大成株式会社|ファシリティマネジメントと先端技術で未来を創る企業

上の写真は、三重県いなべ市に土地を購入し、そこへ早生桐を植樹した時のものです。ビルメンテナンス業界において、新しい発想を持ち積極的にSDGsへの取り組みを推進している大成。「ファシリティマネジメント」にロボットやIoTなどの先端技術を組み合わせることで、誰もが働きやすく環境に配慮した社会の実現を目指しています。はじめに、同社のさまざまな施策をSDGsプロジェクトのリーダー加藤憲博副社長に聞きました。

行動を起こさなきゃ変わらない。人×IoTで改革を進め

ファシリティマネジメントの観点からSDGsを加速

1959年創業の当社は、清掃管理業務、設備管理業務、警備業務の3軸を主力とするビルメンテナンス事業を展開してきました。

近年はビルメンテナンス事業に留まらず、建物のオーナー様に代わって運営・管理・経営を行うプロパティマネジメント、建築業務、受付業務、ホテル清掃業務にも携わっています。

これらの事業は、全て「ファシリティマネジメント」に包括されます。ファシリティは、業務用の土地・建物・建築物・設備などを指す言葉で、ヒト・モノ・カネ・情報に次ぐ「第5の経営資源」として注目されています。これらを経営的な視点から最適な状態で保有・管理・活用することを、ファシリティマネジメントと呼びます。

少子高齢化により生産・労働人口が減少している現代においては、従来の業務スタイルから脱却し、業務の省人化など、持続可能なビジネスを創出する必要性があります。そしてロボットやIoTを駆使し、ハイブリッドな社会を実現させ、SDGsを推進していきたいと考えています。

誰がどこにいても働ける「エコトピア」の実現へ

当社は2021年7月に「ファシリティマネジメント事業を通じて、環境と働き方改革に配慮した社会の実現の一端を担います」というSDGsポリシーを発表しました。このポリシーのもと、ステークホルダーとパートナーシップを結び、クリーンな水(洗剤使用量削減)とフレッシュな空気(早生桐の活用)、ハイブリッドな社会(ロボットをはじめとする先端技術の開発)をテーマに努力を重ねています。

この3つの取り組みの集大成として目指しているのが、「エコトピア」構想です。私たちの仕事は現場に人がいることが大前提となりますが、その常識を覆し、先端技術を駆使し、誰がどこにいても自由に働ける環境づくりを実現したいと考えています。

エコトピアでは早生桐(この後のページで詳しく紹介)を植樹し、農地や太陽光発電などのインフラを整備し、リモートワークができる情報環境を整える予定です。居住空間や会社ではない、世界観を体験できるコミュニティをイメージし、2050年までにエネルギーおよび食物の自給自足率100%の環境づくりを目指しています。当社は三重県いなべ市に広い土地を購入し、現在、植樹や太陽光パネル、宿泊施設の設置を行い、エコトピアの試験版として運用しています。

SDGsの取り組みを進めるにあたり、当社の経営層は、半年以上かけて外部のコンサルタントからレクチャーを受けました。「SDGsとは何か」を学び、各自で勉強し、各取締役がディスカッションして互いに理解を深め、最終的にポリシーと目標値を決めていきました。一人の経営者ではなく、経営層全員が話し合って合意した目標であるため、社員に対しての説明も非常にスムーズで、全社的に意識を高めることができています。

他にも、社員の意識共有の場として、社内SNSを通じた進捗報告を行っています。スタートがコロナ禍だったため、当初はオンラインで社員を集め、目標についての説明を行い、質問を受けるという形を取りました。その後、社員を6チームにグループ分けして行うワークショップを一年間継続したことで、各々の主体性がより高まったと思います。また、SDGsメディアサイト「TAISEI ACTION! SDGs」を開設し、積極的に情報を発信しています。

毎日の洗剤使用量を減らすために

当社は清掃業務において大量の洗剤を使用します。日々使っている潜在量を減らすことができれば、環境負荷の低減に大きく貢献できます。そこで、全体的な洗剤使用料を2026年までに2021年比で50%削減するという目標を立てました。

目標を達成するために本格的に導入したのがアルカリ電解水です。アルカリ電解水は自ら生成されており、環境への影響がしばしば取り沙汰される界面活性剤は一切含んでいません。名前の通りアルカリ性で油や土砂などの汚れに強く、洗浄に加えて除菌および消臭効果も発揮します。汚れがひどい場合には少量の洗剤を使うこともありますが、全体的な洗剤使用料は大幅に減らすことができます。

アルカリ電解水の本格導入後は、洗剤使用料の推移についてデータを取っており、前月対比でどれくらい洗剤使用量を減らすことができたのかをエリアごとに検証していますが、成果は上々です。また、さらに効果的な方法を模索するべく、さまざまなスタートアップ企業と連携し、いかに廃液を出さないか、リサイクルできるかを研究しています。

 

警備業務に加え、警備ロボットugo、T-Spiderの導入・開発サポートに携わる。

ビルにおける警備は24時間365日欠かせない業務です。大成では人と先進技術の融合による警備ソリューションを開発、提供しています。警備ロボットugoは、立哨や巡回業務を担当し、データを一元管理するマルチプラットフォームT-Spiderと組み合わせることで業務報告をデジタル化し、人とロボットによるハイブリッド警備が可能となります。

Q ugoのすごいところは?

ugoの特徴として、2本のアームを備えています。そのため、アームを利用してボタンが押せるので、エレベーターを使ったフロア間の移動を行うことができます。カメラを通しての状況確認や、防災センター内から警備員が呼びかけをすることもできるため、立哨や通常の巡回をugoに任せることで省人化を実現することが可能です。

Q ugoを導入したきっかけは?

警備は立哨、深夜勤務など一定の体力を要する仕事です。今後、人手不足が進んでいくと従来の人員体制を維持できなくなることも予想されます。人に代わって警備を行えるロボットの導入を進めるため、ugo株式会社と共に、アバター警備ロボット「ugo TSシリーズ」を作り上げました。

 

2023年3月、名古屋本社がリニューアルし、オフィス兼ショールームが完成しました。東京本社に続き2カ所目の、「T-GARDEN」と名付けた新たな働く空間です。当社が掲げるSDGs宣言に基づき、使用する素材を環境貢献度の高いものにし、さらにサーキュラーエコノミーを意識。安心感や快適性の高い落ち着ける場所になればという想いで造りました。

自然環境をデザインや音で再現

どこからでも緑を感じられる上、音でも自然環境を再現。足元からは川の音、上方からは鳥のさえずりなど、まるで自然の中にいるような空間を演出しています。自社のみならず、オフィスづくりのプロデュースにも力を入れていきます。

グリーンもクリーンも!自社で育成した早生桐も活用予定

家具の主原料には木材のほか紙を使用することで軽量化を実現。そのうち木材には「早生桐」を使っています。今後は、自社で育成を手掛けた早生桐を家具に組み入れ、T-GARDENをアップデートさせていきます。

レイアウト変更自在! より自由な空間に

リサイクルの観点から、組み立てる際の金具や釘は不使用。部材同士をかみ合わせて使う木工法を採用しているため、パネルの組み立てや解体が容易。レイアウト変更を自在に行うことができます。

 

早生桐は、CO2の吸収量が杉の木の10倍あるといわれています。また、一般的な桐なら20年かかるところ、4~5年で成木します。この早生桐を自社で植樹・育成し、T-GARDENの家具に使用するほか、使用後は木材チップとしてバイオマス発電に活用するサーキュラーエコノミーの確立を目指しています。現在の目標は2026年までに2400本を植樹することです。

 

自然の生き物とのいたちごっこに

植樹後すぐに鹿に新芽を食べられ、一度茎から切り再生を促すことになりました。他にも害虫や、自然災害への対策に追われながらも、社員の熱い頑張りで早生桐の育成を続けています。

1.65hの敷地に675本約40名の社員で植樹

2022年5月12日、三重県いなべ市にて早生桐の植樹式を実施。約40名の社員で当社が購入した1.65hの敷地に675本の早生桐を植えました。1本1本手作業をすることで、社員のSDGsに対する意識が向上しました。

社員の新しい働き方を提案する場が完成

エコトピア構想の一環として、早生桐を植樹した敷地内に福利厚生施設を併設。電気は太陽光を利用しています。自然豊かな憩いの場でありつつ、ワーケーションにも活用することが可能。BBQもできます。

 

あらゆる人材が働きやすい職場を目指し、女性活躍、高齢者の健康促進、外国人教育機会の増進、障害者と共に働く環境づくりを進めているのが、2022年4月に開設したダイバーシティ戦略ユニットです。ダイバーシティは社内の一部、同部署だけで推進していくのではなく、例えば、オフィススタッフ200名を対象に、ダイバーシティの理解を深めるさまざまな研修を実施したり、社会課題解決のために若手社員がプロジェクトを立ち上げてディスカッションを重ねるなど、全社を巻き込んで活動しています。

(左)黄イブンさん
アットホームな雰囲気の中適切なサポートを受けています

会社の雰囲気はとてもアットホームです。周囲の上司や同僚は、ミスをしたときや仕事量が多いときのサポートを欠かさずしてくれるので、責任感とチームワークを感じます。今後の目標は、自分が考案したアイデアを具現化し、大成ブランドの目玉となるような商材・新規事業を立ち上げることです。

(右)リューチンさん
外国籍スタッフを歓迎してくれる個性を大事に仕事できる場所

外国人、高齢者、障害者、育児中の女性、LGBTQを含め、多様な人材が集まっているのが大成です。周囲の理解があるからこそ個性を発揮することができます。大成は一人一人を尊重し、大切にしてくれる会社です。たくさんのチャレンジや成長の機会をもらっています。

 

人の数だけ、仕事も成長ストーリーもキャリアプランもあります。大成で働く社員にありのままの気持ちを語ってもらいました!

私の部署は、個々で勤務時間の調整がしやすく在宅勤務も可能です。そんな中でも、頻繁に1on1でコミュニケーションを取れる環境があり、相談する体制が整っているので、落ち着いて働けています。入社1年目ですが、仕事を通して社内に情報発信する機会が多くあり、その発信によって社員の皆さんに新しい発見や気づきを持ってもらえたときに、取り組みがいを感じます。強みとなるシステムの得意分野を持てるよう今後も勉強していきたいです。

休憩やリフレッシュにT-GARDENを利用しています。開放的な空間があることで、オフィス内での休憩が苦しくなく、仕事の集中力向上にもつながっていると感じます。私の担当する仕事で大切なことは、清掃現場に勤める誰もが働きやすく感じるように業務を改善することです。特に、技能実習生の外国人スタッフや新入社員の声など、現場で意見を言いにくい人への聞き取りを欠かさないことで、環境を整えていきたいです。

風通しが良く、働く現場の意見やアイデアが通りやすい会社です。SDGs関連では、早生桐の育成管理を担当しており、毎週のように現地へ行って早生桐の育成に力を注いでいます。ゼロから始めるプロジェクトはとても難しく山あり谷ありですが、見守ってくれている上司を背中に感じながら仕事を任せてもらえる環境のおかげで、挑戦し続けることができています。早生桐以外にも、社員全員のエンゲージメントを高める企画や社内外への情報発信を行い、認知度向上に努めています。

警備ロボット「ugo」を現場に導入するサポートを担当しています。警備業務は、身体的につらい仕事ですが、それをロボットへ換えていけば、世の中の多くの人の働きやすさにつながると思い、ugoを含む「T-シリーズ」製品の拡販にまい進しています。他にも、施設の開業時に、要望に沿ったシステム提案をする業務などを担っていますが、お客様と直接接して課題や実際の現場状況を知り、一つ一つ解決するためのシステムを提案していく仕事にやりがいを感じています。

大成は若いうちから裁量権を持たせてもらえる会社です。新しいアイデアが評価されれば、すぐに採用されるのが魅力です。今後は、「女性活躍推進」という言葉がなくなるくらい、女性の従業員や管理職を増やし、性別を問わず働きやすい環境づくりを目指します。さらに、ビルメンテナンスという安定した土壌の上に、DXやIoTによる新しい技術の創出をしている当社に、ワクワクして入社する人材を増やしていきたいです。

 

こんな会社で働きたい サステナブルな社会実現のために SDGs編3』より転載。

 

 

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