エル・ティー・エス 生成AI時代に問われる“人間の仕事”としてのコンサル像

部長代行/西河高志
ハーバード大学院修了。メーカーやウェルネス系サービス会社などを経て2021年LTSへ。マーケティングの知見を活かし、主に競争戦略領域のコンサルティングを手掛ける。

黒木康太
京大院修了後、2018年入社。入社後は、新規事業やリブランディングの事業戦略案件を中心に担当。現在は主にコンタクトセンターやBPO領域のコンサルティングに従事する。

生成AIが普及するいま、コンサルの価値はどこにあるのか。対談を通して、 「人間にしかできない仕事」を追求するLTSコンサルタントの思考に迫る。

※『徹底解剖! 総合コンサルティングファーム就職・転職ガイド』(クロスメディアHR総合研究所著)から一部を抜粋し、掲載。

徹底した情報収集と本質的な提案力が求められる

西河 情報を収集・整理して構造化することはかつてコンサルの仕事でした。しかし最近は、生成AIを使ってお客さま自身で壁打ちが完了している場合も多いですね。

黒木 だからこそ一次情報、つまり生の情報収集が以前にも増して重要になっています。たとえば、新規事業のモデル案を提案する場合、生成AIやテクノロジーの活用に加えて、インタビューや海外カンファレンス参加などでしか得られない生きた情報を活用することがよくあります。

西河 求められる情報は、業界や事業によっても変わります。BPOやコンタクトセンターの領域であれば、現場の状況を把握しなければいけない。一方で、IT業界のお客さまや、これからデジタルサービスを立ち上げようというテーマなら技術面がより重要になります。

さらに、お客さまは「戦略をつくる」といっても、何をどこまで決めるべきなのかイメージできていない場合もあります。私たちの仕事は、お客さまの希望に対応するというより、戦略をつくる・つくり直す判断に至った課題を正確に整理して、本質的な解決に向けて論点設定すること。結果として、お客さまが当初イメージされていたこととは別の提案をすることもあります。 黒木 お客さまに納得していただけるのが第一。提案資料への反応がいまいちだと思ったら、打合せを5分で切り上げて作戦を練り直すことも過去にありました。いい意味で、そこにプライドはないですね。

リスクをとる判断は「人間」にしかできない仕事

西河 数年前までは自動化・効率化のニーズが高かったですが、最近は生成AIで自社の知見をどう再活用できるかという視点に市場がシフトしていると感じています。

黒木 生成AIの活用を実行に移している企業と二の足を踏む企業との差が広がってきています。「使わないと取り残される」という感覚はあっても、どうしていいかわからない企業は多い。ロードマップの策定や体制構築に関する相談が増えてきました。

西河 そうしたニーズに応えるには、業界構造や競合環境および自社事業や無形資産の強みと弱みをしっかりと踏まえた特徴を捉え、戦略を考えなければいけません。

たとえばITサービス領域では、SaaS型の商品やVertical SaaSとも呼ばれる業界特化型のサービス開発がトレンドになっています。ただ、それを真似れば簡単に勝てる戦略が描けるというものでもありません。各サービスのコンセプト、提供価値、販促方法などをリサーチして、すべてのお客さま候補が埋め尽くされていたり、追加で満たしうるニーズがなかったり、勝ち目がないのなら、新規参入しない判断も必要でしょう。そうした見極めが大事ですね。

黒木 生成AIが人間の仕事を代替するようになっても、リスク判断は人間にしかできない仕事です。競合優位性を確保するには、他社が躊躇するようなリスクをあえて取る判断も必要です。一歩先を見据える「目利き力」ともいえる。今後ますますコンサルに求められるスキルだと思います。

「どうなっている?」の日々の好奇心がプロを育てる

西河 この仕事、特に顧客企業のこれからの方向性や姿を描く役割を担う戦略コンサルタントは、世の中にどういったサービスが存在していて、それらはどういった仕組みで成り立っているのか、好奇心を持って情報に触れることが大切です。私も時間があればいつも新聞やウェブ記事を読んだり、各種セミナーに参加したりしています。

黒木 同感です。情報はあふれているので、「切り口」が問われる時代だとも思います。同じものでも、視点が変わると得られる示唆も変わる。物事を多角的に捉える力が戦略コンサルには必要ですね。

西河 日本の市場はますます競争が厳しくなっていきます。お客さまが海外市場に進出するとき、日本とは異なる商習慣の中で共に戦うことになる。日々の蓄積がきっと役に立つはずです。さらに、いろいろな情報に触れると、「市場のニーズはここにあるかもしれない」と考えるきっかけにもなります。そうした“クエスチョン”が物事の本質を見抜く力を養います。

黒木 コンサルのスキルに「専門領域」をかけ合わせできると理想的です。専門領域は金融や不動産などの業界軸でも、財務やマーケティングなどの機能軸でも、企業が求めるものであれば何でもよいと思います。熱量を持って取り組める領域を見つけ、必要な努力をしっかりと行えば、成長のスピードも速くなる。これからコンサルを目指す人にはぜひ意識してほしいですね。


「徹底解剖! 総合コンサルティングファーム就職・転職ガイド」
クロスメディアHR総合研究所/クロスメディア・パブリッシング刊

ありそうでなかった「総合コンサル志望者」のための一冊
 
本書は、読者の方々が自分に合った企業を見つけ、適切なキャリア戦略を立てるために、実践的な情報を提供します。

たとえば、就職・転職者が知りたい、業界の全体像、今後の展望、キャリアパス、注目企業、働き方、選考の概要と具体的な対策などをじっくり解説。日本で数少ない成長産業として、就職・転職いずれも人気が高いこの業界について、徹底研究しました。

本文中では、就職・転職に関連した網羅的な情報に加え、業界を牽引する企業へのインタビュー取材を通して、業界・各企業の魅力や考え方、社会的意義などを深掘りします。また、多くの「就職・転職経験者の声や実例」から、つまずきやすいポイントをピックアップ。

ビジネスとテクノロジーの双方を深く理解し、企業と伴走する業界の現在と未来に迫ります。

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