プラントと異なり、私たちが扱うようなごみ焼却や下水汚泥処理を目的に使われる廃棄物処理プラントは、いかに安定的かつ効率的に処理するかが求められます。

しかも人々の暮らしに直結しているため、24時間365日、稼働を止めることはできません。近年はごみ焼却施設の運営形態が変わり、地方自治体による運営から民間を活用したDBO(Design Build Operate)へと移行するケースが増えてきたこともあり、施設の安定稼働とコスト削減の両立がさらに求められることが多くなりました。

それだけでなく、ベテラン運転員(オペレーター)の高齢化も課題として挙げられます。これまでのように各現場での運転・管理だけではなく、AIを活用した遠隔支援もますます重要になっています。そのためMHIECでは、いかに低公害・低コストで安定的に処理できるかを常に考えながら取り組んでいます。

近年は、甚大化する自然災害への対策として、気候変動への対応が全世界喫緊の課題とされています。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて国もさまざまな施策や取り組みを進めていますが、MHIECでも三菱重工グループが持つ多彩な技術力とエンジニアリング力を結集して取り組んでいます。具体的には、プラントや施設で再生可能エネルギーを使用した高効率発電を行い、循環型社会推進に貢献しています。

2022年3月に国内初の「エネルギー自立型汚泥焼却炉」を納入予定です。これは東京都が2014年6月に策定した下水道事業におけるエネルギー基本計画“スマートプラン2014”での再生可能エネルギー活用の拡大を図るため、下水道プラントメーカーが参画した共同研究の成果です。

汚泥焼却炉から発生する温暖化係数がCO2のおよそ300倍に達するN2O(一酸化二窒素)の大幅な削減に加え、電力・燃料由来のCO2排出を抑制できる画期的な技術とされています。MHIECが長年培ってきた汚泥処理分野の技術開発力と豊富な建設・運営ノウハウで、省エネルギー・地球温暖化の抑制に貢献しています。

このように私たちの事業活動は、そのままSDGsに大きな影響を与えていると自負しています。

環境性に優れた施設への転換

技術や性能はもちろんのこと、廃棄物処理プラントに求められるのは環境性を備えていることです。私たちは「迷惑施設」と呼ばれていた時代もある廃棄物処理施設を、技術革新とノウハウを活かし、環境性に優れた施設へと転換させてきました。

具体的には、最新技術を駆使した焼却炉と高度運転制御技術で高効率発電を実現しました。一般の家庭や事業所で排出されるごみを適切に処理し、人々の快適で安心・安全な生活を守っています。

今、欧米を中心に発電所や工場などが排出するCO2を地下にとじ込める「CCS(二酸化炭素回収・貯留)」の設備が広がりつつあります。1990年代から世界に先駆け、二酸化炭素の回収技術の向上に取り組んできた三菱重工グループは、現在世界の7割を超えるシェアを占めています。設備を納入するコストにはまだ課題が残されていますが、CCS設備は環境対応を進める上で、これからの世界には必要不可欠です。

また、単なる「廃棄物の処理施設」ではなく、廃棄物を電気に変えるような取り組みにも力を入れています。廃棄物バイオマスをエネルギーに変えることで、CO2排出量を削減しながら、地域に電気を供給しています。

さらに、ごみ焼却時に発生する高温高圧の蒸気を利用した発電も行っています。この電気や余熱は、近隣のプールや施設への活用など、エネルギー還元を通じて社会に貢献しています。また、災害時には安全と安心を守る防災拠点として活用できるよう、都市機能・防災拠点機能を備えた施設づくりもしています。

廃棄物処理プラントの全体フロー図

ダイバーシティ推進で持続的発展を実現

MHIECでは、若手社員も早い段階から大きなプロジェクトに参画するように意識しています。挑戦によって個人の経験とスキルをレベルアップさせ、持続的に発展し続ける企業の実現を目指しています。

知らない人も多いと思いますが、ごみ焼却プラントは完全オーダーメードなビジネスです。それぞれの国や地域が持つごみの内容などをベースに、発注した国や自治体の目的に合わせて設計していくため、1つとして同じものはありません。しかも、時代が求めるニーズや社会環境なども考慮していかなければいけないため、知識と経験に加え、挑戦する力と新しいアイデアがとても大切です。そのため、外国人の採用も積極的に行い、多様な人材が切磋琢磨しながら働ける環境を整えています。

それぞれのステージでいきいきと働けるよう、ワークライフバランスに力をいれているのも私たちの特徴です。三菱重工グループという大きな基盤を強みに、独身寮など、充実した研修や福利厚生なども完備しています。

私たちと一緒に、より環境に配慮しながら、より先進的なプラントを建設し、よりよい未来を一緒に作っていきましょう。

現場で活躍するスタッフたち

三菱重工環境・化学エンジニアリングは「教育制度」がしっかりした会社!

MHIECで活躍する若手社員3名にお話をうかがいました

(調達業務) 男性・事務系

Q.社内教育で特に力を入れたことは何ですか?

コロナ禍でコミュニケーションが取りにくかった状況もあり、社員に向けて「かわら版」というものを毎月出していました。そこではコンプライアンス遵守のためのポイントや、若手社員の教育や啓蒙につながるような情報発信をしています。

(エンジニアリング業務) 女性・技術系

Q.新入社員時は、どんな研修がありましたか?

社長・役員の方に向けて論文発表会がありました。これは1年間の学びを説明する場所で、普段関わりのない部署の発表も聞ける貴重な機会でした。私は技術系の職種ですが、育児の際には十分に育休も取れましたし、復帰した際も初日から温かく迎え入れてくださいました。


(開発業務) 男性・技術系

Q.インドネシアのご出身とお聞きしましたが、仕事をする上で難しいと感じることはありますか?

いくつかありますが、特に文章が難しいと感じますね。日本語はやっぱり難しくて、プラントの設計書を作る際に誤記があったり、言葉が変になっていたりします。だけど先輩が時間をかけてチェックしていて、いつも気にかけて教えてくれるから助かっています。

こんな会社で働きたい SDGs編2』より転載。

 

三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
取材日:2021年9月14日
代表取締役社長:菱沼隆之 
設立:1976年2月2日
業務内容:廃棄物処理装置、熱回収装置、汚泥処理装置など 

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